小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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44話 新たな家族

























今なら……よくわかる。

あの時の……ミラの気持ち。

凄く悔しくて……。

涙が……出てきそうで、

私は……涙の半分は……出してしまったはずなのに。

気を抜いたら……直ぐにでも溢れそうになる。

仮に、自分がミラの前に勝負をしてたらたぶんミラのようにいっていたのかもしれないかな……。











ゼクトは……拳をそっと落としていた。

その姿を見て……。

やっぱり悔しいって思ってしまう。

でも、ゼクトの事を知っている今は……。

でも……でも……やっぱり……。


「ッ…………」


悔しいんだ。

ここまで、完璧に負けたのは……………初めて……だから。

悔し涙…。

悲しい涙とは違う。

そんなものより……ずっといい事だッてことは、頭ではわかるけど……。

でも………。


なんでだろう……。頭でわかってても……。




「モード解除……。」



ゼクトはそう言うと……

さっきの魔力が消えうせていた。

「………私の負けだな。完敗……だ。」

エルザは……ぎゅっと拳を握りこんでそういった。

悔し涙が出そうになるのを必死にたえていた。

ゼクトの思いも知ってるし……。

何より……私もミラも……。

自分たちから勝負を挑んだんだから。

なのに……これ以上この優しい男の子を……困らせたり、悲しませたりするのは……間違ってるって思うから。




「エルザ……。」

見てわかる。

エルザは……ものすごく、悔しそうに……必死で耐えてる。

でも……なんでかな?

女の子って……そんなに強くなかったらいけないのかな?

女の子って……。

「その………。エルザ…」

ゼクトは、エルザに声をかけた。

すると…エルザは、顔をこちらに向け…。

「なんだ……っ?」

そう言う。

その片方の目には涙が…溜まっていた。

「その……悔しいって……思う事って、悪いことじゃない……って思うんだ。オレが言っても……届かないかもしれないけど……。」

ゼクトはそう言う。

「オレだって……その…ギルダーツに負けてしまったよ。最後には…立つことだって…出来そうにないほどだった。」

ゼクトは思い出しながらそう言う。

「それにさっき、ギルダーツも言ってたけど、目標ができるってこと……ずっと良いことなんだって思えた。オレ…過去の記憶無いから……。」

少し寂しそうな顔をするが、直ぐに戻し、エルザを見る。

そして何かを決意したような顔で、

「オレは…もう嫌だ何て言わないよ。エルザたちが…オレを目標って思ってくれるのなら……オレだってがんばらなきゃって思うしね。」

そう言って笑いかける。

「っ……そうだな。」

エルザは……握りこんでいた拳を和らげる。

「私は今日。お前と言う……ゼクトという目標を知った。私はきっと…まだまだ強くなれる…。次は負けないからなっ!」

エルザは、片方の目を拭うと…そうはっきりといった。

「うん!でもね……。」

ゼクトは、エルザを見て……そして、ミラのほうも見る。

「君たち……ミラとエルザは…女の子なんだからさ…。強くなろうって言うのも、大切だ…って思うけど。そればかりじゃ、きっと疲れちゃうと思うんだ?だから……。」

そう言って……一呼吸置いた後。

「たまには、頼ってみるって言うのも大切だって思うよ。その…オレも、きっと……頼る事多いからさ。オレの事も頼って?がんばる…からっ!」

そう言う。

その顔は…とても優しくて…包み込んでくれるみたいで。

「あ……ッ///」

エルザは、顔を直視する事ができなくなってしまったようだ。


「オレは、フェアリーテイルの事大好きだから。改めてよろしくね?エルザっ。」


そう言って手をさしだす。


笑顔で。


「あっ……// ああ!こちらこそよろしく頼むっ!」


そして2人は握手をかわした。

そんな2人を見ていて……。

自然と回りも笑顔になっていた。

でも……。





「む〜〜〜っ………。」

ミラは、複雑なようだ。

「あはっ、ミラ姉顔が赤いよ??嫉妬してるっ?」

リサーナが来て……。

「なっ!何言ってんだッ!!リサーナ!わ…わたしはエルザがッ、直ぐに復活したのが嫌だっただけでッ!!!」

ミラは、慌ててそう言う。

「あはは〜〜!そうなんだ?でもさっ!」

リサーナはミラのほうを見ると…

「ゼクト!かっこいいし!ミラ姉!頑張らないと、とられちゃうよっ?ほらっゼクトは皆の事好きなんだしさ!?」

そう言って笑う。

「ッ〜〜〜〜///だ…だからっ!」

ミラは顔を赤くさせていたが…。

リサーナが言う事も…肝に銘じていた。

「マセガキだ!」って思ったけど。

リサーナはこういう事に凄く鋭いから。

なにより……。

その…私が初めて……異性を……。

「ッ〜〜〜!!」

「あはははっ!私もあたっくしちゃおうかな?」

リサーナは、赤く茹で上がってるミラを見ながら笑う。

ミラは……暫くリサーナに遊ばれていた。
























そして、全てが終わり…ギルダーツが前へ……。



「っつーわけでよ?何でか、バトルになっちまって……若干遅れちまったが…な。ちぃと紹介すぜ?」



ってみんなの前で言うけど……。


「何でか?って!何言ってんだよっ!そもそも、ギルダーツが原因じゃないか!」


思わず突っ込んでしまうのは無理は無いだろう。

「だーっはっはっは!まあ、こまけー事気にすんな。」

そう言うと、


“ガシッ……”


ゼクトを掴むと、ひょいっと体を抱え上げ…肩車をする。

「わっ!わわっ!!何っ何々??」

驚いてじたばたしてると……。



「今日から、俺らの仲間になるゼクトだ。まっ 名前は知ってると思うがな。皆よくしてやってくれよ?」



そう言って肩車から更に持ち上げられた。

「わっ!ちょっと、恥かしいって!おろしてよ!」

ジタバタしていた…が、

そのゼクトの姿に……そのちょっと…ギャップがありすぎて……。

さっきまでのあの姿を見てるし?

何より、未来のギルドのエース達を手玉に取ってるのも見たし……?

周りにいたメンバーは皆……。



「「「ぷっ!」」」



我慢する事ができなかったみたいだ。




「わーはっはっはっはっは!!」

「ほんっと可愛い!ギャップ萌え〜〜」

「ほんとにさっきまで、ナツ、そしてあのミラやエルザを倒しちまったっつーのに!なんだ?この感じは。」

「勇猛果敢だって感じだったんだけどな〜 可愛いじゃねえか!」





一斉に笑いが起こる。

そして一斉に……。




「「「「「よろしくなっ ゼクトっ!!」」」」」




っと歓迎ムードに包まれた……。

「あっ…………」

ゼクトは、暫くギルダーツの上で暴れていたのだが……、

その動きが止まった。

「ん?どうした?」

ギルダーツが少し疑問に思いうえを向くと…。

「オレ……オレ……なんだろう…。今すっごく嬉しいんだ……。えっと…それだけじゃなくて……何か……………」

言葉にあらわせない。

ただただ……ここに入れた事が嬉しくて仕方がない。

そういった感じだろうか?

「ははっ……」

ギルダーツも笑っていた。

「おおーーい!ゼクト!またオレと勝負しろよな!!」

ナツが傍に来て再び宣戦布告を!!

「あははっ!また?」

そんなナツを見て笑うゼクト。

そして、

「さっきやられたばっかだろ?またやられんのがオチだっつーの。」

そう言うのは上半身裸のグレイ……。


「んだとっ!わかんねーだろうが!次にはオレも何倍も強くなってんだよ!」

「無理な事を無理って言っただけだろうが!アホが!」


そしてそして…まあ、いつも通りの。


「おいおい。とりあえず、今はやめとけ。新人の前でみっともねえだろ?」

ギルダーツがそう言うけど……。

「いや……はじめっから見てるからね…もう遅いと思うよ?」

そうつっこむ。

「それもそうか。」

ギルダーツも納得したようだ。



そして、ゼクトをおろすと……。

「ふむ。」

マカロフがやってくる。

「フェアリーテイルへようこそ。歓迎するぞぃ。今日から…ワシらは【家族】じゃ。」

そう言って笑った。

「あっ……。」

【家族】

そういわれて……。

自然と目から涙が出てくる。


「その……あの……こちらこそ……ありがとうございます。よろしくお願いしますマスター!みんなっ!!」


ゼクトは涙目になりながら頭を下げた。


今日という日……決して忘れる事はないだろう。




突然、戦いを申し込まれて……。

女の子と戦うような事になって……。

そしてそして……。

家族として…受け入れられて……。




「そんじゃまあ!」

マカロフが、ひょいっと台の上にのると……。


高らかに宣言した!



「ゼクトを歓迎し!宴じゃーーーー!!!!」




そして皆もいっせいに続いた。










-45-
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