小説『虹の向こう』
作者:香那()

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検査の結果というか、診断は腰の辺りが良くないので、精密検査をする為入院するというものだった。

私達はお見舞いに行った。

その頃、博久くんの片足は急に動かなくなったと言っていた。

リウマチのせいかは分からなかったが、

雅巳くんが「賞味期限が切れたがやとちゃう?」

なんて軽口を叩き、博久くんも含めて四人で笑っていた。

精密検査して、悪いところがあったら、前のようにオペしたらいいだろうと思っていた。

この時は、博久くんも始め、誰も何も疑っていなかった。

悪魔の足音が近づいていることに。

思ったより元気そうだった博久くんを見て、私達は帰った。

博久くんもいないし、スパイクアウトもないので、また土佐セガに舞い戻り、スラッシュアウトというゲームに興じていた。

この頃、ゲーマーなら誰でも知っている人が、ちょくちょく高知に来ていた。ある男の子に会いに。

書いたかもしれないが、ゲームやりたさに高校を中退した子だ。

東京から来る彼のリングネームは出せないが、めちゃくちゃ強いけど、私たちの仲間で特に仲の良かったその子と対戦するのが楽しみだったらしい。

雑誌にもライターとして活躍していた某氏だ。

感のいいゲーマーは分かるかもしれないが。

その子がセガで働いていた為、会いがてらもあった。

内緒でサービスしてくれたりしていた。

そして、博久くんの精密検査も終わり、やはりオペをすることになったが、変わらず楽観視していた。

ヘルニアか何かだろうと。

詳しい病名は聞かなかったが、すぐ退院できるとばかり思っていた。

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