小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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11話 妖精との再開


















「サラ!ランド!!」

|妖精の尻尾(ギルド)の前に立っていた男が、3人を確認すると大声で叫ぶ。

「あ!ジャック!」

ランドが笑顔でそう言う。

「お兄ちゃん!ありがとう、下ろしてくれて良いよ!!」

そして、2人を下ろすと、

一目散に2人はジャックのほうへと駆け出した。


「お前ら何処に言ってたんだよ!いつまでたっても帰ってこないから、皆心配したんだぞ!?」

その顔は・・・・・

本当に心配していたんだろう。

心配させた事への怒気とそしてそれより有り余っての・・・

安堵の表情だった。

「ご・・・ごめんなさい・・・」

流石に悪いと思ったのか、ランドとサラは頭を下げる。

このとき、僅かにランドのほうが前に出ている。

それを見ると・・・また 微笑ましいものだ。



「いたのか!!」「良かった!!」「ったくよ!!!心配かけやがって!」



暫くして・・・

ギルドにどんどん人が集まってくる。

時刻は・・・もう深夜だ。

それなのに、こんな人数が集まるから驚きだ。

全員・・・?

とまあ、所謂ギルドの前がお祭り騒ぎのようだった。

遠くから見るのと近くから見るのでは迫力が・・・ 苦笑

百聞は一見にしかず・・・ 一感は百見にしかず・・・

といったものか・・・・

2人に抱きつきながら 泣くもの・・・

それを微笑みながら見てるもの・・・

同年代の子供だろうか? ぺたりと座り込んで泣くもの・・・

そして・・・心底安心したもの・・・

『ふむ・・・ 良いものだな・・・』

気付けば微笑んでる自分がいることに気がつく・・・

その時、



「ランド!サラ!!」



聞き覚えがある声が聞えてきた。

「ま・・・・マスター・・・」

ランドは・・・マスターを見て少し緊張していた。

ひょっとしたら・・・・怒られちゃうかも・・・と、

まあ、何人かには怒られはしたが・・・

やっぱり、ギルドのマスターは親みたいなものなので・・・

別格なのだろう。

だが・・・


ぎゅ・・・・・


2人を抱きしめた。

「も・・・もう! 心配したんだからね・・・」

慈愛に満ちたその声・・・・

そして・・・2人も抱きつく。

「ごめんな・・・さい・・・」「ごめんなさい・・・」

心底皆に心配をかけたのだと、子供ながら改めて実感し・・・

そして、涙を流していた。

そんな3人を囲むギルドのメンバー。

皆の顔は・・・

もはや言うまでも・・・ 書くまでも無いと思われるであろう・・・ 苦笑





暫くして・・・・

「あのお兄ちゃんが助けてくれたんだよ!」

ランドが、指を刺したところには・・・

1人の青年が立っていた。

「そうだったのか!アンタ!!どうもありがとうな!!」

そして、あっという間に俺の周りに人だかりが出来る・・・

本当にあっという間に・・・ 苦笑

『む・・・?たまたま 通りかかった偶然だ。問題ないさ。』

というが・・・

「そんなことねーって!ウチの家族を助けてくれた恩人だ!」

といわれる・・・

家族か・・・

『ふむ・・・ ならば、その礼は素直に受け取っておこう。どういたしまして・・・』

そういって笑った。




「私からも・・・お礼・・・を・・・・・・・・・・・え・・・・・」

言葉が・・・途中で止まってしまう・・・

皆・・・そんなマスターを見て少し、動揺?していた。





メイビスは、人だかりも多かった為、

顔がよく見えなかった。

そして、ギルドの長・・・

その身なれば、当然自分自身もきちんと言っておかなければならない。

そして、人を掻き分けて・・・・・・

やっと、恩人の前にこれた・・・

そして、頭を下げ・・・

その人を見てみると・・・・・

言葉を失った・・・・・・・

この人は・・・・

あの時からずっと・・・想っていた・・・・・・






『礼ならば他の者に、これでもかというほど、受け取っている、十分だよ。』

そう言って笑った・・・

「あ・・・いやっ・・・ その・・・・・・・」

言葉が中々・・・出てこない・・・

あの時は・・・あんなにあっさりと話せたのに・・・

少し・・・落ち着こう・・・

「すぅ〜〜〜〜 はぁ〜〜〜〜〜」

そして 深呼吸・・・

「マスター?何やってんの?」

とまあ、奇怪な行動だなぁ・・・と思いながら、話すのはディアス。

「あ・・・ ははは・・・ 2人を必死に探してたら、疲れが溜まっちゃったのかな・・・?? ちょ・・・ちょっと落ち着こうとしただけだから・・・!!」

メイビスはそう言う。

言葉は・・・出てくるようになったが・・・

顔が熱い・・・・・

今が・・・暗くてよかった・・・・

「あの・・・ 本当にありがとうございました・・・私の大切な家族を助けてもらって・・・」

一度落ち着いたのが幸いしたようだ。

割とナチョラルに・・・会話が出来ていたと、

心の中ではグッと拳を握っていた・・・・ 苦笑

『はは・・・ もう良いといってるのだがな・・・』

そう言って、再び笑う・・・

「・・・・・・」

この人は・・・こんなに笑う事が出来たんだ・・・・

そうメイビスは感じていた・・・

あの時は・・・・別れる前(なんか言い方ヤダだけど・・・)に微笑んでくれたけど・・・

また・・・言葉に詰まる・・・


(これぁ・・・ひょっとして・・・・)

とまあ、感づくものも必ずいるもの・・・

「マスター!」

バンッ!っと肩を叩く。

「ひゃああ!!な・・・・なに!!」

突然虚をつかれたため、驚いて甲高い声を出してしまった。

「こんな夜遅くの外にいつまでも いねーで、ギルドの中に入ってもらいましょ〜?」

ニヤニヤ・・・しながら・・・

「う・・・・・そっ そーね!お礼もしたいですし!」

感づかれた・・・????

そう思っていた。

何せ相手は・・・

「というわけだ!ささやかだが・・・ ギルド内でもてなしたいんだが・・・いいか?」

そう言って、男の方を見る。

『ふむ、それはありがたい事だな、わざわざ。』

異論は無しのようだ。

「いよっしゃ!!皆!準備しようぜ!!!」

その男の一声で・・・皆ギルドの中へ・・・

まあ・・・元々、日常生活の殆どが、お祭り騒ぎだから 来ればこんな感じになるのはわかっていたことだ。

それを、近くで体験したいと願ったのは俺の方なんだしな・・・

そして、皆あっという間に、ギルドに入り・・・

残ったのはメイビスと2人。

「あ・・・あの・・・」

メイビスは・・・ちょっと顔を俯かせて・・・

「覚えて・・・」

・・・・言葉が・・・またでない。

また、意識しだしちゃったみたいだ・・・

『ふふ・・・ ああ』

少し笑い・・・メイビスの方を見る。

メイビスは・・・まるで・・・妖精のように・・・笑顔になる・・・・・

『また会えたな・・・妖精(フェアリー)・・・』

だからこそ・・・あの時のような台詞が・・・口に出てしまった。

考えての事じゃない・・・

「あ・・・//」

メイビスは・・・その笑顔のままで・・・

「さ・・・さあ!中へどうぞ・・・」

手を・・・ 取る・・・ 

『ああ・・・ありがとう。』

迷うことなく手を握る・・・

柔らかい・・・手だった。




「やっぱりな・・・・・」

ディアスはこっそりと・・・2人を見ていたのだ。

「あの男が例のかぁ・・・・・へへっ」

あんな幸せそうなマスター見るのは初めてだ。

まあいつも家族(ギルド)に向けている笑顔と比べるのは間違えていると思うが・・・

違う種類の笑顔だった。

こんな可愛いマスターなら・・・

「やっぱ、ちょっとからかってみてーな〜〜!でもな〜 アン時はえっらい目にあったし・・・ いや!今なら、その想い人がいるんだ!大丈夫かも!?」

そう言ってると・・・

「こら!」

ガツン!

「いで!!」

頭をどつかれた・・・

「あんまり茶化してやるなよ? もうちょい黙ってみててやれ。」

いつの間に・・・

「はぁ・・・いきなり背後に立つの止めてくれよオヤジ・・・びっくりこくじゃん!」

「お前の考えてる事なんざ大体わかるもんでな・・・」

そう言って笑う。

「まあ、いいじゃん?多分、俺以外の連中もわかってると思うぜ? あんな態度とってわかんねーのはよっぽどの鈍ちんか、子供(ガキ)くれーなもんだろ?」

そう言って笑う。

「それもそうか・・・」

そして、ジャックも笑っていた・・・

2人は・・・

マスターとそして、もう1人の男が入ってくるのを確認すると・・・

宴会準備(もてなし)?に戻っていった・・・







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