小説『先生は女子大生』
作者:相模 夜叉丸()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

「・・・・・。」
 僕はちょっと昼寝をして、着替えてからすぐに逃げるように家を飛び出した。飛び出して例のキングマートに寄り、ウィダーゼリーを2本を買ってコンビニの外で飲んでから市谷スクールに行った。
 教室に続く階段に行こうとしたが、僕は途中で引き返してトイレに行った。
 汗をタオルで拭い、ボディシートを上半身を隈なく拭いた。先生に会う前にちょっとした習慣になってしまった。エチケット、なんてたいそうなものじゃないが、しないよりかはマシだ。
 全て済ませ、僕は教室に行く。教室に行く途中の廊下や階段も日陰にはなってるもののやっぱり暑かった。
教室の前まで行き扉を開けた瞬間、冷気が僕の全身にかかる。こんなところにずっといたら本当に体を壊しそうだ。お腹も痛くなりそう。
 扉を閉めて教室の中を見てみると、誰かが僕に視線を投げかけてくるのが分かった。どうやら真ん中の席からそれは来ているらしい。僕はその視線の元まで行ってみた。
 長い髪に白衣を着た女性が僕の顔を見るなりニコッとした。一宮先生だ。
 「あ・・・こんにちは。」
 僕はちょっと元気無さげに挨拶した。
 「こんにちは。今日は早いのねぇ。」
 僕は頷いた。確かにここには先生と僕しかいない。先生は何か教科書や問題集を見ていろいろと準備をしていたみたいだ。
 「あの・・・これから授業ですか?」

 「ううん。今日は最初田中君からだよ。」

 「そうなんですか。・・・でも先生も早くないですか。まだ3時にもなってない。」
 
 「この時期はたくさん生徒を受け持つからね。準備するのに時間ぎりぎりでやってたら間に合わないし。」
 と言って先生はまた机に向かって何か作業をし始めた。僕はそっと先生の隣の席の椅子を引いて座った。先生が僕の方を向いた。
 「あの・・・いいですか。隣。」
 
 「うん、どうぞ遠慮しないで。そんな聞かなくても良いのに。どうしたの?」

 「いや、別に。先生に座ってもいいか尋ねろって神様のお告げがあって・・・。」
 
 「あはは、何それ。」
 先生はまた笑ってみせた。だけど僕はその顔を見ても、先生と言葉を交わしても何だかスッキリしない。鞄から教材を出して、静かに勉強を始めた。
 

 

-21-
Copyright ©相模 夜叉丸 All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える