小説『虹の向こう』
作者:香那()

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嬉しそうな雅巳くん。

「やっぱり上手で!友達って人も上手いがやけんど」
「へ〜。いいなあ」
「お前の事も話してあるから、どうで?」
「う〜ん。考えとく」

そっかあ。

最初の博久くんの印象は真面目そうで、少し怖い感じだった。

そういう私も人見知りするから。

雅巳くんから聞いた博久くんは、全然そんなことはなく、面白い人だということだった。

そして、新たな情報が入った。

伊野町(現いの町)に、100円バーチャが対面で置いてあると言う情報だった。

これはいかねばなるまい。

ということで、私も初参戦することとあいなったのだった。

行ってみると、もう常連って人が何人かいて、店の様子を見渡す。

大して広いゲーセンではないが、まあ、そこそこだ。

そこで博久くんともご対面。新入社員教育以来だ。

「どうも、自分もゲーマーって、知らんかったし、そんな風に見えんかったで」
「それはこっちもですよ。驚きましたもん」

大学を出ている彼は私達より二つ先輩になる。

雅巳くんと博久くんはさっそくゲームに興じていた。

私もたまにインカムしていたが、圧倒的に練習不足とかあって勝てない。

打ち出の小槌を持っているわけでもなかったから、静かに見ていたり、天外魔境というのをやっていたりした。

余談ではあるが、私と雅巳くんは結婚することが決定していた。

はでな披露宴も無しの結婚だったが。

常連さんもたまに話しかけてくれるのだが、やはり人の奥さんになるってことと、私の人見知りがあって、会話がはずまない。

後で、聞いた話によると、皆で心配していたのだそうだ。

そんな私に、一つの転機が訪れようとしていた。

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