小説『ドライりんご』
作者:清音希来()

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20.美雪姫と打ち合わせ

 なんなの・・なんなのマジで。。
人のこと馬鹿にしてんの?どいつもこいつも。
『夏目くんに2度と関わるなブス!!』
『お願いします。関わらないでください。』
そんなのこっちのセリフなんですけど、
「クソ野郎っっ!!」
バンと机を叩き立ち上がった。すると、ガシャンっといって倒れるパイプ椅子。
シーンとした空気。あたしに突き刺さる視線。
や・・・やばい。手元の冊子に視線を移す。
『文化祭を成功させるために』
そうだ。文化祭実行委員の顔合わせ・・という名の会議中だった。。
「す、、すいません。」
ペコリと頭を下げうるさい音を立てながら急いで着席する。そうすると、制服の裾をツンツンと引っ張られた。
「ましちゃん何してんの、クククっ。笑いこらえるの大変だから勘弁してぇ、ククっ」
隣で必死に笑いをこらえているのはまひる。生徒会は強制的に実行係に回るようになっているので、生徒会の一員であるまひるも出席しているのだ。あたしだったらそんなの耐えられないが当のまひるは、
「まー、ましろっちが一緒だし全然いーけどね。」
とヘラヘラ話していらっしゃった。立派すぎる・・・。
「真白さんにクソ野郎と言われた俺のようなクソは置いといて、本題に戻りま〜す。」
あたしの一言で異様な程の静けさに包まれていた教室が、司会担当の男子生徒(あたしの隣の隣の子)の佐伯颯馬くん(さえきそうま)の発言によって急に笑いでいっぱいになった。ん?
「いやいやいや!?違いますからね!!この場の誰でもないですからっ。ホントに。命かけても違いますからっ!!」
自分でも何を言ってるかよくわかんなかった。けど、
「「ハハハハハハ」」
必死さは伝わったらしかったからいいとしよう。(爆笑されたけど)
そんなあたしは、ふぅ・・とため息を漏らし、机にそっと頭を伏せた。真っ暗になった視界に、
見えた・・・・・のは、━━━━━━。
「真白さん?大丈夫??」
そんな声が頭上から聞こえる。あいつとは、大違いの優しい声。
バッと頭を上げると、
「あれ?誰もいない。なんで?」
「アハハハっ。さすがましちゃん。あの数秒で爆睡するとは。」
「さすがまひるの友達なだけあんな。」
「そうでしょー。ましちゃん超面白い!」
隣を見るとまひるが座ってて、上を見上げたら佐伯くんが立っていた。
でも、2人以外はみんないなくなっていた。どうやら寝てしまったらしい・・。
「しょ・・しょうがないじゃん。昨日全然寝てないんだから・・。」
「そぉーかそーか。」
くしゃっとまひるに頭を撫でられた。うぐぅ〜・・・。
「あ、そうだ。佐伯くん、さっきはありがとうございました。」
イスから立ち上がりくるりと半回転。
「別に助けたつもりはなかったんだけどねー。結果オーライって事で。」
とニッコリ微笑んで言ってくれた。いい人だ。
「よし。早く行かなきゃ晴亜たぶんキレ気味だと思うから。」
まひるも立ち上がり、苦笑いを浮かべながらそういうので、
「確かにそうだね・・。」
とあたしも苦笑いを返した。
「じゃあね、颯馬」「ああ、じゃあな。」
そんな会話を見てから、あたしも佐伯くんに一瞥し晴亜の待つ教室へと向かった。

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