小説『ドラゴンボールN』
作者:プータ()

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 第二十九話 恐怖(笑)の戦士達

 俺達は宮殿の建っているオアシスの中心にある丸い闘技場に案内された。
 
 「お前達にはここで戦士と格闘してもらう。勝てばそのまま次の戦士と戦い、負ければ次の選手に交代。要は勝てばいいのじゃ、勝てば」
 「なるほど」

 とっても簡単でわかりやすい方法だ。
 そうだ!弟子の戦いを見るのも師匠の務め。亀じい連れてこよう。俺は瞬間移動でカメハウスへと向かった。

 side三人称

 「き、きえた!」
 
 占いばばが驚く。目の前にいた一番年齢の高そうな青年。ナスビがいきなり消えるのだからそれも当然だろう。だが占いばばが他の仲間を見渡してみれば、一番幼い少年、ウパを除けば誰も驚いていない。ウパ以外は一度は見ているのだからだろう。
 そして数秒後にはまた同じ場所に現れるナスビ。なぜか占いばばの弟である亀仙人も一緒だ。
 その後、亀仙人が占いばばの弟であることがわかり皆で驚いたりもした。

 「アンタいったい何者だい?」
 「「「「宇宙人」」」」
 「ほげ!?」
 
 占いばばはナスビの瞬間移動を見て何者であるのかが気になり質問するが、思わぬ皆の回答に乗っていた水晶球から転がり落ちたのだった。

 「ほほ姉ちゃんもそそっかしいのう」
 
 その後、ついに占いをかけた戦いが始まる。
 
 「クリリン!がんばんなさいよ!」
 
 ちなみにブルマもナスビが連れてきた。ナスビのややおぼろげな原作知識によって占いばばのところでは亀じいと一緒にブルマがいたのを思い出したのだ。
 最初の戦いはクリリンVSドラキュラマン。
 ドラキュラマンはこうもり姿に変身できるので空を自由に飛び回りながらクリリンの攻撃を避ける。そして一瞬の隙をつかれたクリリンはドラキュラマンに血を吸われてギブアップ。
 クリリンは自分が天下一武道会で良い成績を残したのが頭にあり慢心していた。アホやこいつ、今後慢心が無いようにしつけてやろうかとナスビは本気で思った。亀仙人も呆れ顔だ。
 そして次はヤムチャ。ヤムチャはクリリンとの戦いを見ていたおかげで眼がスピードになれたのもあり、ドラキュラマンが突撃してきた時にカウンターが成功。闘技場の周りのオアシスに叩き落し勝利。
 ヤムチャとクリリンではクリリンの方が現在強いが、手の動きなら狼牙風風拳で鍛えているヤチャのほうが早い。これが勝因となった。
 続く二人目の戦士は透明人間のすけさんだ。
 これが全く見えない無色透明の人間のためヤムチャではかなり勝つのが難しい。亀仙人やナスビであれば気を探り簡単に見つけることも可能であるが、今だ気功波の類をうてもしない(もしくはうった事の無い)ヤムチャでは気を探る事は無理だ。
 だがここでクリリンの妙案が出る。亀仙人にブルマの乳房を見せて鼻血を噴出させ、その血がかかった透明人間を可視化できるようにしたのだ。これにより辛くもヤムチャは勝利した。ちゃっかりナスビもしっかり見ていたのはご愛嬌。ちなみにナスビはこの鼻血シーンを思い出してブルマを連れてきたのだ。恐るべき記憶力(エロス)である。

 「ほっほっほっ、この二人を倒せたのはお前さんらが久しぶりだわい」
 
 二人の戦士が倒されたのに飄々としている占いばば。それは自分の戦士達の先方二人が倒された程度では後の三人は倒せないという心情の現われだろう。 

 「これからの戦いは室内の方のほうがよかろう。ついてこい」

 占いおばばの誘導に従い、先ほどいた宮殿の闘技場をはさんで逆の宮殿に入っていくナスビ達。
 そして選手のヤムチャが通されたところと観戦者が通された部屋は違った。
 ヤムチャが通されたのは通称『悪魔の便所』といわれる部屋で二体の悪魔像から舌が伸び、対戦者二人はその狭い舌の上で戦うという場所だ。舌から落ちた場合は下にある溶毒池によって骨まで溶かされる。
 観戦者はその部屋をガラス越しに見られる観戦室だ。
 三人目の戦士は戦う干物ミイラ君。
 巨体にいあわぬ素早さでヤムチャを翻弄し、力も強い。しかも自身のミイラに使われている包帯でもって縛ってきたり等の技も豊富だ。結果として下の溶毒池に落とされそうなところをギブアップしヤムチャの負けとなった。
 
 「次は俺が出ていいか?」
 「ナスビさんが?」

 ナスビの発言にブルマが大丈夫なのかと思い聞く。
 ブルマは悟空と一緒にレッドリボン軍を潰したナスビを弱いとは思っていない。だがナスビの戦いを一度たりとも見たことが無いのだ。天下一武道会の時はタキシード仮面の変装によりナスビだとは知らない。空を飛んだりしているので只者ではないのがわかる程度だ。それゆえにナスビがどの程度の強さを持っているのかがわからない。そんな人物がヤムチャを余裕で叩きのめした奴と戦うのだから気になったのだ。それにまがりなりにも実家のカプセルコーポレーションの取引相手だ。もし溶毒池に落ちて死んだりしたらどうしようもない。
 
 「悟空、俺でいいか?」
 「ナスビが出たら終わっちまうんじゃねえか?オラ戦いたいぞ!」
 
 ナスビが自分より強いと知っているからこその悟空の発言だ。ブルマとヤムチャ、プーアルは怪訝な顔になった。天下一武道会寸前での悟空、クリリンはナスビの指一本に二人がかりでかなわなかった。そういった強さを知らないがゆえブルマ、ヤムチャ、プーアルは怪訝な顔になったのだ。実際はそれでも抑えている状態だが。

 「最後の一人が一番強いんだろ?だから最後を譲るよ。それじゃだめか?」
 「うーん、じゃあ最後はオラにくれよ」
 「あいよ」

 そう言って悪魔の便所に向かうナスビ。そしてそれを見送る悟空達。
 この「最後を譲る」発言には深い意味は無い。ナスビはあまりこの辺りの事を覚えていないのだ。なんとく最後の奴は悟空が戦わないといけないという事を覚えているのみだ。
 
 「ナスビさんって強いの?」
 
 そうブルマがヤムチャに聞く。

 「俺もわからないな。クリリンや悟空は強いといっていたが……」
 「なに、心配する必要なかろう。ナスビはワシより強い」
 「えっ!?武天老師様より!?」
 「ほう……」

 ヤムチャの疑問に答えるのは武天老師。ヤムチャは武天老師をかなり尊敬している。武術の神とまでいわれているのを知っているからだろう。そこまでの方が完全に格上だと判断した人物だというか!?とヤムチャはナスビの強さに対する認識を上方修正した。
 占いばばは自身の弟、たとえエロでも世界で一番強い人間だと(占いおばばは)思っている弟が自身よりも強いと評するナスビに興味を抱いた。それは占いばばの趣味ゆえだ。占いばばは強者同士の戦いを見るのが趣味だ。それゆえ自身の占いを報酬として強者同士を戦わせて楽しんでいる。だがらこそナスビが気になった。

 「おっ始まるみたいだぞ」

 悟空の声により皆がガラス越しに悪魔の便所を見る。そこには堂々と立っているミイラ君の前に立つナスビ。それを見る観客達の眼はそれぞれによって全く違う。
 悟空や貧血気味なクリリンは勝つのを疑っていない眼をしているし、実力を知らないものたちは心なしか心配げだ。亀仙人は自分より格上のものの戦いを見逃すものかと真剣だ。占いばばは自身の弟である武天老師が格上と自身で言ったものだから期待の目を向けている。
 

 「それでは、はじめぇ!」

 占いばばのややしわがれた声が響き渡る。そして戦いが始まる。
 
  
 あとがき
 
 ついにストックが切れてしまいました。これからはもしかしたら更新が遅くなる可能性があります。
 とはいえドラゴンボールは完結している作品なのでさほど遅くなるわけでもないんですが。
 そういえば来年ドラゴンボールの新劇場映画がやるらしいですね。今から楽しみです。

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