小説『日常の中の非日常 2』
作者:つばさ()

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病院に着いた。



病院の前に黒い車が止まっていて、すぐに父さんのものだと分かった。




足を休めることなく病院の中に走って入って、たくさんの人がずぶぬれの僕を訝しげに見ていたけど、それも全部無視してカウンターに行った。



「あの・・・・・・岡本稔弘の、病室・・・・・・は?」



息が絶え絶えで、そう言うのが精いっぱいだった。

カウンターのお姉さんは、僕を変な人を見るような目で見ていたけれど、僕の口からその言葉を聞くと悲しそうに顔を歪め、「岡本さんは・・・・・・」と言葉を濁した。





僕はお姉さんに連れられて、病院の一室に来た。

そこには医者らしき男性や看護婦さんのほかに、父さんや、叔母さんがいて、その人たちが揃って顔を伏せて一つのベッドを囲んでいた。




吐き気がするほど、嫌な空気だった。




「・・・・・・博紀」



父さんが僕に気付いて、ベッドの頭の方に引っ張った。






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