小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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49話 森の中へ




























レビィとゼクトが入っていったのは森の中。

マグノリアから……街から少し離れていて……。

小さな男の子と女の子ふたりだけで来るのは確かに危なそうだ。

魔法を使えないのなら尚の事……。

「わぁ………。凄い霧……。」

ゼクトは森の中に入って突然どこからとも無く現れた霧に驚いていた。

「あ……これはギルダーツに聞いたんだけど、この森の特別なものなんだってさ!」

レビィはそう説明してくれた。

「へー……そうなんだ。流石ギルダーツだね。何でも知ってるみたいだ。」

ゼクトは笑いながらそう言う。

まるで、自分の親を慕うように……だ。

「そうだっ!聞きたかったんだけど。ゼクトとギルダーツってどういう関係だったの?」

レビィがゼクトにそう聞いていた。

「ん〜〜……。どういう……っていわれたらね……。」

ゼクトは腕を組み考え込む。

「??そんなに複雑?」

考え込むゼクトにそう聞く。

「いや……そう言うわけじゃないけど………。」

何から説明したら良い?

そう考えていたようだ。

「そうだね……初めから話そうか。」

ゼクトは辺りを見渡し……。

傍にあった倒木の上に座る。

レビィも同様だった。






話す前に……ゼクトは。

「えっと……話すけど……。その……怒らないでほしいんだ。」

ゼクトは……少し表情を落としながらそう言う。

「えっ……?私が?何で??」

レビィがきょとん……っと可愛く首をかしげた。

「はは……そう……だよね? えっと……初めはギルダーツの事……敵だって思って。ギルダーツを攻撃したんだ。」

申し訳なさそうに……そう言うけど……。

その言葉にレビィは。

「ああ〜〜〜…。それは大変だったね?ナツみたいにこてんぱんにされなかった??」

………苦笑いしているだけだった。

「あ……ははは。うん。あっ……でも、立てなかったから……されたのかな……?」

そんなレビィの顔を見て 自分が心配してた事が杞憂だと悟っていた。

「ははは……ギルダーツってほんと凄いもんね?ゼクトだって凄いと思うけど……。流石に大人だからっ。でも……。」

レビィは……こっちを見直して…。

「なんでそれで私が怒るの??」

初めの事が疑問だった様だ。

「あ……ほら。ギルドって家族みたいだよね?オレも、フェアリーテイルの事大好きだし……その家族を……」

ゼクトの考えてることは そこまで言った時点でわかった。

「あははははっ!ゼクトはやっぱり考えすぎだよ〜〜!エルザだって言ってたよね?もうゼクトは仲間なんだからさ?そんな事で怒ったり嫌ったりする人なんてウチにはいないよ?……ね?」

そう言って笑顔を見せてくれた。

「あっ………そう……だった。うんっ。そうだよね?ありがとう!レビィっ!」

ゼクトは笑顔でレビィにそういった。

「うんっ!」

レビィも顔は赤いが笑顔で返す。

そろそろ、慣れてきたのかな? 苦笑








「それで?何で戦ったの??ナツみたいに、勝負だ〜〜っていったの?」

男の子だね〜って言いながらレビィは聞いていた。

「うん………えっとね。ギルダーツが来る前に、何人かの大人がやってきてね?オレを連れて行こうとしてたんだ。」

そう話す。

ちょっとレビィはそれを聞いて心配顔で……。

「連れて……って それって誘拐??大丈夫だったの?と言うか どこで?街?」

そう聞く。

「んーん。この森とは方角的には正反対だけど、渓谷にオレはいたんだ。何でいたのか……それはわかんないけど。」

そう話す、凄く……大変なことを言ってる……って感じが子供ですらわかる事を、笑顔で言っているゼクトに少し驚き……。

「渓谷……それにわかんない……?それって……。」

レビィは……ある事実を想像した。

本を沢山読んでいるレビィは……

直ぐに思い浮かんだ言葉があったのだ。


「うん。えっと……自分自身のこと……わからなかったんだ。名前はわかったんだけどね?」


そう……記憶障害だ。

物語の主人公は記憶を欠如してるところから始まる。

そんな本……読んだことがあるから。

凄く過酷な事……つらい事だってわかる。





「………そう、なんだ……。ゼクト……怒らないでって言ってたけど……私の方こそ……だね。」

レビィは申し訳なさそうな顔をする。

「え……?」

ゼクトは何のことかわからないようだ。

「だって……そんな大変な事……簡単に言わせちゃったから……。」

ちょっと……目が潤みそうだ。

「わっ!そんな事…!無いって!だって、そのおかげで、フェアリーテイルに入る事だって出来たんだし!よかったんだよっ?ほんと!今……オレ幸せだから!」

ゼクトは慌ててそう返す。

泣きそう……そんな顔。

泣いている顔……。

そう言うのはもう見たくないようだ。




「ほんと……?」

まだレビィは凄く心配してくれている。

凄くわかる。

「ほんとっ!ギルドには皆がいる!ミラだって……エルザだって……それにレビィだってね?思い出せないなんて……ほんとに些細な事だよ?今が幸せなんだからさ?」

微笑みかける。

「………よかった。うんっ!」

レビィは笑顔になった。

ちょっとミラやエルザの後に自分が……って言うのは悔しいけどっ! 苦笑





「オレも良かった……。」

ゼクトもほっとなでおろす。

「えっ?」

レビィは……何で?って感じで聞くけど……後にすっごく赤くなることにっ!

「だって!レビィ……悲しそうな顔、してたから。笑顔になってくれたっ!笑顔のレビィがオレは好きなんだからさ?笑ってっ!」

ゼクト自身が屈託の無い笑顔だ………。

心底そう思っている……そんな感じだった。



「っ!!!!////」

もうなれた!って思ってたのに……。

「???」

ゼクトは突然慌てたレビィの事わかってない。

ゼクトは……何をしたかわかってないから始末が悪い!! 苦笑


「あはっ///!!うんっ!いつも笑顔!だね//ほらっ!私が引き止めちゃったね!!はやくっ ジュード君さがそ!」

レビィは半ば強引に立ち上がった。

「わわっ!」

ゼクトは手を引っ張られた事に驚いていて……。

でも、レビィは笑顔だった。

「そうだね?霧もちょっと深いみたいだし……。探すの再開だね!」

ゼクトも笑顔になった。







(も〜〜……ほんっとにずるいよぉ………。)

レビィは……顔をペチペチっとたたき……。

緩みそうになった……赤い顔を必死に戻して、人探しを再開した。














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