小説『ハツコイ』
作者:()

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 いろんな所を巡った。

 私は雛美に言われるがまま、崗東中生徒のピグのお部屋へ次々に移動していた。

 「私は誰でしょーか」から始まり、私がわからずに黙り込むと雛美がすかさず答えを言う。そして私が納得する。

 そんなシーンが何度も続き、私はもうウンザリしていた。

 もう時計の針も11時半をまわった頃だが、私が今いる部屋に私を含めて崗東中生徒は6人いた。

 数人の同世代がこんな晩い時間に集まっているというのはとてもヘンな感じだ。

 というか普通ならありえない。

 ……なんだか若い年代でピグが流行っている理由がそれとなくわかった気がした。

 雛美は相変わらず親しそうに崗東中の二年生男子と話している。

 人とのコミュニケーションに消極的な私は、椅子に座って彼らの話を傍観していた。

 これまで[ひそひそ機能](ひそ)で何度か雛美に別の所に移動していいかきいてみたが、ダメの一点張りで私はその場から動けなかった。

 きっと、雛美と話している二年生の先輩や同学年のみんなは無言でいる私を変に思ってるんだろうな……。

 沈んだ気分で[コミュニティ]や[ショップ]をしばらく見ていたとき、ピピッともはや聞きなれた通知音が鳴った。

 見ればピグとも申請(P申)が来ていた。

 この一時間でピグとも(P友)は随分と増えた。

 雛美についていった先が全て崗東中生徒の部屋で、同中という接点から部屋にいたピグから次々にP申がきたからだ。

 P申を送ったピグの名前は【LOVE守護神】。

 プロフを見たが、大したことは書かれていなかった。

 今までと同じように崗東中の生徒だとは思うけど、一応雛美に確認をとっておくことにした。

 と、その矢先、部屋に凝った格好をした男のピグが現れた。

 雛美と話していた二年生の先輩がそのピグに手を振るアクションをする。



(23:32) 洸太: よっw
(23:32) 洸太: 今日まぢうけたわwwww
(23:32) LOVE守護神: え? あれってなに?
(23:32) 洸太:とぼけんなwww
(23:32) 洸太:今日おまえホールでやってたじゃねーかw
(23:32) ひなみ: あっ
(23:33) ひなみ: ひなみもみたw
(23:33) ひなみ: ときいさんが
(23:33) ひなみ: ホールで
(23:33) ひなみ: うたってた
(23:33) ひなみ: wwwwwww
(23:33) LOVE守護神: みなみ見てたんww
(23:33) ひなみ: うn
(23:33) ひなみ: かっこよかったwwwww
(23:33) LOVE守護神: え、ありがと
(23:33) ひなみ: wwwwwwwwwwwwwwwww
(23:33) 洸太: wwwwwwwwwwww
(23:33) LOVE守護神: ファンになる?
(23:33) ひなみ: いや
(23:33) ひなみ: 遠慮しときますww
(23:33) LOVE守護神: あ、そう
(23:33) ひなみ: wwwwwww





























































 ときい――――だって……?

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