小説『ドラゴンボールN』
作者:プータ()

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 第十七話 ナスビの願いとセロリの疑惑

 俺はこの前ピラフ大王に会ったときに、気を記憶しておいた。小さい気なので大変だったがずっと追っていれば追尾も可能だ。そしてあいつらが固まっているところに瞬間移動し、ピラフたちの根城を突き止めた。
 後はドラゴンボールがそろって俺の願いを言うだけとなっている。ウーロン用にパンティーもデパートで買ってきた。恥ずかしかったが仕方が無い。
 会社のほうはこの前契約を取ったし、うちは社員数が少ないのでさほど人件費もかからない。そんなに働く必要も無い。かなりゆるい会社だろう。まあみんなそれでも楽しそうだし、セロリものんびりしているからな。
 俺はピラフの根城の屋根でのんびりと過ごしていた。


 side三人称

 ナスビの会社、A(アストロ)T(テクノロジー)カンパニー。基本的にATカンパニーと周囲の人や取引相手には呼ばれている。
 そして今、会社内には社長であるナスビはおらず、社員とガードマンのセロリのみだ。

 「そういえば……社長って最近出かける多くないですか?」

 ふと、社員の一人の女性がこんな事を言い始めた。

 「言われてみればそうだな」

 その言葉にセロリも同意した。最近良くわからないエロ爺(亀仙人)のところに連れて行かれたりもしたが、よく仕事以外で出かけているのをセロリも知っていた。
 周りの女子達の目がキラリと光ったのは気のせいではないだろう。

 「……社長って結構もてそうですよね?」
 「そうだね、なんていうか母性本能くすぐられるところがあるんだよねー」
 「あの集中したらほかの事考えない性格とか、ちょっとぼけっとしてる所とか、ほっとけなくなったりするんですよね〜」

 三人の女性社員のね、ねー、ね〜の言葉に思うところがあるセロリ。
 
 「確かにそうかもな……私の御飯の世話をなんだかんだといいながらしてくれて、大人ぶってはいるが。肝心なところちょっと抜けてたり。そういうところ結構気になるよな」
 「前半はどうなのそれ」

 女子社員たちからすれば「御飯を用意してるの社長なの?」である。
 セロリはサイヤ人時代のことを思い出していた。小さいころ、星の侵略中にもかかわらずぼけっとして危なげなセロリ。そう言うところはほっとけなかった。研究中でも機械いじりに没頭して、他の奴らにちょっかいかけられそうなとき、セロリがそばに行って周りをけん制していた事も何度もあった。
 結構ナスビは知らぬ間にセロリに助けられたりしていたのである。本人は全く気がついてないが。それを思い返してみても『ほっとけない』という思いは確かにわかるとセロリは思った。

 「もしかして……浮気してたり?」
 
 一人の女子社員の言葉に凍りつく仕事場。男性社員も耳を傾けている。女三名、男二名、宇宙人女一名の現在、なんともいえない空気だ。

 「そういえば最近は金髪に髪を染めたりしてるよね」
 「仕事もちょくちょくぬけてるし」
 「これはもしかしちゃうかも?」

 髪の毛は超サイヤ人、仕事を抜けるのは亀仙人の監視や、ピラフの根城の監視である。勘違いもいいところだが、確かに疑われる要素ではある。

 「えっ!」

 考え込んでしまうセロリ。超サイヤ人のことは修行だとわかっているが、確かに出かけるのが多い。なんともいえない疑惑が心に持ち上がる。

 「……これは言うか言わないか悩んだんだが」

 ふと、いきなり話し出す男性社員。めがねの似合うナイスダンディでまじめなおじいさん。おじいさんに視線が集中する。
 
 「この前、デパートで女性物の下着売り場に社長がいたんだが……心当たりは?」

 セロリに向かって言うめがね。

 「な、ない……」

 とどめの一撃だった。


 sideナスビ

 お!来た来た!ドラゴンボールをピラフたちが持ち出すのが見える。そして神龍がよびだされた。
 巨大な体と長い体長。その存在感に圧倒される。いつまでも見てたいけど……。

 「ふっ!」

 気合砲をピラフたちにぶち込む。あくまで死なないように、失神する程度だ。そして飛んでくるウーロンとプーアルには高速移動で近づき一瞬で意識を刈り取る。そして買って来て、俺の胸ポケットで暖められたパンティーをウーロンに握らせておくのを忘れない。
 そして神龍に向き直る俺。

 「さあ願いを言え、どんな願いでも一つだけかなえてやろう」

 ゆらりと長い髭を揺らめかせながら言う神龍。

 「じゃあ願いを百個にしてくれ」
 「それは無理だ」
 「ですよね〜」

 わかってたけどやりたかったこの気持ち。

 「だったら、界王様に修行をつけてもらうことはできないか?」
 
 これが成立すれば悟空が死ぬ必要が無くなる。一度会ってしまえばあとは瞬間移動でいつでもオッケーだしな。それで元気球も習得可能だ。

 「それは無理だ」
 「え!なんで?」
 「界王は神の力を超えている。界王にたのみごとをすることはできない」
 「じゃあ会うのは?」
 「それも無理だ。界王は試練を終えないと会えない決まりだ」

 なんてこったい。俺の完璧な計画が……

 「じゃあ閻魔様に会うのはできるか?」
 「……容易い事だ」
 
 シェンロンの目赤く光。すると俺の視界が全く知らない場所を移していた。まだ聞いただけで頼んでなかったんだけどなぁ。
 周りを見れば黄色い雲の中に橋が架かり、その上を人の魂のようなものが整列し、列の先には大きな建物、恐らく建物は閻魔大王が書類を書いている場所だろう。どうやらシェンロンに飛ばされたらしいな。
 確かに閻魔に会うだけならこれで良いけど、界王さまに修行してもらいに行くのは難しいんじゃないだろうか?とりあえず閻魔に聞いてみるしかないか……。
 一応頭の上を見ても天使の輪は無い、よかった、死んだわけではないらしい。殺されてたらシェンロンうらんだわ。
 並んでいる人魂に並びながらゆっくりと進んでゆく。ささっと言っても良いけど俺は明らかに不法侵入したような感じだ。順番を待ってから話しかけたほうが良いだろう。
 並ぶ事おおよそ一時間ほど、何とか閻魔のまえまでこれた。

 「次!」

 閻魔の巨体から声が響き渡る。俺はそれに従い前に出る。

 「すいませーん!!」
 「んん?何で生きてる奴がここにいる?」
 
 俺の大声に反応して閻魔が俺を見るが怪訝そうな顔をされる。

 「界王様の修行を受けに来たんですけど……」
 「か、界王さまのか!?」
 「だめでしょうか?」
 「受けるのはいいが……ふむ、だが蛇の道という長い道を通らんと修行は受けられない事になっている」
 「でしたらそれを通らせてくれませんか?」
 
 その後、「死ぬかもしれない」とか「危険だ」などと言って来る閻魔を何とか説得をして、蛇の道に案内してもらった。
 眼前に広がるのは長く先が全く見えない蛇の道。雲の上に走るその広大さはとんでもない。
 
 「これは一日で帰れるかな……」

 とにかくスタートしないと始まらない。瞬間移動は生物がいないとその場にはこれない。つまりこの蛇の道、セーブとコンティニューが無い。その点で言えばかなり大変だ。そして俺は全速で持って飛んでいく。

 
 あとがき

 少しばかりものごとに集中しすぎてセロリのことを忘れているナスビ君。宇宙であれば二人っきりでしたが、この星ではそうではない。浮気と思うこともあるのかなと書いてみました。
 今日に限って帰りが遅いナスビ。ええ修羅場フラグですねw
 

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