小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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30話 激突・ギルダーツ vs 名も知らぬ少年































ギルダーツ side






そこはマグノリアの外れにある渓谷。

昔は管轄していた場所らしいのだが……。

「ふぃ〜……やっぱり歩きづれぇな…」

整備しているわけでもない自然の道……。

普通に考えてこの場所にいる理由が見当たらないのだ。

「何でまたんな場所に拘ってんのかね……そのガキは……。」

やれやれ…っと頭を抱えていた。

しかし……。

ギルドに依頼がきた以上は…。

それに、口ではそう言っているが…。

ギルダーツ自身も、少なからず興味が尽きないのも事実だった。



そして暫く進み……。

「…っと、邪魔だな?この岩………。」

目の前にはまるで行く手を阻むかのような巨大な岩だ。

ギルダーツが手を翳すと……。




“キィィィィィィィィン………”




岩に…切れ込みが入り……。





“ズガァァァァァン!!”





粉々に砕ける。


「はぁ……これで何個目だ?こんな岩……。」

そう…彼は依頼の中にあった場所に行く道中…

何度も岩を壊しているのだ。

彼の使用する超上級破壊魔法……「クラッシュ」で。

壊すのはまったく問題ない。

そもそも彼は無意識に街を壊してしまうほど使いこなしてる?からだ… 苦笑

だが…数が異常だった。


(まさか……これ全部……そのガキが?)


そう考えるのも無理は無い。

行く手を阻むかのように設置され…。

そして、彼のように破壊に長けている魔法じゃなければなかなか進む事はままらないだろう。

ましてや…この先には何も無いのだ。


「へぇ……やっぱおもしれぇな……久しくなかったぜ?こんな感じがすんのはよ……。」


含み笑いをする…。

数も異常、そして大きさもかなりの物……。

評議員がボコボコにされてから……そんなに時間はたってない。

そして…この場所にこんなに岩があるなんて記載されてなかった。

以上の状況から…最近作ったと考えられる……







“キィィィィィィィィィン………ズガァァァァァン!!”








その後…彼の破壊する音が絶えることは無かった。



















??? side










その場所は……渓谷の奥の……少し開けた場所だ。

平べったい岩に…座っているものがいた。


「……ほんとにしつこい…… オレはここから動かないっていって言ってるのに……。」


ため息が出てしまう…

が…それ以上に…。


「……今回の相手…かなりやばそうだ。尋常じゃない魔力を感じる……。それに…音…。」








“キィィィィィィィィィン………ズガァァァァァン!!”








さっきからこの場所に届いてる…音。

それは…そう、ギルダーツが破壊している音だ。


「……もう15回以上鳴ってる……。 はぁ…しまった……。あの岩がそのままこの場所への道しるべになってしまうよ……。」

進入を阻むように設置したのだが……。

まさかこんなに早く来るともこられるとも思っていない。

それだけに……只者じゃない。

そして、これまで来た連中より格段に……。


「それでも……オレはこの場から動きたくないんだ……。」


そういい…ゆっくりと起き上がる…。

ひょっとしたら……ここで殺られるかもしれないと頭の中で考えた。


それでも尚……。


この場所から離れる。

そんな選択肢は……彼には無かったようだ。


そして、ゆっくりと……視線を奥に……。


もう…来たようだ。



「………誰?」


身構えながら……。

そう言った。






Side out







さて……

岩は……もう鬱陶しい。

そろそろうんざりしている時だ……。



「…………誰?」



奥から……声が聞こえてきた。

どうやら、道は合っていたようだ。


「よぉ……。」


中に入ったら…その場所は結構開けた場所だ。

そこには…依頼の内容通り…。

子供がいた。

ギルドのガキと同じくらい…か?


「……お前さんに会いにきたんだ。」


ギルダーツはそう聞いた。

「……なんで?」

聞き返す。

そして…

「……オレが追い返した連中の差し金?」

この場所を知っているもの……。

それは追い返してきた連中だ。

高確率…でそうだろう。

「ははっ……察しがいいな。まあ、否定はしないさ。ただ……。」

ギルダーツはその子供を見据えて……。

「おれ自身…お前さんに興味が沸いた…ってのもある。」

そう言って…にやっ…っと笑った。

「……そう、オレは興味ない。悪いけど帰ってもらえるか?オレはこの場所から動くつもりないから…かえって伝えてよ。」

そう言う。

「オレも一応は依頼された身だからな……簡単に帰るわけにはいかなくて……な。」

魔力を…少し開放する。

「……アンタも、あの連中と同じなんだ。」

そう言って……身構える。

臨戦態勢……にこちらも入る。




沈黙………そして魔力の強張り……。




それらがあたりを支配した。



そして、次の瞬間!!





“ズガァァァァァァァァァァン!!!”





子供の拳とギルダーツの掌が激突する!






“ブワァァァァ!!!”






その衝撃で……辺りの地面が捲り上がる。



「っ……!!」


驚愕の表情をする……。

してるのは…子供のほうだ。

何故なら……。

「へぇ……やっぱつええな… 聞いてたとおりだわ。」

笑顔で……拳を受け止めているのだ。

「ッ!こっのッ!!」

今度は…蹴りだ!



“ズガァァァ!!”



けり…その風圧で、後ろの木々が吹き飛ぶ!

……が、

ギルダーツは吹き飛ばない。

空いたほうの手で蹴りを受け止めていた。


「ふっ……ぅぅ……今のは結構痛かったぜぇ……?うちのギルドの連中でもこれほどの奴はいねえぜ?」


“ドン!!”


受け止めた拳に… クラッシュを!


「ぐっ!!」


衝撃で吹き飛ばされる!


“ズザァァァッ…………”


何とか受身を取る事はできた……が。


(腕が……。)


…しびれる感覚がとれない。




「へぇ……やっぱしすげぇ。大人気なく魔法つかっちまった……って思ったんだけどな……。」

……わくわくする。

ギルダーツの魔法を受けて……受身を取り、かつこちらを睨み返している。

萎えていない闘争心。

年端も行かない子供が…?


「くくくく……。」


笑いがとまらないな。

「アンタ……これまでの大人とはまったくレベルが違うみたいだね……。」

腕を…振りながらそう言う。

どうやら……腕の感覚は戻ってきているようだ。

そして…両の手を合わせる!



「『オーバー・ドライブ。』」



そう言った途端!




“ズゴォォォォォォォォッ!!!”




魔力・闘気全てが上昇する……。




「へぇ………ってマジかよ?」


ギルダーツの額に汗が湧き出る。

(まだ全力じゃねえって思ったが………。これほどたぁ…思わなかった。)

受け止めたても…それなりに痛かったし、衝撃もかなり残っている。

そして……これは……先ほどの非じゃない……。



『アンタが只者じゃないってことは…初めからわかっていた。だから…ほんとの本気を出す。…オレはここを離れるわけには…いかない。離れたくないんだ!』



そう言って…睨みをつけた!

今…第2ラウンドが始まろうとしていた。








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