小説『虹の向こう』
作者:香那()

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博久くんのオペは無事終了した。

私達は安堵した。

これであとは良くなれば退院して、また元のように遊べる。

ううん、二人は結婚するかもしれないから、もっと楽しい付き合いになるかもしれない。

そんなことを夢見ていた。

なんていっても医大の先生が執刀したんだもんね。

ヘルニアだろうが、なんだろうが大丈夫に決まっていると思っていた。

オペから落ち着いた頃、またお見舞いに行った。

ゆうちゃんは、結構まめに行っていたようだった。

私達も意外だったのだが、博久くんはゆうちゃんをご両親に紹介していなかった。

お見舞いに来る女の子で、やっと分かったらしい。

まあ、結婚するまでそれもありかと思った。

飛んだハプニングだが、結果オーライだ。

オペがすんだのに、何故か博久くんの足は動かないままだった。

「リハビリがいるしね」

と言っていた。

それはそうかもしれない。

大事な腰だ。

その日、博久くんと医大の食堂でお茶を飲んだ。

医大は2種類の食事から好きなのを選べると聞き、さすがだねなどと言っていた。

ほかにもなんでもあって。

その頃の博久くんは、あれはなんていうのだろう。

車椅子ではなく、カラカラと車輪がついていて、手で押していくものを使っていた。

この様子なら、リハビリだって大丈夫。

私達夫婦は笑顔で別れた。

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