小説『虹の向こう』
作者:香那()

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料金の割りに、バンガローは広く大きかった。これで馬路の温泉が入り放題なのだからお得だ。

二段ベットが4つあって部屋はすごく広く、トイレとテレビつき。

何故かトイレにシャワーがあったのが、解せなかったが。

とりあえずBBQを楽しみ、今回は花火も楽しんだ。

流石に打ち上げ花火は無理だったけれど。

夕方から始めたからいい時間になっていた。

私達は、温泉に向かうことにした。

温泉には、歩いて、つり橋を渡って行ける様になっていた。

ライトを照らしながら、わいわい歩いた。

皆、子供のようだった。博久くんも饒舌だ。

当然男女に分かれて入る。

ゆうちゃんは長風呂らしいが、今回は、男が二人もいる。

待たせてはいけないといいながらも、いくらなんでも、もう出ているはずないよねと、温泉にゆったり浸かった。

気持ちよいの一言。

匂いも取れたし、さっぱり。

私たちがお風呂から出ると、雅巳くんと博久くんは待ちくたびれていた。

「いつまで入ってるんだよ。おぼれちゃせんかとおんちゃんと話よったで」
「ごめんごめん。でも、せっかくの温泉やん。浸かってない?」
「暑いし、二人とも長風呂じゃないし」
「別に先に帰ってくれててかまんかったで」
「おんちゃんはのんびり待ちゆうし、ライトは一個しかないし」

やっぱり博久くんは優しいなあと思った。

それに比べ、我が亭主は…。

まあ、なんだかんだ言いながら、また歩いてバンガローに戻った。

ちょうど、”愛は地球を救う”をやっていたが(というか、他のチャンネルはNHK以外入らなかった)、私はひどい頭痛に見舞われ、一人横になっていた。

救急車をと思うぐらい痛かった。

が、そんなことしたら興ざめだ。

私は大丈夫と言って、音声だけ聞いていた。

やがて、眠ろうとなり、雅巳くんがやってきた。

「別に一人でも大丈夫で」
「ゆうちゃんらあも、一緒に寝ゆうで。なんか淋しいやん」
「そりゃ、二人で寝る機会なんてそうそうないし。でも、もったいないね、ベッドいっぱいあるのに(笑)」
「そやなあ。まあ、えいがとちゃう。」

そんな会話を小声でしていたが、向こうからも小声が聞こえていた。

私達はゆるやかに眠りに落ちた。

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