小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

39話 決着 ミラ vs ゼクト





























ミラは……砂埃が舞って見えないが、そこに倒れていると思い。



「ははっ… いきなりでゴメンネ〜〜アンタ、凄く強そうだったし?【はじめ】って言われたら…やっぱし全力でしなきゃ失礼だと思ってね?」


密着して放った攻撃だ。

ミラは、手ごたえがありすぎたので……。

ちょっと本当に申し訳なさそうにそう言った。

なぜなら、ミラは今までここまで本気で打ち込んだ事などないからだ。




ナツやグレイ達みたいに喧嘩するときは勿論。

エルザとするときだって、こんなマジな魔法なんか使ったりしない。

まあ……喧嘩だし?そこまでするのはもう喧嘩っていわない。

腹が立つ事はいっぱいあっても……同じギルドの仲間だから。



本人は絶対そう言わないと思うが…… 苦笑



たまに、今回みたいな手合わせ?みたいな事はしても……。やっぱり本気の本気…マジな魔法は使わない。

当然、エルザもそれは同じみたいだ。



ミラは今回本気を使ったし……

エルザもきっと見てる。

なら……。

いつかは今日みたいにぶつけ合うのもいいかもしれない。








そして、砂埃が舞っているところに向かって、合掌!

でも……。


「……謝らなくてもいいよ。」

背後から……。

「っ!!!」

声が聞こえた!

振り返ったその先には!

「オレも謝らないと……な、どこかにまだやっぱり、女の子と戦う事なんていくら今回みたいなことでもしたくないって思ってたみたいでね……。」

頭をすこし掻きながらそういう。



「それに……キミの事も見縊ったみたいだ。」



先程の一撃の威力も凄かった。

それに……ナツとの一戦もある。

ギルダーツと比べようとした自分が本当に悪かったって思ってる。

あの男は規格外、次元が違うってことを改めて知ったからだ。

そういった想定でナツを攻撃したら……。



「ん………」



チラッとナツが倒れてる方を見たら……。

まだ、目を回してる……。

リサーナに抱えられながら。

手合わせとはいえ、遊び?とはいえ……

ちょっと、気が引ける。

それが、大好き…って思えるギルドの魔道士なら当然だ。

そんなに直ぐに割り切れたりしない。

でも……ギルダーツが言っていた女の子が傷つくって言葉だ。

それを聞いたら……。



「うん。もう侮ったり見縊ったりしない。」



そう言って、構えた!遊びでも…手合わせでも!敬意を持ってやる!本当の本当にそう決めた瞬間だった。



「私の今の一撃……効かなかった…?」



ミラは驚愕の表情をする。

目を見開く。

手にまだ残るのは確かな感触だ。



黒紫の雷撃。

魔王の雷撃。



それが効かない?

だが、まだまだ私が未熟だって事はわかる。

だけど……見た感じは同年代の男の子だ。

それなのに……簡単に防がれた?

同い歳…の子に……?

「いいや……痛かったよ。」

ゼクトはそう言う。

「…っ!そんな簡単に言われても説得力がないわよ!」

ミラは、すぐさま魔力を手に集中!

彼女のプライドに触ったようだ。


「これならどうだっ!!」


手に暗黒の波動を集中させ!!


「ダークネス・ストリームっ!!」


その波動を……。



“ガオオオオオンッ!!”


撃ち放つ!

曲線を描き、縦横無尽に起動する波動だ。

避けきるなんて…無理だ!




「くらええっ!」




ミラは、そのまま力いっぱい放つ!!




「……『シャイン・ドライブ』」




ゼクトは、ナツの時同様、手を合掌させる。

その間、ミラの放った波動は四方八方、ゼクトを取り囲んでいた!

「どう!もうどこにも逃げ場は無いっ!!」

ミラは、そう言う!

「防げるものなら…!防いでみろーーーっ!!」

そのまま、波動を操るように…。

ゼクトに集中させる。





“ドウッドウッドウッドウッ!!!”





ゼクトを中心にぶつかり合う波動。

止める事の無い連撃!

そして、魔力同士のぶつかり合いで発生した黒煙があたりを包み込む!



「ぐぅぅぅぅぅぅ!!!」



“ドガガガガガガガガガガッ!!!!!”




ミラには余裕はもう無い。

ナツ同様の衝撃を受けたのだろう。

もう……持てる魔力の全てをこの一撃にこめたのだ。

あの黒紫の雷撃を…認めたくないがあっさりと防いだというのなら……。

悪戯に攻撃しても魔力を消耗して結局負けてしまう……。

そう感じた。

魔力の消耗はお互い様だから、偏にはいえないけど……。

(くっ……力が抜けそう……)

魔力を放ちながら……脱力感に襲われる!



そして………。




“ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…………”




黒煙が立ち上る中……ミラの姿が見えてきた…。




「く……あっ……、サタン・ソウルが……。」





魔力が…消耗しきってしまったのか?

その姿が戻ってしまっていた。

全魔力を使った連撃だ。

黒煙はまだまだ晴れない。









「おいおい……ミラジェーンやりすぎなんじゃないか?」

「お…おねーちゃん………。」

「アイツ…大丈夫か?」







周りの反応も…お祭り騒ぎのようだが…。

内容は変わってきている。

まあ、所謂………。

【ミラ!やりすぎだろっ!!】

って感じの雰囲気だ。

だが…最初の一撃を簡単に防いだゼクトの姿も見ているから……。

一気に騒いだりはしないみたいだ。

だが…それでもやりすぎじゃない??っていうのはぬぐえないみたいだ。







「ふっ……ふう……」



全魔力を消費した脱力感は…半端じゃない。

これが仕事の最中だったら…。

下手したら命に関わりかねないほどだからだ。

魔力は生命力に直結することがあるから。

だから…ミラは暫く膝をついていた。


そんな時……。




『今の一撃…いや連撃だね。申し分ないけど……』



声が…

また…背後からっ……。



「そ…んな………」



認めたくは無い。

認めたくないんだ。

ほんとのほんとに……全部出し切ったのに………。

命中させたのに……。

いつの間にか背後を取っているなんて……。


『おしかったね。……形態変えてなかったら、危なかった。』


そう言って、頭に手刀を………。



“コンッ………”



当てた。

「っ………。」

ミラは、一瞬震えていた。


その瞬間。




「そこまで。勝者ゼクト。」



ギルダーツが終了の合図をする。


そして、それを聞いたミラは…思わずぺたりと地面に座り込んでいた。







-40-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




FAIRY TAIL(30) (講談社コミックス)
新品 \440
中古 \1
(参考価格:\440)