小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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16話 列車内にて
















ギルドから移動の手段は、主に列車・もしくは魔道四輪車・馬車だ。

・・・まあ翼を持つ俺としたら、やはり不憫なものがあるが・・・

郷には郷に従えとも言う。

人としての生活も体験しないとな…

列車の窓から外を眺めていた…

「考え事か?ゼル。」

ジャックが話しかける。

『ん…?まあな。外が気持ちいいと思ってな。』

乗り物というやつに乗るのは、初めての経験だ。

…ああ 2回目か。以前の依頼を受けたときは魔道四輪だったな。

列車はそれよりも早い速度だ。

窓を開けると心地よい風が顔を叩く…

「外が気持ちいいか・・・・ まあ確かにな。」

ジャックも同感といった感じだ…

暫く2人はそとの景色を楽しんでいた。



「さて… そろそろ、今回の件に関して説明しておこうか。」

ジャックから本題に入る。

『ああ、頼む。確かSS級クエスト…だったな?一体どんな内容なんだ?』

ゼルがジャックの方を向く。

心なしか・・・・少しワクワクしているようにも見える… 苦笑

「はは… 楽しみな所悪いんだが… 結構危険な内容だぞ?」

皮肉をこめた…ほんの少しだが…

『かまわないさ、俺は色々と経験をしてみたいんだ。』

簡単にかわされてしまった。

とても純粋な男だ。

興味あることには好奇心をむき出しにしている。

SSと言う難易度については事前に説明したことがあるはずなのだがな…

(…ゼルは見た感じ…どこから見ても人なんだよな… 違うところは、最近じゃ珍しい程の純粋さだ。裏表がまったく無い。言葉の奥に隠される計算が全く見えない・・・ ただ、興味あるものには何でも心を開くように聞いている… それを感じてメイビスが見ほれたのかもな…)

会話中に…ジャックはそう考えていた。

『?』

当然ゼルはこんな感じに・・・










クエストの内容は…

火山帯の調査だ。

ここ最近、火山帯で取れる鉱物の発掘者が行方不明になることが相次いでいる。

場所は…火山だ。

普通に危険な場所なのだが…

SS級に分類されるほどではない。

採掘の専門する業者なら、普通に行っているような場所だ。

だが・・・・・・・

その行方不明者捜索の依頼が相次いで失敗している。

捜索者である、魔道士でさえ…行方不明となっているのだ。

事態を重く見た評議員からの白羽の矢が当たったのが妖精の尻尾だった。

最初は渋ったのだが…

このクエストには何かがある…と 直感した。

|あの時(・・・)同様に…




『ふむ… 火山地帯…位置的に 向かってるのはザファイ火山か… 入り口付近くらいならば、問題なかろうが、奥に入れば入るほど、危険が増すという事は そいつらは知っているのか?』

ゼルディウスがジャックにそう聞いていた。

「何?そんな話は聞いてないぞ?」

さっきとは逆に今度はジャックがゼルのほうに聞いている・・・・

『あの場所は、ヴァルツァーレが生息している場所だ。奥へ行けば行くほど遭遇率が高くなる。最近はそういう話は無いのか?』

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「なに…?ヴァル…危険度Sクラスの火を司る怪鳥じゃないか!」

ジャックは驚きながら話していた。

ヴァルツァーレ…

火を纏う鳥(フェニック・バード)と呼ばれている、獰猛な鳥だ。

気性が荒く、縄張り意識も高い。

そして、知能もある。

それはバルカンとは比べ物にならない知能だ。

危険指定種に認知されている怪鳥なのだ。

『…なんだ、知らなかったのか?』

「いや、しらねーから驚いたんだよ。今の話はマジなのか?」

突っ込みながら話す…

『…だから嘘をつく意味も無い、マジだ。 今現在はどうなってるかは知らんがな、確かにあの場所にはあの鳥がいたのは確かだ。』

淡々と話してるけど…

「なんで、そんなの知ってるんだ?」

そこが不思議だ…

『…探究心からか?』

「質問に対して疑問で返すんだな…」

ジャックは呆れていた…



正体について…

語ってもいいものか…ゼルは決めかねていた。

竜と人…

それは共存できるものではないからだ。

古来より、アクノロギアの所業で竜の存在は恐怖の対象となっているのだ。

故に…

決めかねる…



『実を言えば、あの火山地帯には行った事があるからな。』

これは事実だ。

もともと気の向くままに… 世界を放浪していたのだ。


「…なるほどな。実際見たからか。なら、お前さんが最初の発見者かもしれないぞ?危険指定種の。」

指をさし、そういう。

「評議員に通達すれば、報酬が得られるかもな。」

・・・?

『いると伝えただけでか?』

ゼルは不思議そうにそう聞く。

「もちろんそれ相応の証拠が必要だ。生きているという確実な証拠がな。」

『ふむ… 証拠か… 俺が見ただけだからな。それは無い… でもま、別に報酬にはまったく興味はないから問題ないか…』

ゼルはそういっていた。

「はは… お前さんは本当に興味のあることにしか、目がむかねーんだな。金がはいるっていうのによ。」

『ふむ… 人が生きていくには金が必要ということはわかっている…む… 少しは執着したほうがいいのか…?』

ゼルは腕を組みながら考え込んでいた…

そういってしまえば、自分が人ではないって認めてるようなものだろう…

「ゼルはゼルのままがいいさ。マスターもその方が良いって言うと思うぜ?」

『む… そうか。ならそうしよう。』

話し込んでいるうちに…

目的地に近い駅まで到着した。

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