小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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23話 祈りを…











彼らを…

人間たちを近くで見ようとしたんだったな…

実の所ゼルディウスはこれまでに…

【人を殺した事など一度もない。】

生きようが死のうが…

全く興味がない存在だったからといえばそうなのだが…

今は違う。

(…こんなに変わるとは当時は夢にも思わないだろう…な…)

そして、興味を持ち…

尚且つ心を許せるほどの存在となったのだ…



そして、目の前で…苦しんでいる男…

この男…相手が単純な…純粋な悪党ならば、ここまで考えたりはしないだろう。

これまでの噂どおりの存在であれば…

だが、この男は自らを殺して止めてくれと願っている。

そんな人間が悪のはずがない…邪念があるはずが無い…

命を奪ってきたのは間違いないことなのだろうが…

そんなことはしたくない…

だから、壊してくれ…といったのだろう。


…壊すのは…

殺すのは…

やはり、躊躇してしまう…




「ぜれ…ふ…  るがあああああああああああああ!!!」




その間にもこの男は叫び続ける。

命を奪う暗黒の波動と共に…





もう…時間がないのも確かだ。

この者の…命を奪わねば、街そのものの命が奪われる。






『…願わくば… また、お前が人として生を受けられる事を……』






初めて…人に祈りをささげる…

竜であるオレが…

そして、

軽く目を瞑り…

両の手に力を集中させた。




キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ・・・・・・・・・・・




『ドラゴネス・グリッター』

…圧縮された膨大な力…

それの光はゼルディウスの両の手を離れ…

目も眩む光弾となって、妖魔を多い尽くした。

暗黒に照らされた一陣の輝き。

それは、我が敵の存在を許さぬ無慈悲なる力。

認識した敵を包み込んで行き…


そして光の中…

妖魔の体は徐々に削れて…逝く…




それは時間にして殆ど一瞬の出来事だったが…

確かに聞えた。





(………礼を…言…う……  ありが…とう…)





と………






その光は街にもとどいていた。

「あれ!なに!!スゴイ光!!」

子供が叫んだ。

その声に反応し皆そちらの方を見る。

今の今まで、街を覆っていた暗黒の空に一筋の光。

輝き…

「ゼル・・・?」

メイビスはその光を見てそう思った。

その光は凄まじい魔力を感じた。

無慈悲で…全てを圧倒するかのような…

だが、それとは裏腹に…

優しい感じがしたのだ。

矛盾しているかもしれないが、確かに感じた…

あの時感じたままの…ことが…





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