小説『雷の紋章』
作者:Mr,後困る()

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第68話「相席よろしいでしょうか」

―赤の大陸、虹橋港、天野気孔医院、病室―

ジェニー「おい、起きろ」
ヘンゼル「う・・・うんん・・・」

ヘンゼルは目を覚ました

ヘンゼル「ジェニーさん、お久しぶりです」
ジェニー「・・・寝惚けてるのか?お早う御座いますじゃないのか?」
ヘンゼル「いえ・・・最近更新が無かったから懐かしくなってしまって・・・」
ジェニー「何だ更新って・・・やっぱり寝惚けてるんじゃないか」
ヘンゼル「・・・ですね・・・他の皆さんは?」
ジェニー「他は皆起きてるよ、お前が起きるのを待っていたんだが
流石に遅過ぎるから起こしてしまった・・・というか良く眠れたな
魔王から賞金かけられて何時襲われても可笑しく無いって言うのに・・・」
ヘンゼル「・・・お金目当てで勇者を倒す人なんて居ない、僕はそう信じたいです」
ジェニー「そうか・・・それじゃさっさと起きろ支度しろ」
ヘンゼル「・・・あのお医者さんは」
ジェニー「用事が有るから書置き残して何所かに行った」
ヘンゼル「書置きには何て?」
ジェニー「目立たない様にローブを用意して置いたからそれ被って出てけってさ」
ヘンゼル「・・・・・」

ヘンゼルが顔を辛そうに俯けた

ジェニー「・・・ヘンゼル、あの女の事は忘れろ」
ヘンゼル「でも」
ジェニー「あのな、人間色々居るんだよ、お前みたいに良い奴も居れば、人を騙して金を毟り取る悪人も居る
あいつみたいないい加減な理由で勇者嫌いな如何しようも無い奴も居るんだ
そんな奴に構う事は無い、お前はあんな奴に構わず魔王を倒せばいいんだ」
ヘンゼル「・・・・・ジェニーさん・・・僕はまだまだ未熟な勇者です
こんな事を言うのは思い上がりかも知れませんが・・・僕はこの世全ての人を救いたいんです」
ジェニー「この世全ての人を救うか・・・随分大きく出たな」
ヘンゼル「すいません・・・」
ジェニー「良いと思うぞ、だがな、何もかも1人でやろうとするな、辛くなったら私達を頼れ、良いな?」
ヘンゼル「はい・・・」
ジェニー「じゃあ私は外で待っているから早く仕度しろ」
ヘンゼル「はい」

ジェニーは病室から出た、ヘンゼルは着替えて病室の外に出た

リーゼル「勇者様、お早う御座います」
ヘンゼル「お早う御座います」
エデ「早速ですが勇者様、これから如何します?」
ヘンゼル「とりあえず・・・」

グウウウゥゥゥゥゥ・・・

ヘンゼル「・・・・・・・とりあえず何か食べませんか?」
エデ「・・・・・緊張感無いですねぇ」
リーゼル「仕方無いでしょう・・・勇者様は船酔いで航海中殆ど食べ物を口にしていませんでしたし」
イバラ「そう言えばそうでしたね・・・」
ジェニー「じゃあこの病院の中に有る物、適当に調理して食べるか?」
ヘンゼル「流石にそれは無いでしょう・・・何処かに食べに行きませんか?」
ジェニー「外食か?あんまり金がかかるのは嫌なんだが・・・」
リーゼル「たまの贅沢位良いじゃないですか、赤の大陸の料理がどんな物あ食べてみたいですし」
エデ「頼みますから緊張感持って下さい」
ヘンゼル「・・・じゃあ、情報収集を兼ねて何処かの食堂に行くって言うのは如何です?」
ジェニー「それ良いな、良しそれで行こう」

―大衆食堂『々々庵』―

ヘンゼル達は大賑わいしている店に入っていった

店員「っしゃいませー」
ジェニー「6人で頼む」
店員「あー、今満席でしてー」
ヘンゼル「・・・あそこの顔に包帯巻いている人・・・
10人位座れるテーブルに1人で座っていますけど・・・・・」
店員「・・・・・相席したいんですか?」
ヘンゼル「出来れば・・・」
店員「じゃあ相席良いか聞いてきますね」

そう言って店員は顔に包帯を巻いている男の元に行った

イバラ「ちょ、勇者様、明らかにあの人堅気じゃないでしょう」
ヘンゼル「良いんですよ、情報収集も兼ねているんですから、何か情報を持っているかもしれませんよ」
リーゼル「流石勇者様!!考えてらっしゃる!!」

そうこうしている内に店員が戻って来た

店員「別に構わないみたいです、じゃあごゆっくりー」

店員はそう言ってテーブルにヘンゼル達を案内する

ヘンゼル「あの・・・相席よろしいでしょうか?」
ロンリーウルフ「・・・・・構わないよ、クスクス」
ジェニー(何でこいつ笑ってるんだ・・・気味が悪いな・・・)
ロンリーウルフ「おや?アロア、君もこいつと一緒に旅してるのかい?」
アロア「え!?何で私の名前を!?」
ヘンゼル「・・・・・眼は見えなくなったんじゃないんですか?」
ロンリーウルフ「魔王の技術舐めるな、失明位簡単に治せる」
エデ「あの勇者様・・・お知り合いですか?」
ロンリーウルフ「・・・・・人の顔焼いておいて忘れるとか有り得ないー
いやー勇者御一行様って怖いですねー、人を傷付けても何も思わないんですかねー」
ジェニー「ちょっとアンタ!!さっきからベラベラ喋ってけど何者だよ!!」
ロンリーウルフ「ロンリーウルフだよ、アルデネン村で戦ったって言うのに・・・もう忘れてるのか?」
ヘンゼル「誰も覚えてないよ、リアルで1年以上前の話だよ?」
ロンリーウルフ「久々の更新だからってメタ発言全開だな・・・」
アロア「ロンリーウルフって・・・まさかネロ?」
ロンリーウルフ「気付いてなかったのか、まぁ無理も無いか
顔を焼かれて包帯グルグル巻きだしね・・・何処かの誰かに焼かれたせいで」

そう言ってエデを睨むロンリーウルフ

エデ「ヒッ・・・」
ロンリーウルフ「あぁ、気にしないで、大してこの顔は別に如何でも良いから
消そうと思えば火傷傷なんて簡単に消せるから」
ヘンゼル「・・・一体何の用ですか」
ロンリーウルフ「あぁ勘違いしないで、今日は争いに来たんじゃないんだ」
ジェニー「信じられるか!!魔王の手下の言う事なぞ!!」

ジェニーは立ち上がり、ロンリーウルフに言い放つ

ロンリーウルフ「・・・ギャグで言ってるの?僕はただ食事をしようとしてこの店に入って注文して
その後君達が相席でこの席に座ったんじゃないか、僕と相席が嫌なら店から出て行くなりすれば良い」
店員「お待たせしましたー、蛸の唐揚げと刺身盛り合わせでーす」
ジェニー「そんな物頼んでない!!」
ロンリーウルフ「僕が頼んだんだよ!!君等も注文したら?」
アロア「・・・蛸って喰えるの?」
イバラ「っていうか刺身盛り合わせって良く見ると
生魚切って並べただけじゃないですか、調理して貰ったら如何ですか?」
店員「テメェ等ウチの店の料理にいちゃもん付ける気か?店の裏来るか?」
ジェニー「客に喧嘩売る店員だと?この店は一体如何言う教育をしてるんだ?」
店員「まず最初に『料理に適当な文句を抜かす輩を客とは言わない』って教わる」
ロンリーウルフ「実に正論だな」
ジェニー「何だと!?」
ヘンゼル「ジェニーさん、落ち着いて、ここで戦い始めたら周りに迷惑がかかる」
ロンリーウルフ「そうそう、勇者の仲間がそう簡単に怒っちゃ駄目だよ」
ジェニー「ぐっ・・・」

ジェニーは席に座った

ロンリーウルフ「いやぁ勇者も大変ですなぁ」
ヘンゼル「・・・・・仲間を呼んで僕達を捕まえないんですか?」
イバラ「ちょ、勇者様!!」
ロンリーウルフ「君みたいな小物を相手にしている暇が無いんだよ」
ヘンゼル「100万Gの賞金首が小物ですか・・・」
ロンリーウルフ「まぁあいつに比べりゃあ大抵の奴は小物だよ・・・」
ジェニー「あいつって?」
ロンリーウルフ「ユキウジ、戦闘奇械を一瞬で破壊出来る戦闘能力を持つ
今生の勇者の中では最強と言われている化け物さ、首にかかってる賞金は50億G」
アロア「5、50億ぅううう!?」
ジェニー「お前等そんなに払えるのか!?」
ロンリーウルフ「魔王も王様だからな・・・金持ちなんだろ」
エデ「確かに50億の賞金首がこの街に居ると言うなら、勇者様の相手をしてられませんね・・・
この街の魔王の手下総出で如何にかしないと・・・」
イバラ「・・・良いんですか?こんな所でゆっくり食事なんてして」
ロンリーウルフ「ふん・・・」

ロンリーウルフは蛸の唐揚げを頬張った

ロンリーウルフ「・・・・・ここは僕の管轄じゃない、唯暇だったから観光に遊びに来ただけだ
ここのボスの双子飴がユキウジを見つけてきりぎりすに伝えればそれで終わりだよ」
ヘンゼル「きりぎりす?」
ロンリーウルフ「ユキウジに固執している魔族だよ」
ジェニー「魔族!?昨日医者が言ってた魔物の親玉か!!」
ロンリーウルフ「・・・まぁそんな感じのイメージで合ってるよ」
ヘンゼル「そのきりぎりすって言うのは何所に居るんですか?」
ロンリーウルフ「多分この街の何処かだよ、彼女に感謝するべきだね」

ロンリーウルフは刺身を頬張る

ヘンゼル「感謝?何故?」
ロンリーウルフ「ユキウジときりぎりすさんが来てこの街は混乱の極みだ
今なら簡単にこの街から出られるだろう」
イバラ「なっ・・・尻尾を巻いて逃げろと言うんですか!?」
ロンリーウルフ「逃げたほうが賢明だよ・・・現実問題、この街の従者隊と双子飴
きりぎりすさんは・・・如何か分からないけど多勢に無勢じゃないのか?」
エデ「多勢に無勢?貴方、私達が蟻の港を落としたのを忘れました?」
ロンリーウルフ「あの時とは状況が違うよ、蟻の港の時は人員を裂きたくなかったから増援を出せなかったけど
ここの従者隊の連中皆殺しにしても増援が出せる、ここの連中と遊んで疲れきった君達を殺すなんて簡単な話だと思うよ?」
エデ「っ!!」
ヘンゼル「・・・・・確かに多勢に無勢ですね・・・
ですが魔王の手下を黙って見逃すなんて事は出来ません」
ロンリーウルフ「・・・・・はぁ」

軽く溜息を吐いて料理を貪り食い尽くしたロンリーウルフ

ロンリーウルフ「正直残念だよ・・・」
ヘンゼル「残念?」
ロンリーウルフ「君は個人的に僕が殺したかったが・・・君を殺せば何となく絵のインスピレーションが湧くと思ってね・・・
だが、こんな如何でも良い場面で勇気と蛮勇を履き違えて従者隊に嬲り殺されるなんて・・・惜しい人を亡くしたよ」
ヘンゼル「勝手に殺さないで下さい・・・・・殺したければここで殺したら如何ですか?」
エデ(ゆ、勇者様?)
ロンリーウルフ「他の奴の管轄内でゴタゴタ起こしたくない」
ヘンゼル「破天荒な人かと思ったら意外に規則を守るんですね、思ったより小さい人ですね」
ロンリーウルフ「君の身長には負けるよ」
ヘンゼル「ははは・・・表出ろ」
ジェニー(こいつ・・・キレてるのか?)
リーゼル(こんな他人を挑発する様な事滅多に言わないのに・・・何か考えが有るんですか?)
ロンリーウルフ「あ、そうだ、この街の外れの廃墟に行くと良い」
ヘンゼル「廃墟?」
ロンリーウルフ「きりぎりすさんの強さがよーく分かるだろう
しかもそこは従者隊の警備が手薄だからそこから街の外に出られる」
ヘンゼル「・・・この街から出られる云々は置いて置いてきりぎりすとやらがどんな奴かは気になるので後で行ってみます」
ロンリーウルフ「そうか、じゃあ僕はこれで失礼するよ、次会う時は戦場か地獄かな?」
ヘンゼル「出来れば二度と会いたくないです」
ロンリーウルフ「つれない事言うなよ、じゃあ、また」

ロンリーウルフは会計を済ませ店から出た

ジェニー「・・・てっきり食い逃げして代金をこちらに押し付けるかと思ったが・・・」
アロア「ネロはそんなせこい人間じゃありません!!・・・ネロ・・・何で魔王の手下なんかに・・・」
エデ「・・・勇者様」
ヘンゼル「すいません・・・ちょっと感情が昂って見苦しい言い合いになってしまって・・・」
エデ「別に良いです・・・それよりあいつが言った廃墟とやらに行きますか?」
イバラ「罠だと思いますが・・・」
エデ「確かに話の脈絡無く廃墟の事を言いましたからねぇ・・・」
ヘンゼル「行ってみたいと思います」
エデ「え」
ヘンゼル「現状では他に情報も有りませんし・・・」
店員「おい」
ヘンゼル「はい?」
店員「注文しろよ」
ヘンゼル「あ・・・そうでしたね、じゃあメニュー下さい」
ジェニー「1人1品までだからな」
ヘンゼル&リーゼル&イバラ「「「はーい」」」
アロア&エデ((子供かっ!!))

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