小説『ハイスクールD×D×H×……』
作者:道長()

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まえがき
……間違って中途半端な所で投稿してしまった……。その時に見た方にはすいません。

……最近近代史をやってると感動して涙が出る私。間違いなくこの文章より面白いです。思想がぶつかり合って日本を強くしていこうとする姿に憧れますね……。いつかそういう小説が書けたらな……。











第十話


プルルルルル。プルルルルル。

「はい。慶路です」
「お久し振りです。若」
「子鴉さんですか。久し振りですね」

書斎で書類を整理している時に鳴った携帯電話の通話ボタンを押すと、随分と久し振りに聞く、低く渋みの効いた男性の声が耳に入ってきた。

「今日はどうしましたか? また影無の兄さんと経費で酒代落として母上に怒られましたか?」
「若……。それは本気で反省してるんで蒸し返さないでくだせぇ……」
「そう言って何回大目玉食らってるんですか。貴方は」
「ハハハ……。面目ねぇです」

電話の相手は譲刃子烏。影無の兄さんや次無の兄さん、糸無の姉さんとは酒呑み仲間で、酒を飲んでいる時は大抵誰かと一緒にやっている。因みにゼクス兄さんが此方に来た時も二人で飲んでいるのを見た事が有る。私は酒が飲めないからその辺りは助かっているのだが……。

「冗談はさて置いて……」
「事実じゃないか?」
「若。もしかして機嫌が悪いんですか?」
「最近ゴタゴタしてまして、後始末であんまり寝て無いんですよ」

前の討伐の後は、事後処理や報告書のせいで睡眠時間が3時間を切っていた。体育では疲労でテンションが下がり過ぎて、最終的に裏返った程だ。人間、何事も加減が重要である。調子に乗ってリアスの分の後始末をしたのは完全にオーバーワークだったな……。
まぁ。それは私の性分に近いので後悔とは無縁だが。

「……相変わらずですね……。若の身に何か有ったら先代に顔向け出来やせん。どうかご自愛を……」
「分かっていますよ。で、だ。用件は何だ?」

酒に関しては兎も角。彼は父の代から支えてくれている優秀な部下だ。そんな彼が秘匿用の番号で電話を掛けてきたのなら重要な事が有ったのだろう。

「実を言うと悪魔祓い達を調べていたらちっとばかしヤバイ輩を見付けまして……」

子烏の声も真面目なものに変わる。切り替えの早さと察しの良さは彼の有能さを表す良い見本の一つである。

「名をフリード・セルゼン。割りと有名なはぐれ悪魔祓いです」
「はぐれか……となると悪魔祓いの動きは……」
「ええ。完全に黒です」

流石に仕事が早い。情報収集は勿論。選別や報告まで完璧にこなす彼には助けられる事が多々有った。それでいて戦闘の方が専門だと言えば、彼の非凡さを理解するのには難しくは無いだろう。
私がもし父の跡を継がなければ、今この電話を聞いているのは彼だったはずだ。

「調査ご苦労。そしてそのフリード・セルゼンだが……」
「恐らくは若の考えている通りかと」
「……碌な奴では無いか。趣味は悪魔の無差別殺戮か?」

はぐれ悪魔祓いとは悪魔を殺す事に愉悦や快楽を覚えてしまった悪魔祓いの中で、堕天使のバックアップを受けている者である。そういう人間は尽くが追放、もしくは裏で始末される。だが中には生き残った奴や、まだ続けたい奴がいたりする。そういう戦闘狂、殺戮狂達は本来神や天使から与えられる光の力を代わりに堕天使に求める。堕天使も先の大戦で戦力が落ちたため、それを受け入れるようになり、はぐれ悪魔祓いが生まれたというわけだ。

そしてそういう奴に限ってヤケに能力は高いのだから質が悪い。世界とは実に不公平に出来ている。真面目な奴だけが能力が高いと言うわけでは無いのだから。だが、そのおかげで文明が発達したとも言えるので何とも言えない。それにトップだけでは社会は回らないのである。そして実際は才能と運だけで上に行ける奴等殆どいない。上に居るのは大抵は黙って努力した奴なのだから。

……私は殆ど才能だがな。時々部下に申し訳無くなる。

「フリード・セルゼン。悪魔の無差別な殺戮だけでなく、悪魔を呼び出した人間にも手を出す過激派です」
「訂正。それは予想以上だ」

悪魔だけで無く、人間にも手を出す古典派とはな。今は21世紀、魔女狩りは疾の昔に終わっているのだから勘弁して欲しい。気配は人間と殆ど変わらないから察知は困難。更に事前策が打ち難いのだ。
因みに悪魔祓いが人間を殺害した場合は状況にもよるが基本は処罰の対象である。人間ということで多少は罪が軽くなるが……。

「そっちの方の他の細かい報告は書類にして送りやした。朝までには届くはずです」
「了解した。ああ、それと……」

気になった事が一つ。

「シスターはどうなんだ?」

となればシスターも問題有りだと考えるのが普通である。

「それが……」

子烏の声が僅かに濁る。

「詳しくは見れば分かりやすが経歴は抹消されてやした」
「まさか……本命はそっちか」

経歴が無いという事は何か在ると言っているようなものである。規模的に戦闘を行う気は無いと踏んでいたが、シスターが目当てとは思わなかった。

「恐らくは。驚異度的に悪魔祓い達の方を優先しやしたので、シスターの方はまだです。すいません」
「気にするな。判明次第送ってくれ」
「分かりやした。それでは失礼しやす」

プツリという音を聞いて携帯を閉じる。子烏の事だ。もうシスターの調査に入っているだろう。

「やれやれ……調査は仕切り直しか」

何とかしてシスターを見付け無いとな……。だが、兎にも角にも今は此処の資料を片付けないと始まらん……。




プルルルルル。プルルルルル。

「ん?」

またしても携帯が着信を報せてきた。今度は誰だ?

「もしもし」
「ケイね? リアスよ。実はちょっと厄介な事になったの……」
「何が有った?」
「実は……」

リアスの声に重苦しいものが混じる。

「はぐれ悪魔祓いにお得意様が殺されたの」















「……コレは酷いな……」

リアスから連絡を受けてはぐれ悪魔祓いに殺されたという人間の家を訪れた。

ソコに在ったモノは見るに耐えない代物だった。

逆十字に貼り付けられた人間の体。吹き出た固まりかけの血がバケツいっぱいの水をブチ撒けた様に拡がっていた。傷口からは臓物が零れ落ち、白いモノも見えている。そして血の出方を見るに死んだ後に打ち込まれたらしい釘が加害者の残忍さと狂気を示している。

悪魔を呼んだ人間に人権は無い。
コレをやったクソッタレにはこの人が人間には見えなかったのだろう。ここまでの事を同じ人間には出来まい。

「取り敢えず……」

先ずは黙祷。
来世では普通の人生を送れるようにと。死者はどうすることも出来ない。残された側に出来るのは祈る事位だ。
昔の私なら罪悪感で死にたくなっただろうが、生憎もう自分の命はそんな自己満足の為に使う事が出来る程軽くは無い。一誠の時はああ言ったが、もし一誠が殺しに来たら殺しはしないが全力で応戦する気だった。
私はまだ歩みを止めるわけにはいかないのだから。

「……よし」

黙祷が終わり直ぐに後始末に移る。
だからせめてこの人の検死と遺体の修繕、経歴の調査は私が責任を持って行う。

それが私がこの人に、そして私がこの仕事を拒否した時に代わりにやる人の為に出来る少しばかりの献身なのだから。














あとがき

語彙が少ない……。最後の方が上手く表現出来てない……。頭の中の事を言葉にするって難しいです……。

それではまた次のお話で。

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