小説『竜から妖精へ……』
作者:じーく()

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7話 回想・アルディ山脈 竜の聖域













アルディ山脈・・・

霊峰と呼ばれる山の一つ。

そこは・・・

熟練者でも・・・

行く手を阻もうとする大自然の霊峰。

辿り着くこと事態が、 並大抵の事ではない。

そして・・・運にも恵まれてなければならない。

天候が進み具合、そして自身の体力の温存し具合を決める・・・

特に、山頂などに行くのならなおさらだ。

鉱石を採るのなら、そこまで行く必要がないからな・・・



名の通った、S級の魔道士数名・・・

探検専門の魔道士。

失われた魔法 治癒の魔法を持つものもいたり・・・

そして、空気・・・酸素を上手くコントロールする使い手もいる。

後は純粋な身体能力と精神力。

魔法は精神力からなる、

そして、精神力は体力を支える。

つまり、全てが揃ってなければ攻略には難しい・・・

そして・・・

皆の力をあわせ・・・到達した頂上付近・・・




そこには・・・




情報の通り・・・青年が一人・・・絶壁の上から・・・まるで、世界を眺めているかのように・・・下を見ていた、

あの場所に行くのは・・・ 浮遊系の魔法でも無理だ・・・

空気を操ろうと空気魔法を使おうとしたが・・・

膨大な量の乱気流のせいで 操る事の出来る量を超えてしまう・・・

まるで嵐のような乱気流が舞っている・・・

風を・・・空気を 扱う事の出来る魔道士が断念するほどに・・・

あれを・・・突破するには・・・強靭な体と・・・そして、それに有り余るほどの魔力が無いと・・・

では あの青年は?

少なくとも・・・見た目、そんな風には・・・ 見えない・・・

遠目からだからかもしれない・・・見た目で判断する事も愚かな事だが・・・



遠距離瞳(スコープ)で見てみても・・・特段変わった・・・感じはしない。

ならば・・・どうやって?

暫く・・・男達は立ち尽くしていた。

この場までこれた、達成感と、その目撃したという、未知の青年を見つけた達成感もすっかり消えうせ・・

答えの出ない問いをずっと考える。

その青年に聞けば・・・早いのだが・・・

まず、あそこへ行くのは無理だ。

嵐がやまなければならない。

あの青年が降りてきてくれれば・・・あるいは・・・

それも考えたが、そう簡単には行かないだろう。

目撃証言によれば・・・

彼を見たのは、3日前・・・

そんな長い間何が目的で、ここにいるのかはわからないが・・・

それだけ滞在しているのであれば・・・今降りてきてくれる保障なんて何処にも無い、

ここは、気温も気圧も低い。そして、空気も薄い。

長時間・・・留まるのは危険が伴う・・・

しかし・・・未知の者がもう目と鼻の先に・・・いる・・・


引くべきか・・・否か・・・

男達は・・・考えていた・・・

その時!





男・・・青年が・・・立ち上がったのだ。


唯・・・すわり・・・世界を見渡していたような、体制から、スクッと・・・あっさり立ち上がったのだ。


我々は?運?が良い・・・そう思った。


今日一番の驚きだ。

だが・・・それをあっさりと凌駕する驚きが・・・

直ぐに来た。
















男の体は… 金色に光り輝く・・・

山の頂上は乱気流・・・雲で覆われており

昼間でも薄暗いはずなのに・・・まるで・・・太陽のような輝きを持った光だ・・・

男達は目がくらんでしまった。


だが・・・ 真に驚いたのはその次・・・


男の体が・・・男の影が・・・

徐々に変化していく・・・

強大…な魔力と共に・・・

巨大な姿に・・・変化していく・・・

影が・・どんどん・・・でかく…でかく・・・山の頂上が・・・・まるで、木の枝のようだ・・・

大きく・・・翼を広げたその姿は・・・


「・・・まさか・・・」


男達は・・・息を呑む・・・


目をこすり・・・もう一度、その姿を再確認する。

そして・・・その姿が・・・目が慣れてきたため、

影ではなくはっきりと確認できた・・・


「ド・・・ドラ・・・ゴン・・・?」


それは… 金色に光る魔力を纏ったドラゴンだったのだ・・・

太古の世界を支配していたという・・・

黙示録でも語り伝えられているという・・・

それを・・・見てしまった・・・


「ほとんど・・・絶滅・・・したんじゃ・・・?」


足が震える・・・


アクノロギアという・・・黒き竜は何年か前に・・・ある大陸の王国を襲ったという話しは聞いたことがある。

黙示録で語られえているのはその竜だ。

それはまさに・・・天災・・・

力はまさに神… そして人々にとっては悪魔の所業だったと伝えられている。

だが・・・その竜は|黒き竜(・・・)だ。

この竜は・・・どう目を凝らしても黒には見えない・・・

正反対・・・輝く金色の・・・竜だ・・・

恐ろしくて・・・動けない・・・

あるいは・・・その姿に・・・その巨大で・・・美しい色に・・・見惚れてしまったのか?

どちらか・・・わからないが・・・

男達は、言葉がまったくでなくなってしまっていた。






暫くして・・・

男達は目を覚ました。

そこは・・・そこは・・・さっきまでとはまるで別世界。

雲は晴れ・・・美しい日が照らす。

そして、照らされた山々はさらに美しい・・・神々しいといったところだ・・・

「あの異常現象は・・・あの竜のせい・・・だったのか?」

もしかしたら・・・ここは|竜の聖域(ドラゴン・サンクチュアリ)なのかもしれないな・・・

仮に・・・あの気候のまま気絶していれば・・・確実に命はなかったであろう・・・

「聖域(ここ)は人間(われわれ)が侵してはならない場所だ…な。」

男の1人が呟く。

他の男達も同様だった。

ひょっとしたら・・・我々を助けてくれたのかもしれない。

あのまま、調査を続けていれば・・・死んでいたかもしれないのだ。

助けたと同時に・・・ 二度と近付くなという・・・警告をしたのかも・・・

そう思うと、

「ギルドに報告しよう・・・」

男は呟く。

「今回は唯の探究心。依頼が来ていたわけじゃない。帰還し、マスターに伝え、ここを進入禁止区に指定してもらえるように掛け合おう。それが…命が助かった我々に出来る事だ。」

皆・・・異存はなかった。




「我々、|遺構の門(ルーインズゲート)・・・ 本日を持って、この場所を聖域とし・・・以降 これを侵さぬよう、語り伝えよう。」




そして・・・男達は無事、帰還する事が出来・・・


そして、今日の事を、報告したのだった。




-8-
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