博久くんが自己紹介をしてくれた。
「初めまして。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします。」
三人は挨拶を交わしたが、私とゆうちゃんはお互いの顔を見合わせた。
どっかで聞いた名前、どっかで見た顔。
記憶の糸をたぐりよせた。
言葉を発したのは、ゆうちゃんだった。
「もしかして、香那ちゃん?H中の?」
「うん。もしかせんでも、ゆうちゃんでね?」
「いや〜、こんなくで香那ちゃんに会うなんて思うてなかったで。久しぶりやね」
「こっちこそ、ゆうちゃんがゲーム好きなんて思うてもなかったで」
博久くんが目を丸くしていた。
「何?二人とも知り合い?」
二人して頷いた。
「うん、中学校の時、仲良しやったがって」
「高校に入ってから疎遠になったけんど」
雅巳くんもやってきた。
「香那、友達やったって?」
「うん、中学の時の。びっくりした」
「良かったやん。話しやすいろうがえ。元々友達なんやき」
博久くんも驚いていた。
「偶然ってあるがやねー。まさか奥さんの友達やったとは」
ゆうちゃんが口を開いた。
「奥さん?香那ちゃん、もう結婚しちゅうが?」
「あ、まだやけど、もう数ヶ月で籍だけ入れるが」
「そりゃ、おめでとう。なんかそれも意外や」
そこからは、女の子三人の独壇場と化した。
女を三つ書いて、姦しいとはよく言ったものだ。
ゆうちゃんたちは二人で(実はもう一人も一年だけ塾が一緒だった)やっていたという。
「女の子でバーチャしゆうのって、おらんやん?誰かおらんかなって言いよったら、香那ちゃんの存在を聞い たがって」
「私も一人やったき、なんか淋しいというか。良かった〜。仲間がおって。おまけにゆうちゃんやもん」
あっという間に打ち解けて、バーチャどころではない一日だった。
常連と化していた私を見て、他の常連さんも驚いていたらしい。
あの大人しい奥さんが笑って喋ってるって。
案外、面白い人なんかもねって、話題になってたとか。
本当に世間は狭いなあと思った。