小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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25話 竜


























メイビスは…ずっと抱きついている。

そして…

ここでも変わった風景が見られたのだ。

メイビスが一方的に抱きついているだけではない。

ゼルも……

メイビスに……









「そろそろ、帰ろうぜ?俺たちの家によ?」

ディアスが、抱きついているメイビスにそう言った。

野暮な事はあまり言うものではないが…

ちょっと、まあ、抱きついている時間が長い。

ゼルもずっと、抱きついたままだし…

あのゼルが??って思ったけど……まあ、状況が状況だ。

ご両人!って感じだろうさ。

でもな…本当に長いんだ。

あのへんだけ時が止まっているようで…

ガキたちも一緒に抱きついてる感じとか微笑ましいもんもあるが…

まだ、街の後始末が残っている事も事実だ。

妖魔の暗黒の波動…あれは、建物にまで被害をだしてるからな……

ってなわけで、夢の時間は終わりってことだ。





「あ…ご…ごめんなさい…」

メイビスは、はっとしてゼルから離れた。

『そうだな、まだ街に影響もあるかもしれないから、それを確認しようか。』

ゼルは至って冷静。

さっきまでのハグシーンは何だったの?って感じな… 苦笑

(まあ、そこがゼルらしいっちゃあらしい…か?)

ディアスは苦笑いする。

「む〜〜…」

んで、メイビスむくれた…

『…ん?メイビス?どうかしたのか?』

そんなメイビスに聞くが…

「なんでもありませ〜ん…」

そう言ってプイっとそっぽむいた。

『そうか…?』

ゼルは心の機微まではわかっていないようだが…

ただ、ゼルのいつもと違う所は…

笑顔が…凄く自然になっていたことだ。






そんな光景を見てしまったら…

ってかもう限界みたいだった。

ギルドのみんなは…… 苦笑




「はははっ いつまでもそうしてられねーぞ?マスター!痴話げんかなら後にしろって♪」

「いやはや、ごちそうさんでした♪」

「そーだ♪そーだ♪」

「マスター顔真っ赤だ!!」

「わーーい!おめでとーーーマスター!!」




一気にはやし立てるギルドの面々…

そして、ませている子供たちも同様…

まあ当然先頭にいるのは…

サラ… 苦笑


「も…!!もう//みんな!!!」

だから、メイビスは赤くなる。

妖魔の時の計画みたいに冷静でいられてないようだ…









『ったく…こいつらは………ははは。』





ゼルはずっと笑っていた。


子供たちの笑顔…


ギルドのみんなの笑顔……


何より……


自分のことを好きだといってくれたメイビスの笑顔……





この風景をいつまでも見ていたい……



いつまでも…こんな笑顔で……


そして、自分もその中にいるんだ……


そう思いながら…














しかし…









すぐに【それ】は遣ってくる。



笑顔が消えうせる……ことが……




いつか…



どこかで聞いたことのある言葉。





災難………。それはたたみかけてくるという事が世の常だということ。














?グルオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ?



















大気が…震えている。

大地が…悲鳴を上げた。

街も…再び崩れてゆく……

その中でも…

一番の大きい建物カルディア大聖堂。

それが……

大きな音を立てて…崩れていった…

叫びだけで…だ…。

耳の鼓膜が破れてしまうと思うほどものだった。




「な…なに!!」

メイビスは、直ぐに辺りを見渡す。


「が!!耳がいてえ!!!」

「うるせっ!!!」

「あう……」

「う…あ…」


ギルドのメンバーも全員両耳を抑えて蹲る。



『………これ…は………… ま…さ…か……』



ゼルは、辺りを…空に注目する。



そして、咆哮に混じって感じる気配・魔力を察知しようとした。



それはあって欲しくないもの。



そう思ったが直ぐに【それ】の正体を確信する!




『…アク…ノ…ロギア………。』






災厄の竜がこの街近づいてきているのだ。

-26-
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