今だ。
自分の夢を追いかけるチャンスを、この手に掴めるか、運命を決める瞬間だ。
「ぼ、くは・・・・・・」
なにになりたい?
分からない。分からないんだ。僕が、なにを目指しているのか。
「わからない・・・・・・」
震える声で、涙とともにそう吐きだした。
僕はどうすればいい?
なにを求めて、なにを願って、なにを欲しがる?
『将来の夢は小説家になること』
本当に?
分からない。自分が分からない!
「・・・・・・そうか」
父さんの気配が、扉の向こうから消えていく。
僕は頭を抱えて、体を震わせ泣いていた。