小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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28話 愛しい存在


































場面は変わる……




そこは霊峰と呼ばれている場所。



……2頭の竜がにらみ合いをしている場所。


(0話〜1話参照。)



『なんだ… 気が変わった…ということか?』


黒き竜はそう聞いていた。


『違うな……オレはこんな事をする為にここに来たわけではない。俺たちの争いは世界を滅ぼしてしまう。……そんなことは御免だ。』


そう言い…殺気を鎮めた。


『あくまで…害虫どもの味方……と言うのだな。』


その黒き竜はそう呟いた。


その目は…

少し、悲しみのような…

切ないような…


そんな感情が読み取れる。



だが…同意することはできない。



………決して。


『ああ、 俺はお前の前から姿を消す… もう、会うことは無い。』


そう言う…。


『もしも…… 年月がたち…再び合間見える時 お前が…人を襲っているのを見たらな……。』


その目は…黒き竜と同じ…少し悲しみのようなものが含まれている。


『俺は お前を止める。必ずな… この命を懸けてでも…』


そして… 黒き竜を見る。


『……………………』


納得は出来ない…


そして…してないが…。


その目を見れば覚悟の程は伝わる。


何を言っても… 自分の真意を変えたりはしない。


確信できるのはなぜか…


それは自身がそうだからだ。


『ふん… 約束は出来ない。今も我は奴らを害虫としか思えんのでな、…が、同族である貴様と敵対するのも複雑だ。』


そう言って、黒き竜は翼を広げる……。


『我は、貴様ともう合間見えることが無いことを願うとしよう。』


そして、飛び去っていった。


『…さらばだ、アクノロギア…』


そう言って…


ゼルディウスも姿を消した…










そして…


ゼルディウスは人間の世界を視る……。


『人間は何か…もっと知りたい……か……。』


ゼルディウスは…そう呟く。


『随分…オレは長い事思い出していたようだ……。あの時の事を……。』


竜の姿が……


徐々に消えてゆく……。


『はは…… 本当に限界…か。今の状態が、アイツにバレて無くてよかった。』



メイビスに…ギルドの皆に看取られながら…消えたゼルディウスだが……。



体は消えても魔力は…精神は残し…


そう…思念体で姿を見せていたのだ。


それも…そろそろ限界のようだ。





ゼルディスはアクノロギアの方を向いた…


アイツがどこに行くのかはわからない…。


『……アイツをとめる事は…出来なかったな。何言っても、無理…だろうな。たぶんこれからもする事は変わらないだろうな……。』


ゼルディウスはそう言う…


体は…半分ほどまで消えてゆく……。


『生まれ変わり…か。叶うのであれば……な。あの時言ったように……。』


願わくば…またフェアリーテイルに…


『ははは……。』


気づけば考えている。


あのギルドの事を…


『人間は何か…?決まっている。』


そして…頭部の付近まで…消滅しかかる。


『…愛しい存在……だ。………』


ゼルディウスは……。


人を……愛した竜は……


消え去っていった。









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