21話 1人じゃない
外は…
空は…
いつもの空じゃない。
暗黒が…広がっていた…
『…来た。いくらなんでも早すぎると思うんだがな…』
いくら隣接している山脈とはいっても、ベースは人間。
移動速度を見誤っていた。
ゼルは窓から外を見る。
…昼だというのに あきらかに空の色がおかしかった。
「ッ!!皆さん!まずは街の皆を!子供たちを!」
メイビスは大声でそう言った。
その声とほぼ同時に、メンバーは動き始める。
そして、街も一気に騒がしくなっていた。
『・・・・・・・・』
ゼルは、魔力の発生箇所を感知すると…
扉へと向かう…
「!!ゼル?」
メイビスは、あわただしくギルドメンバーに指示をしていたとき…
横目でゼルが出て行くのが見えたため…
「まって!!」
直ぐに追いかけてきた。
『…今から避難誘導しても遅い。はやくあれを止めなければ、妖精の尻尾は…ギルドは大丈夫でも街が全滅だ。』
そう言った。
「・・・貴方が・・・1人で止めるつもり・・・ですか?」
メイビスは・・・静かにそう言った。
『…1人じゃないさ。』
メイビスに振り返り笑いかける。
「え…?」
メイビスは、思わず声が上ずる。
『…街を守るもの・避難させるもの・隣接の街にも連絡を… これほどの作業…1人では無理だろう。…オレはオレの出来る事をする。皆が頑張ってくれているからこそ…安心してあれを止めれるんだ。』
そう言ってメイビスの目を見た。
『オレはギルド…沢山のギルドを見てきたが… ここより良い所は知らない。…良いギルドだと、心から感じたよ…新人のなのにな。』
「あっ………」
メイビスは…顔が赤くなり…そして、笑顔になる…
『…メイビスは、ギルドの子供や、街の皆を守ってくれ。後はオレを信じてくれないか?』
そう言う。
笑顔は消えていた…
とても真剣な目だ…
「…わかりました… 私は貴方を…ゼルを信じます。…どうか、無事で…」
メイビスはそう言うと…戻っていった。