その頃、ゆうちゃんに電話した事がある。
博久くんのことで。
「博久くん、どうなが?足もよくなってないし。オペはどうなったが?」
「…う〜ん、オペは成功したがよ。でも、ひさちゃん(ゆうちゃんはこう呼び出した)が言うには、なんか、 すっきりしないんだって。ほら、中学生の時、同じようなのあったって聞いちゅうろう?で、その時は、
オペの後、すごくスッキリしたのに、今回はそれがないって。」
「どういうこと?先生は?」
「うん、で、ひさちゃんも先生に訴えたらしいがよ。そう言うて。でも、成功しているし問題ないって言われ たらしいがよ。そう言われたら、いくらあたしだって、それ以上よう聞かんわえ」
「そっかあ…先生、患者の訴えちゃんと聞いてくれてないがや」
「そういうことになるわ」
高知県最高学府である病院でそんなことがあっていいのか?
でも、博久くんが言っているにも関わらず、大丈夫の一点張り。
おかしいよ、絶対。
でも、私は口出し出来る立場にない。
もどかしかった。
でも、一番もどかしいのは、博久くんだろうと思った。
自分の言っている事を聞き入れてもらえないのだから。
もし、あの時、聞き入れてもらえていたら、違っていたのかもしれない。
それと、もうひとつ、気になることがあった。
医大だからかもしれないが、病室が変っていくことだった。
私達はお見舞いのたびに、ナースステーションに訪ねていた。
雅巳くんは気づいていたかは分からないが、私はある事に気がついていた。
動いていたはずのもう片足の動きが、少しおかしくなっていることに。