第十話 熱戦だ!烈戦だ!超激戦だ! 中篇
side三人称
セロリの目の前では二人の戦士が戦っている。いや戦っているというよりは片方の戦士がもう片方を弄っているというのが正しい。
ナスビは空中でブロリーにお手玉にされ、地面に叩きつけられた。さらにナスビの腹にブロリーは自らの膝をつきたてたのだ。
セロリにとってはありえない光景だった。今まで旅をしてて何度かピンチになったが基本的にはナスビはほとんどの敵を倒していた。セロリが負けたり、つかまったりしても必ずナスビは助けてくれたのだ。それが今現在。
「ははははは!もっと鳴け!!ああ面白いな!」
「ぐああぁぁぁぁ!ごぽぉ」
目の前では地面に埋もれ血を吐くナスビをなぶるブロリーが見える。だがセロリの足は動いてくれない。まるでそこに釘付けにされた用に動かないのだ。
「(怖い……)」
それはセロリの初めて味わう極限の恐怖だった。フリーザのときは直接戦ってはいない。その後のたびでもなんだかんだとナスビが助けてくれた。スカウターを覗いてみれば戦闘力が一億を超えている。セロリにとっては立ちくらみを起こしそうな恐怖だ。
たとえセロリがパワーボールを使って大猿になっても全く追いつけない戦闘力だ
「(私は何やってるんだ!ナスビがやられてるんだぞ?ここで動かないで何がエリート戦士だ!)」
セロリは自分を叱咤する。震える足をぶん殴り、戦闘力が何だと、小さい頃から一緒にいる、好意を寄せているナスビが殺されるんだぞ?と。
「おおおおお!ブロリーーー!」
セロリは自分ができる最大の攻撃を使う。それはナスビに教えてもらった技でもある。
格上にでもダメージを与えられるとナスビが言っていたのをセロリは思い出す。
腕を上に掲げ、気をためる。それを薄く、鋭く、円状にしていく。
「気円斬!!!たりゃ!」
一直線にブロリーに向かって飛んでいく気円斬。
ブロリーはそれを片手で受けるが思ったより強かったのか少し眉をひそめる。だが……
「ふん!」
「な!!!」
ブロリー片腕に握りつぶされてしまったのだ。だが無傷ではなく、ブロリーの手のひらからは気円斬によって切られた傷口から血が垂れている。
「ほう、結構痛かったぞ?」
ブロリーはセロリをねめつけるように見てにやりと笑う。
「お返ししてやろう」
ブロリーは踏みつけていたナスビから足を離しセロリに向き直る。
そして手を前に向ける。そしてその手からエネルギー弾を作り発射していく。連弾、連弾、連弾。絶え間なく遅い来るエネルギー弾をセロリは弾き、よけていく。だがブロリーが本気だったら弾ける筈もない。遊んでいるのだ。
「くっそ!このガキ化け物か?!!!」
「化物?ははははは!!違う!俺は悪魔だ!」
狂ったように笑ったブロリーはエネルギー弾を作るのをやめ、セロリに向かって飛んでいく。
セロリは全く反応できない。そしてブロリーの剛脚から繰り出された蹴りがセロリにぶち込まれた。
「あぁっ!」
そのまま廃墟のビルを何個か突き破って飛んでいくセロリ。何個目かもわからないビルに突き刺さりやっと止まった。
だがセロリは全く動けない。体が動く事を拒否しているような感覚がセロリを襲う。
「つまらん、終わりか……」
そう言ったブロリーは極大のエネルギー弾をセロリに向かって投げる。
「はは、ははは(これは、死んだかな……)」
一瞬完全に生を諦めたセロリ。
だがエネルギー弾がセロリにあたる直前、何処からかエネルギー弾が飛んできた。それがブロリーのエネルギー弾を弾きどこかへ飛んでいく。飛んでいったブロリーのエネルギー弾は町一つを容易に吹き飛ばすような爆発を遠くで起こした。セロリにあたっていたら死んでいただろうと思わせる威力だ。
だがブロリーのエネルギー弾が跳ね返った辺りにはパラガスが気絶していたのだ。人知れず息子のエネルギー弾でパラガスは消滅した。この事には誰も気がつかなかった。
「ふん、生きていたか」
「はぁ、はぁ、はぁ」
ブロリーが視線を向けるその先には、口から血を流しながらも鋭い眼光を衰えさせていないナスビが浮いている。
ナスビはちらりとセロリを見て言う。
「はぁ、もう、はぁ、後のことは、考えない……20倍……界王拳、だぁあああああ!!!!!」
息を切らせながらも叫んだナスビの全身を膨大な赤い気が包む。それはさっきまでの比ではない量だ。
ナスビは瞬時に出した全速力でもってブロリーの背後に現れる。そして両手をあわせてそれをブロリーに叩きおろす。それを食らったブロリーは地面に向かって吹き飛んでいき地面に突き刺さる。だがそれで終わるはずも無く、即座にブロリーが吹っ飛んだところへ飛んだナスビ。そして先ほど自身がやられたように膝を思いっきり突き立てる。
「ぐぁ!」
流石にタフなブロリーもこれには堪えたようでよだれを噴出した。
絵的には10歳の少年に対しているのだが年齢なんて関係ないほどブロリーは強く残忍なのだ。良心なんて全く痛まない。
更にナスビは力をめいいっぱい込めた拳をブロリーの腹に抉りこむ。二十倍の界王拳でかなり強化されているおかげで強靭な体を持つブロリーにも簡単にダメージを与える事ができた。
「うぉらぁ!」
「ぐお!」
殴る。殴る。殴る。
「だりゃぁ!」
「がぁ!」
そのままラッシュラッシュで殴りつけていく。それとともにブロリーも更に地面にめり込んでいく。
界王拳はずっとやっていられるわけではない。体に負担がでかいのだ、今の二十倍界王拳ともなれば10分もやったらその後は足腰が立たなくなるほど。そのためナスビは急いで決着をつけようとしているのだ。
「これで!おしまいだぁぁあぁぁぁ!!!」
渾身の力を込めた拳はブロリーの腹を貫通した。
「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!!」
ブロリーは腹を貫かれようともナスビに向かって拳を叩き込もうとしたが流石に腹に風穴を開けられたからか、振りかぶっただけで白目をむいて動かなくなった。
それを確認し、流石に死んだだろうと思ったナスビは界王拳を解きセロリのほうへ飛んでいく。
「はぁ、はぁ、大丈夫か、セロリ、はぁ」
「へへへ、ナスビほどじゃ、ゲホ!、無いさ」
ナスビとセロリで笑いあう。あんな化け物と戦って二人とも脳内物質が出まくっているのだろう。ナスビも痛みはあるはずなのに思ったほど感じない。
「「はははははは!」」
二人とも緊張していた糸が切れたように笑いあう。
「さあ、宇宙船に帰ってメディカルマシ……??!!!この気は?!!」
船に帰ろうとした二人。だが無くなっていた筈のブロリーの気は瞬時に膨れ上がった。
世界がただ一点を中心に色を変えていく。無色、緑、無色、そして緑。そしてそれが収まった瞬間ブロリーの気が更に膨れ上がる。
「カカロットおおおおおぉぉぉぉ!!!!!!ナスビイィィィィイ!!!!」
ナスビとセロリがブロリーがいるところへ目を向けるとそこには腹から血を流しながらもしっかりと地に足をつけ手立っているブロリーが存在した。
その姿は神は天を劈く様に立ち上がり、金色の頭髪になったブロリー。
「……伝説の超サイヤ人」
ナスビはそう呟き体を震わせていた。
セロリは何とか壊れていなかったスカウターを使った。そして見なければ良かったと後悔した。
「戦闘力二億……」
セロリはほぼ絶望したような表情だ。
「ぶっ殺してやるぞナスビイィィィーーー!!!」
ブロリーの雄たけびが響き渡った。
あとがき
超サイヤ人の戦闘力は基本戦闘力×50は変わらないです。ただどっかで公式では超サイヤ人2は100倍、超サイヤ人3は150倍とか聞いたんですが本作ではそこまでインフレするのもあれなんで多少下げる予定です。超サイヤ人が五十倍なのは変わらないですけどね。
伝説の超サイヤ人の倍率は100倍にさせていただきます。最初の金色のオーラだけだと普通の超サイヤ人と同等ですね。
ブロリーの現在のスペック
基礎戦闘力200万
金色オーラだけ一億
伝説の超サイヤ人2億
あくまで10歳のブロリー君だからここまで弱いんです。
本編のほうだと15億近くあるとか言う話ですからねwまあ本当かはわかりませんが。