小説『虹の向こう』
作者:香那()

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あまり書きたくはないのだけれど、少々私達夫婦の事にも触れないといけない。

関係は修復するどころか、泥沼の一方だった。

雅巳くんは、飲む、打つ、DV、女の四拍子でろくでもなかった。

私ももっと早くに両親などに相談していればよかったのだが、報復が怖かったのもあったし、収まるかなと思っていた。

ところが、おさまるどころかひどくなる一方で、決定的なことがあった。

なんと、相手の女から私宛に直接電話がかかってきたのだった。

なんどか無言電話があり、会社からといってでんわがあり、完全に不信感になった時だった。

自分の不倫をばらし、それでも、雅巳くんが好きなんですと言っていた。

私はことの時、初めてひざが震えて座り込むという現象を体験した。

相手の女を諭し、ろくでもないやつだからと言って、お互いの電話番号を交換した時、のん気に帰ってきたのを今でも覚えている。

結局次の日に、不倫相手が全部、私に話した事もばらして、もめたらしい。

当たり前だ。

私は母に電話し、離婚したい事を伝えた。

うすうす感づいていたらしかった母は、向こうの親戚で話が出来る人はいないかということで、話したのだが、これが、また最悪となった。

向こうは一族そろってろくでもない一家で、DVに対するわびもなかった。

それから一年弱経って、ようやく離婚した。

この時点で博久くんはまだ、健在で、私の離婚話をゆうちゃんから聞いていて、私が知らなかった事も教えてくれたりした。

四人で会っている時も、こっそり三人で目配せしていたものだった。

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