17話 ザファイ火山にて
ザファイ火山…
ここは、灼熱の空気により、生きるのには過酷な環境の場所…
「ふぅ…ついたな。」
『ああ、』
ゼルは懐かしそうに、あたりを見ていた。
「しっかし熱いな… まあ、当然だが。」
腕で汗をぬぐいながら呟く。
『火山帯だからな、』
ケロッとしてるがな…
「ゼルはそうでもなさそうに見えるが…?」
『む?外に比べれば格段に熱いだろう?摂氏85℃。十分に熱いと思うが?』
不思議そうに見てる…
熱がってない所の方が不思議って言いたかったんだが…
「あ〜〜 いや… なんでもね〜や。さっさと行こうぜ。」
頭が働かん…というか、考えるのもしんどいから何も言わなかった… 苦笑
暫く…
道なき道を進んでいっていた。
位置的には、採掘が行われる開けた場所よりさらに奥だ。
いつもの場所(採掘ポイント)には誰もいなかった為。
奥へと進んだ。
「…無事だといいがな…」
『…ああ、そうだな。』
そう呟く…
ゼルも同様だった。
依頼者は…助けてくれと懇願していた。
涙を見せながら…
それを見たら・・・助けたくなるというものだ。
だが…
生存確率は決して高くないだろう…
環境も最悪だ…
『ぬ…』
ジャックが考え事をしていたとき…
ゼルが声をあげた・
「どうした…?」
ジャックがそう言うと・・・
『あれは…?』
ゼルが前方…黒い大きな物体に眼をやる。
巨大な…塊?岩石や火山弾の残骸と言った類ではない…
「こいつぁ・・・」
『ああ…ヴァルツァーレだ… その骸・・・だな・・・』
ゼルがそう言った。
その塊は・・・ヴァルツァーレの死骸だった。
ジャックも見たことがあるらしい・・・
直ぐに間違いないと判断していた。
『ここに・・・何かいるぞ・・・』
ゼルが身構えた。
「ああ・・・」
ジャックも同様だ、
ここの…生物で、コイツより強い怪物(モンスター)はいない。
この火山帯の生態系の頂点に君臨する怪鳥だ。
それが・・・・・・
ドゴオオオッ!!!
!!
背後の…岩がコナゴナに崩れ去った・・・
その先にいたのは・・・
「・・・・・・お前は!!」
ジャックが…驚きながら…構えた。
『なんだ・・・?コイツは・・・』
ゼルも同様だった。
2人が見たのは・・・
全身が黒く…そして、黒いミスト・・・影を纏っていた・・・
人間・・?なのか・・・?
「妖魔・・・」
ジャックから・・・殺気がとぶ!
妖魔・・・
数々の・・・人間を襲い・・・闇に引きずり込む・・・
混沌の悪魔。
人の形をした、人あらざる者。
『コイツが・・・妖魔・・』
ゼルは・・・不思議に思っていた。
コレは?
人間じゃないのはわかるが、この感じは以前に感じたことがある。
あれは・・・確か……
「ゼル!あぶねえ!!」
油断!
その男から暗黒の波動が飛ぶ!
「超圧縮(コンプレス)!」
ギュイイイィン!
ジャックは暗黒の波動を受け止めると…
両の手で挟み・・・ 闇を1つの球体状に圧縮した。
「…また・・・会ったな・・・妖魔・・・ 」
ジャックは静かに・・・そう呟いた・・・
それはジャックの過去のことだ…
以前・・・の依頼。
依頼終了間際・・・のことだった。