小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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27話 別離の時……












































『…やはり・・・ 間違いない…か… 何故ゼルディウスがこの場所にいる…?竜人化などをして…なぜ人をかばう?』






アクノロギアは【何か】の方に向かってそう呟く。


『…気まぐれで、気のままに放浪していた奴が…?』


考えてもわからない。

だが…


『…同種族とこれ以上やりあうのは、やはり好ましくない。』


そう呟くと。


翼を広げ…空高く飛び上がる。



そして…



姿を…消した。

































何が起こった?


誰一人として、理解できるものなどいない。


災害そのものが目の前で爆発したのだ。


状況が直ぐに理解できる方がおかしい。


唯…メイビスだけは違和感を覚えた。


それは…


胸の中にあった…温もりが感じられないのだ。


抱きしめて…いたはずの、感触が……



そして…


咆哮で巻き上がっていた粉塵が…徐々に晴れていく…


あの巨大な姿の竜は…


もうどこにもいなかった。


だが…


1つ…だけ…


見えた…


さっき…見た光景と…同じ…


竜に対峙する男…




『………………………………………』





ゼルディウスが、仁王立ちをしていたのだ。


それが、ゼルだと悟ったのは、メイビスの一声からだった。


それに続いて…


皆が…叫びながら……


涙を流しながら…


駆け寄る…


皆が…無事だと悟った時。


ゼルは、糸が切れた人形のように…


地面に崩れ落ちた。







「ゼル!!!」



メイビスが…抱きかかえる。


それを中心に…ギルドの皆…


囲むように立っていた。


『……むり…したな…』


ただ…そう呟いた…


「し…しっかりして… そ…そうだ…!いま…治療を…」


メイビスは・・・そう言いながら


治癒をしたが…


効果が…全く無い…


「だいじょうぶ…よね…? ゼルだもん… ねえ… ねえ!」


周りは…メイビス以外はまるで、時間が止まっているかのようだった。


『…もういいさ……… このすがたで… このけいたいで、あれをうけとめたんだ… どうしようもない。』


ゼルは、淡々とそう言っていた。


苦しさとか…そういった感じは全く無いのに…


不安だけが、辺りを支配する…


「どうしようも…?そんなこと…そんなこと!!」


メイビスは、涙を流しながら叫ぶ。



『…そうだ、あやまっておかないとな…』


ゼルは、何かを思い出した。

そう言った表情を取ると…


『かくしていたことがある。ずっと…おまえらに…』


そう言って、皆の顔を見渡す…


皆…泣いていたもの、呆然としているもの…それぞれ…だったが…



怪我らしい怪我はしてないようだ。


それだけで、安心できた。


ゼルは、安心すると…続けた。


『おれは…ひとじゃない… さっき…おまえたちの…たいせつなまちをおそったやつと…おなじ…そんざいなんだ…』


・・・・以前にジャックはメイビスだけにそう話していた。


だが、他のメンバーはそんなことは知らない。


大型の新人だ!と思っていたものが殆どだろう。


『いわゆる…りゅうってやつさ…』


そう言う。





そして・・・


なぜ・・・このギルドに来たのか…


その事を…


全てを語った。












『……すまなかったな… だましたうえ… こんなことになっちまって… 』


表情を少し…落としていた。


同じ種族のものの攻撃なのだ…


そう思っているようだった。



『ゆるしてもらえるなんて… はなからおもってない…さ…』


寂しいが…な…



そんな時。



「許すも…何も…貴方は…私たちの仲間です・・・ とても…大切な…仲間…なんですから…あやまらないで…助けて…くれたんだから…」


メイビスは、手を握りながらそう言う。


涙は止まる事の知らない…


ずっと…流れ落ちていた。


メイビスと同じように…


皆が、ゼルの体を触っていた。




『…はは…そうか… ありがとう…な…みんな……』



ゼルは…これまでに無いほどの、安堵した表情になると…



『もし…うまれかわり…ってやつが、あるなら… ヒトとして…いきたいな… そして、また…はいりたい…フェアリーテイルに…』


ゼルは…そう呟く。


メイビスは…ずっと…叫んでいた。



(いかないで…おねがい……と………)


しかし…


体が、消えてゆく…



『……なかないでくれよ…おれは、えがおが…すきだったんだ。メイビス…きみの…』


メイビスは泣かせてるのは…だれのせいよ!っと叫ぶ…


ゼルはそれを聞いて…残念な表情をする…


好きだった顔が見れないのか…と…


『…なら…さいごに…おねがい…きいてくれるか…?』


ゼルは…力を振り絞って、ギルドのメンバーの顔を見渡していくと…



『みんな…わらってくれ…いっしゅんでいい… えがおのギルド…それがフェアリーテイル…だろ?…それいじょうは…もうのぞまないから…』



切なる願い…


それは、笑顔を見る事だった。



ギルドの皆は…


ぎこちないが……必死に笑顔を作る。


子供・大人関係ない。





ランドは…必死に唇を噛んで耐え…


サラは、ランドの服をギュっと握る。


ディアス・スタイナーも…涙を何度も拭って…


ジャックは…ネイビスの肩を掴む…


その掴んだ手は震えていた…






メイビスは…



はじめてあった…


あのときを……思い出す。


愛しさであふれた…あのときを……


必死に…必死に笑い顔を…作った。




そんな…ギルドの顔を見て…

心のそこからほっとする……

『メイビス…すきだったよ…いや…すきだってきもちが…りかいできたっていったほうが…ただしい…かな…』






そう言って……

ずっと…顔を近づけて泣いている…

いや、今は必死に目を瞑って…そして笑ってくれているメイビスの唇に…キスを…した。


メイビスは…目を見開いた。

そこには……もう……




















(みんな…オレの家族…だった…  本当に ありがとな…)






声ではない。


さっきと同じだ……


直接、頭の中に響いてきた言葉だ。


そして………………………………………






ゼルディウスの姿は………………………………………





消え去っていた………




優しい声だけを頭の中に…心の中に残して………………………………………








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