【第二章:エゴイスティック】
生きてもいなければ死んでもいない。時間の概念すら存在しない。朝も昼も夜も無く、現在がいつなのかも曖昧だ。
牢獄だ、とシジマは思う。この部屋から出られないし、娯楽などあるはずもない。ただ、誰かの訪れを延々と待ち続けるだけだ。だから罰なのだと言われれば納得できそうだった。この状況にカクリは慣れているのか、退屈そうな様子は全く見られない。特に何をしている訳でもないのだが、微笑むような表情が崩れる事は無かった。
みつきを見送ってから、二人がこの部屋を訪れた。彼らが来るまでに、シジマの体感では三日以上経過していた。二人共に男性。一人はサラリーマンの父親、もう一人はカクリと同年代に見える青年だった。