小説『日常の中の非日常 2』
作者:つばさ()

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頼んでもないのに、吉岡は手帳に挟んでいた家族写真を僕に差し出す。


そして、僕はその写真を見て驚愕した。



「・・・・・・え、この子が、娘か?」


「ああ、妻の方によく似ててな? こう、髪の毛の色とか、目のくりっとしたところとか」



その写真にうつる少女は、僕が高校生の時に駅で出会ったあの少女によく似ていた。

そりゃあ、何年も前の記憶だし、曖昧な所も多いけど。それでも、そっくりだった。



「・・・・・・不思議なことって、あるもんだな」



未来からきた少女。

そんな風にいえば、なぜか安っぽく聞こえて、『時間の歪みによる運命の出会い』とでも言った方がまだいいなと思った。



「あ? なに言ってんだよ。それより、そっちは最近どうなんだ? 小説家の先生さんよ」


「この前また一冊本を出させてもらえたけど、売れるかどうか・・・・・・でも、父さんとの約束は果たせたから、別にいい」



父さんは、僕が初めて本を出させてもらえた次の年に、ガンで死んだ。

それでも、僕は約束を果たせたし、父さんは、死ぬ間際まで僕の本を手元に置き続けてくれていた。



それが、とても嬉しかったから。


だから、売れても売れなくてもいい。





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