小説『「浦島太郎の子孫は宇宙人」』
作者:ドリーム(ドリーム王国)

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 太陽系第5惑星、最大の惑星である木星の隣にあるリュウグウ星からある目的の為に地球連絡船が飛び立った。
 「総統、これよりワープに入ります」
 「全員に告ぐ、これよりワープレベル5で突入する」
  −−−只今 ワープ中−−−
 「コタロウ総統、見て下さい。地球が見えて来ました」
 「よし! ガラボア、宇宙船に異常はないか点検しろ」
 「大丈夫です。宇宙船ガメラーは順調な飛行を続けております」
 「そうか、それなら宜しい」
 「総統、これが総統の先祖、浦島太郎が住んでいた地球ですか」
 「うん、噂以上に綺麗な星だなぁ、地球の食べ物は美味しいそうだな」

 その宇宙船ガメラーは、名前の通り亀の形をしていたが空を飛ぶ円盤型で甲羅部分が本体であり、直径200メーターもある巨大な宇宙船だ。
 「全員に告ぐ、まもなく大気圏に突入する、衝撃に備えよ」
 「こちら第17居住区、衝撃に備えます」
 「こちら第21居住区、衝撃に備えます」
 「こちら第1コントロール室、衝撃に備えます」
 「大気圏突入、10秒前・・・4.3.2.1突入!!」

 ガガガッ〜〜〜ギャンギャン〜〜〜ザァ〜〜〜
 「コタロウ総統、大気圏通過成功、予定の時間通りです」
 「ご苦労、ガラボア。地図を出してくれ。先祖が住んでいたと言う日本という国はどこだ?」
 「この細長い国でス。そしてその中央付近に京都があり近くに丹後半島があり、浦島子とかいう海岸で、いま夏に入り海水浴客で溢れています」
 「そうか、その海岸に着陸は出来ないだろう大騒ぎになりかねん。深夜に合わせて海底にある、我がリュウグウ星の秘密基地に向え」
 「総統、そこは我が先祖タロウ・ウラシマと天使のようなリュウ姫が恋に落ちたという、あの秘密基地、竜宮城基地でしょうか」

 「そうだ、だから我々は日本語も話せるのだ。」
 「総統! 我々の先祖タロウの遺言を、ついに実現させるのですか」
 「そうだ。タロウが言った(命は尊い)の教えをな」
 「そうですたね。我が星の精神は、命は尊いでした」
 「よし、海底基地に連絡を取れ」
 「はいでは、こちら宇宙船ガメラー応答せよ、応答せよ」
 「こちら海底基地、了解。お待ちしております」

   (ここで、浦島太郎のその後を少し説明しなければならない)

 浦島太郎が竜宮城に行ったのは確かだが、実はリュウグウ星人から地球の人間を知る為に一人選ばれた人間、それが浦島太郎であった。
 その竜宮城は海底二万メーターという。人間にはとても入れない未知の世界であった。
 現在の科学が発達した地球人にも知られていない。
 それが、リュウグウ星の広大な地球基地だったのだ。

 処が予想外の事が起きた。たまたま基地に視察に来ていた皇女リュウ姫と太郎が恋をした。
 そこで姫は太郎に玉手箱を持たせた。蓋を開けると白い煙が太郎を覆った、その煙は宇宙で生きて行ける体力を作る為のものだった。
 それから太郎とリュウ姫は、結婚してリュウグウ星で幸せに暮らした。
 二人の間には12人の子供が生まれ、十二支の守り神の名前を付けた。
 それが根丑寅……の始まりという噂がある。地球で亀を助けた教えはリュウグウ星でも受け継がれ(命は尊い)の魂は生きている。
 だが、太郎の生まれた地球は、それが守られていないのだ。
 その為に太郎の子孫コタロウ総統が、壮大な計画を企てた。

 「それで、我がリュウグウ星と、地球は兄弟星なのですね」
 「そうだ。だが我々は地球の人間に、姿を見せる分けに行かん」
 「どうしてですか? 人間にそっくりだから見分けが付かないでしょう」
 「いや駄目だ。地球の人間は綺麗だから、好きになってはいかん」
 「好きになっては、なぜ駄目なんですか」
 「いや、やはり駄目だ。子供が出来たら混血と言う訳にはいかんだろう」
 「しかし、コタロウ総統だって人間の血が」

 「それはそうだが地球は汚染されている。環境だけではなく心も汚染されている。これでは我がリュウグウ星人は、地球では生きて行けないだろう」
 「じゃあ、住めるような環境に変えたらいいんじゃないですか」
 「勿論その為に来た。地球人は私利私欲が強すぎて自分が良ければ他人は、どうでも良いと思っている人間が多いようだ。だから表向きは環境問題と訴えているが、一歩裏に回れば金儲けばかりを考えている。こんな人間と友好関係が結べる訳がないのだ」

 「総統、まもなく宇宙船ガメラーはリュウグウ海底基地に到着します」
 宇宙船ガメラーの乗組員総勢800人が、海底基地の中に入った。
 基地といっても沖縄本島と同じくらいの面積を持つ巨大な基地だ。
 リュウグウ星人は、この基地に150万人が暮らしている。
 海底とはいえ、人工太陽があり春夏秋冬の季節まで作った。
 農作物や果物家畜もいる。牛や馬の放牧もあり、地上と同じ環境が作られていた。
 これも全て、先祖タロウ・ウラシマの教えが生きていた。

 地球海底基地長官が、迎えに出た。
 「コタロウ総統閣下、長旅ご苦労さまでした」
 「うむ、ご苦労。ラザウス地球海底基地長官。異常はないか」
 「ハイ総統、ありませんが地上では相変わらず戦争がどこかで続いています。いつ核爆弾を使うのかと思うと、穏やかではありません」
 「それだけはいかん。我が祖先タロウ・ウラシマが悲しむだろう」
 「では、いよいよあの作戦を実行するのですね」
 「やも得ないだろう。全世界の国のトップをリュウグウ星人にすり換えるしか手がないのだ」
「しかしそれでは地球を、リュウグウ星人が支配する事になるのでは」

 「勿論だ。地球人とリュウグウ星人の架け橋となったタロウとリュウ姫の願いは双方の星の平和を願うことだ。それを我々が果たし為に一時的に地球人を支配して、戦争や犯罪の少ない地球になった時に地球人の手に
返せば良いのだ」
 「では予定通りで宜しいのですね。では私が選んだ各国の首脳と閣僚級の人員とそっくりのリュウグウ星人15万名を選任して置きました。まず各国の首脳から、順次入れ換えてゆきます」
 「絶対に気付かれる心配は無いのだな、ガラボア。期待しているぞ」
 「はい、我がリュウグウ星の秘伝である、玉手箱から出た煙を散布して一時的に人間の意識を飛ばせば、簡単に出来ます」

 その選ばれた15万人のすり換え要員は、あらゆる首脳の知識を備えていて側近でも絶対に気づかれる事はなかった。
 そこで本物の各国の首脳人を、リュウグウ星に密かに運び更生させ環境と平和の大切さを、本気で考えるようになった時に、再びすり換えるという壮大な計画だった。
 その計画は半年に渡り実行された。いま又その第一陣がリュウグウ星に旅たち時が来た。
 そこには、あの北腸戦国の金銀銅書記長等が含まれている。やがて地球首脳陣はリュウグウ星へと運ばれた。
 「でっ総統、彼等は、これからどうなるのですか?」
 「まぁ更生しないものは、永久に地球には帰れないだろうな」
 コタロウ総統は、宇宙船司令室に飾ってあるタロウとリュア姫の写真を見て呟いた。
 「偉大なるタロウの教え。(命は尊い)の精神がここに実りました」
 「コタロウ総統、これよリ太陽系第5惑星に向けてワープに入ります」
 「よし、ご苦労これで全ての任務完了だ」

皆さんは知っているのだろうか? 
世界各国の首脳陣は、すべて宇宙人であることを…………。
                                   了

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