小説『虹の向こう』
作者:香那()

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夏を迎えた。

私達は四人で加田のキャンプ場へ行くことにした。

ビールをクーラーボックスに詰め込み、BBQの材料を切って用意していった。

四人で頑張ってテントを二つ張り、早速泳ごうとしたが、肝心のビールを冷やす氷が溶け始めていた。

やっぱり冷蔵庫のじゃダメかということで、私とゆうちゃんで氷屋さんを探してくることになった。

あれやこれや話しながら、ハンドルを握り探し回っているとやっと見つけた。

用途を言うと、氷を砕いてくれた。

それをまたクーラーボックスに詰め込み、戻る。

運転は嫌いじゃないし、どちらかと言えば、上手な方だ。

狭い道を抜けて、クルマを博久くんの近くに止めると、ゆうちゃんと運んだ。

「買ってきたよ、なかなか見つからなくてね」

と言いながらテントへ行くと、すでに二人は飲んでいた。

「ちょっと!人に買いに行かせといてなにしてんの?」

ぶつぶつ怒る私に二人が声をかける。

「まあまあ、香那。そう怒りな。立派な氷や!すぐキンキンに冷えて、おいしいで」
「奥さん、ごめんごめん。あんまり暑うて。」

氷をそれぞれに分けて入れる。本当に立派な氷だ。

実際翌日、帰る時も溶けていなかったぐらいだ。

私は、キンキンに冷えたビールを飲んだ。五臓六腑に染みわたるとはこのことだ。

「あ〜、おいしい!」

それから四人でしばらく浅瀬で川遊びを始めた。

飲酒しての水泳は危険だと分かっていたからだ。

おぼれて死ぬ気は毛頭ない。

遊んでは飲みをしている頃には夕暮れになっていた。

そろそろBBQの用意をしなくては。

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