小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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37話 記憶に残る思い出


































ナツとの一戦を終えたゼクトは……。


一気に周りに囲まれる……。



「お前!すっげーな!ってか!なんだ?今の??雷の魔法使うのか?」

そこに半裸の男が……。

「あ…うん。そんな感じかな?それより…。」

ナツをとりあえず、おろすと…。

「手合わせ…って言っても、結構強く入ったから…大丈夫?ナツ?」

ナツにそう言うけど……。

「い…いや…まだ…まだ…しび…れる………」

麻痺が取れてないようだ。

「ん……終わったし、なおしてあげたいけど…そう言うのできないから…」

ちょっと申し訳なさそうにしていると…。

「いやいや…敗者に情けは無用だぜ?ってか、ナツは這い蹲ってんのがお似合いだってな?」

「グ……レイッ! て…めーも!痺…れやが…れ!!」

びりびりしてるのに…、しっかり聞いていて、口げんかをするのも凄いと思う。

「はははは………。」

なんだか、楽しいな…この雰囲気…。



そうおもっていたら……。



「ちょっとのいてっ!グレイ!!」


“バコッ!!”


なぜか、傍若無人の様に割って入ってくる女の子……。

「いってーー!なにすんだ!ミラ!!」

白いロングの髪の女の子…ミラって言うみたいだ。

グレイのブーイングはさらっと無視して……前まで来ていた。

「え?」

なぜか…ずんずん近づいてくる……。

「アンタ………やるね……。」

にやっ…っとしながら…そう言っていた。



















ミラジェーン side


初めは、本当に興味なかった。

ナツが誰彼かまわず突っ掛かるのは日常茶飯事だし。

ギルドのメンバーだったら尚更だ。

そして、ギルダーツがつれて来たって言う同じくらいの歳の男…。

眠っているし……迷子にでもなったのか?って思ってた。

帰り道がわからなくなって……それでギルダーツに拾われてここに来た…って勝手に解釈して。




そして、ギルダーツが、アイツは強いって感じに言うと……、

真っ先にナツが反応した。

これも、まあ 想定の範囲内だ。

なにせ、ナツだから。

それだけで理由になる!ギルドの連中なら皆納得するし!

でも……私は…まあ、見てないし?まだ、興味なかった。


でも……それは直ぐに変わった180度だ。


臨戦態勢に入ったとき。

確かに、エルザが言うとおり。

私達とは…何か違う魔力を感じる。

私も勿論感じた。

まあ、エルザと同意見って言うのは……ちょ〜〜〜〜〜っと…あれだけど……ねえ?

もともと、この感じは前にも何度か感じた事がある。

それにナツの魔力だって、不思議な感じがしたし。

ナツのは、聞くところによると、滅竜魔法…失われし魔法だからか。

滅多に見られない魔力…だからそう言う感じがした。

その時のような感じだ。

でも………

底…それが見えない。

何だろう……

常しえの闇?

深遠の海?

果てしない宇宙?

まあ、馬鹿話はおいて置いて…。

冗談じゃなく、本気で。そう思った。

たぶん……皆もそう感じている。

馬鹿騒ぎしてるけど……、驚愕の方…そういった感じも多いから。



そして……勝負が始まった。


勿論 先制攻撃はナツだ。


まあ、あいつの場合大体が考えのない猪突猛進だし……? 苦笑



そして、アイツの拳がヒットする。

確かに、ナツはまだまだだ。

私と勝負したって話にならない。


でも……ぜーーーーったい本人には言わないけど、攻撃には注意するし、防御するのには注意する。


竜を倒すための魔法…種類としては圧倒的攻撃魔法だから。

でも…術者がまだまだ未熟…よわっちーし!


でも…………いくらよわっちくても、その攻撃を笑顔で受け止めていたあの姿には驚愕…する。

ふと、横目でエルザを見ると………。

エルザも同じだったんだろう。

汗が…流れ落ちていたし、表情が…強張っていたからだ。


あの笑顔で、あやすような感じ…その姿に一瞬…ギルダーツが浮かんだ。





そして……ナツは直に感じていたんだろう。

動揺してたみたいだし……。



そして……あいつが更に魔力を解放?増強?よく分からないが、質と共に魔力が上がっていったのを感じた。


ナツは、それに驚いていたけど……。

手段は、全魔力を使った咆哮…それに懸けた様だ。





でも…あっさり打ち消して…かなりのスピードで回り込んでズドン!

それでナツは麻痺ってる。



……正直、目を見張った。

……これは冗談抜きで……。








Side out




「いや……あの……」

ずーっと睨まれてる?







今までは主に大人の男。

それも、目を見ただけで嫌な感じがする大人達だ。

攻撃することも躊躇しないでいけるし。

でも……このギルドの皆は…何か暖かい……。

それがフェアリーテイルというだけ…って訳じゃなくだ。




睨まれるのには慣れてる!って言いたいけど…。

何だか嫌だ。



女の子に…それも…ええっと…



「ッ………」



目をそらせる。



目なんか…直視出来なくなってきた。

「ん…?何で目を逸らせてんの?」

ミラは不思議そうに、そう言っていた。

睨んでいる…と言った自覚なし!の様だ。


「いや……その、慣れてないから……。」

そう言う……。

「ん?何が?」

ミラはキョトンっとして……。

「その…じっと見られてるの……は…。」

そういい…目を逸らせる……。


そんな…姿を見ると…さっきの勇猛果敢な姿はいったい………
















「はははっ!ゼクトってかっわいいね〜〜!!」


一人がそう言う…。


「さっきのいったいなんだったんだよ?ナツをここまでぼこれんのは、ギルドでもあんましいねえかもしれないのによ?」

「全くだ……。」

自然と……笑顔で見られていた。

「だーーーっはっはっは!!かわいいじゃねえか!ってか!ミラに惚れたか??お前さ?」

そう騒ぎ立てる!

そう騒いでると……

「ちょっ!!何言ってんだ!!私は…ただ…………」

(私は、コイツと戦ってみたいって、思っただけで……。)

ミラの顔が赤くなってる……。

異性から…そんな目で見られたこと無いし……。
















そんなミラを見ていたら……。

普段が普段なだけだから……更に茶化してやろうか…って思えてきた。

きっとその場で、顔を赤くしているミラを見た……全員、そう思ったと思う。

って考えてたとき……。


「ええ…??いや…オレは…そう言うのちょっと……慣れてなくて……ん……きっと慣れるから。」

そう言うと……。



「いやいや!そこは男だろ?もうちっと空気読めって……。」

ちらっ…っと見ると……。

あからさまに機嫌を悪くしていたミラが…。



「そーだよ!ミラ姉ェ〜かわいそー。」

リサーナだ。

ちょこんと、傍に来ていた。

いや、ナツを抱えていた。

ナツはまだ、きゅう〜〜って感じで麻痺ってたけど。


「え???何で…?」

何がかわいそう?








そっち方面には疎いのは十分理解できたようだ。

その場にいた皆……。








「ったくも〜………」

ミラはすっかり毒気抜かれたようだった。

「って!!それよりっ!!!」

さっさと本題に戻す!!

「えっ?な…何かな?」

突然の大声だ。驚かない方がおかしい! 苦笑

「次は私と!戦らないか?ゼクト!」

なんと…次戦に立候補!!

「戦るって……。それは嫌だよ。」

なんと!さらっと拒否!!

「はぁ!ナツとは戦って!私とは嫌だって言うのか!?」

怒った……。

そんな意味じゃないのに…。

「いや…そのね?「じゃあ先に私だ!!」ええ?」

突然割り込むように…、


いや…割り込んでくる人多い……。


「私はエルザだ!私もお前と戦ってみたいのだが…私もダメか?」


おねだりする様に…聞くんだけど…。

そんなに戦いたいのかな?ここの人たちは……。 苦笑

戦いこそがコミュニケーション??




「ええ……。キミも…?」

戸惑ってしまう……。



そもそも……ゼクトは。


【女の子と戦うのが】…なんだか嫌なだけなんだけど……。


記憶なくっても…最低限の紳士っぷり? 苦笑





















2人に言い寄られている…

傍から見たら…。

男の子1人を取り合っている女の子2人……に見えなくも無い。

そして、それを周りがはやし立てるように……。




「ったく…マセガキだな…あいつら。」

ギルダーツは笑いながら見ていた。

「可愛いじゃないか。いつもの暴れん坊の2人から あんな表情見られるなんて思ってなかったわい。」

マカロフも…笑っていた。

「アイツは……こう言った場所が必要なんだよな。仲間と一緒にすごして…馬鹿騒ぎして…笑いあって…そう言う事をもっとするべきなんだよな。会った時からなんつーか基本的に妙に大人ぶってる雰囲気だったしよぉ? それに……いつまでも記憶に無い場所を想い続けるより……確実に記憶に残る思い出を作って……も大切な事だって思えるからな。あいつはまだまだガキなんだし。」

そう言ってゼクトを見る。

2人に囲まれてあわあわしている姿を見れば…。

間違いなく歳相応な顔だ。

ほんっと…持っている魔力はぜんっぜん、相応じゃないけどな…。

可愛げのねえ…って感じだ。






「……そうじゃな。じゃが、戻ったほうが一番本人には良いじゃろう。記憶の方は、ワシも頃合を見て色々と確認をしてみるとするわい。」

「頼むぜ?マスター。そう言ったのは苦手でな?」

ギルダーツはお手上げだ!ッていわんばかりだ。

「んなもん、わかっとるわい。」

マカロフはそう言って笑う。

「即答されんのも複雑…だけどな。」


ギルダーツは苦笑いしていた。









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