小説『ドラゴンボールN』
作者:プータ()

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 第三十話 アックマン最強説ってあったよね

 side三人称

 「はじめぇ!」
 
 占いばばの声が響き渡る。その声に反応してミイラ君は動くがナスビは動こうとはしなかった。構えも無く隙だらけにみえる。実際には全く持って隙など無いほどの自然体なのだがミイラ君は差がありすぎて感知できない。
 ミイラ君は自身の身体に巻きついている包帯を伸ばし、ナスビに巻きつかせる。包帯はしっかりとナスビに巻きつき締め付ける。

 「ぬう、まずい!あの包帯は何千年単位にもミイラを保存して置けるように鋼のように強靭な布でできておる!」
 「そんなのに巻きつかれちゃってるんじゃもうおわっちゃったじゃいないのよ!」

 ブルマがそう思うのも無理はない。亀仙人によればミイラ君の包帯は何千年単位にも保てるように鋼よりも強靭に作られているような代物だ。それがしっかりと二重三重ナスビに巻きついているのだから普通はそこで終了だろう。

 「意外とあっけなかったのう。亀仙人ももうろくしたんじゃないかのう?」

 占いばばが期待はずれだといわんばかりにがっかりし、亀仙人の観察眼を疑う。
 悪魔の像の舌の上ではしっかりと包帯に巻かれたナスビをミイラ君はあざ笑っていた。

 「こんな奴じゃ目覚めの運動にもならないぜ?早すぎて見えなかったのか?ははははは!!」
 「避ける必要性が無いんだよ馬鹿」
 「何だと?」

 他から見れば絶体絶命の状態に見えるナスビ。だがナスビからしてみればそうでもない。それに今のナスビは超サイヤ人第四形態のために普段から超サイヤ人に変身している。それゆえに、力を込めるまでも無く……。

 「な、なに!!俺の包帯が!」
 「あの包帯って鋼より丈夫なのよね?」
 「……そのはずなんじゃがの?」

 なんら動くのに支障なく破れる包帯。破れる様は普通の包帯にしか見えない。ミイラ君はそれを見てあいた口がふさがらない。
 ブルマと亀仙人もその光景に驚きを隠せない。

 「じゃあ次は俺が行こうか。お前ならでこピンで十分だしな」
 「でこピンだと!?舐めるなよ!」

 ナスビは自分の強さをわざと見せつけている。理由としては悟空達若い武道家に発破をかけるため、そしてあまりに強すぎる武道家は占いを無料で受ける事ができるためだ。原作において悟空も大人になったときにそういったことがあったのをナスビは覚えていたのだ。それならば今回一回見せるだけでおわるならと今回は大判振る舞いするナスビ。

 「いかん!ミイラのスピードもパワーも桁違いなんだぞ!?」
 
 ヤムチャが自身のやられた経験によりナスビの相手を舐めた行動に危機を覚える。
 ナスビはゆっくりと進む。それを黙ってみているわけも無いミイラ君はすぐさま近づき拳の乱撃を打ち付ける。金的以外を満遍なく打っていくがナスビは全く効いている様子は無い。

 「あんなに殴られたらまずいんじゃないの!?」
 「でもナスビの奴効いてねえぞ!」
 「お、おそろしい頑強さだな」

 ブルマが殴られるナスビを見て叫ぶが悟空は効いている様子ではないのを見抜く。そしてヤムチャはナスビの強靭すぎる肉体に脱帽している。
 殴られながらもナスビの手はゆっくりとミイラ君のおでこへと向かっていく、そしてでこピンの構えを手がとり、それを解き放った瞬間ミイラ君の姿がその場から消え、その背後の像の頭を叩き割り壁へと突き刺さっていた。
 ミイラ君は全く動く様子も無く白目をむいている。

 「で、でこピンで人が石に突き刺さった……?」

 クリリンは顎が外れそうなほど口を開いてその光景を見ている。

 「俺の勝ちでいいんだよな?」

 ナスビが確認の言葉を占いばばに投げる。占いばばは浮世離れした光景を見たせいか一瞬意識が飛んでいたのを取り戻す。

 「う、うむ」
 「じゃあ次頼むわ」

 勝利の宣言が出た野を聞いた観客たちは喜んでいるが、とんでもない光景を見たせいで固まっているものもいる。ウパや悟空はただ喜んでいるが。
 
 「た、確かにおぬしが強いのはわかった。だが次の選手はこう簡単にはいかんぞ」

 占いばばはどうにか余裕の表情を取り戻し次の選手を呼ぼうとする。恐らく次の選手なら勝てる可能性があると思っての言葉だろう。
  
 「次の選手じゃ!アックマン!出番じゃ!」
 「(アックマンか……アクマイト光線は当たったらやばそうだし瞬殺決定)」

 占いおばばの声によって出てくるのは全身真っ黒のタイツを着たような格好だが間違いなく地肌の男性。頭には角が生え、背中には翼が生えている。
 ナスビは心の中で瞬殺宣言をした。

 「なに?!もうアックマンを出すのか?」

 亀仙人はアックマンの名を聞いて驚いている。今まで五人目の戦士を勤めていた戦士であり、四人目で出てくるのは異例の事であるらしい。それゆえ五人目はとても強いのではないかと亀仙人は思ったのだ。

 「よし、はじめぇ!!」

 占いばばの声と同時にアックマン空へと飛び上がり翼で持って空を飛ぶ。

 「飛べるなんてずるい!と思ったけどナスビさんも飛べるわね」

 ブルマはそれを見て非難しようとするが必要のない事を思い出す。

 「貴様を俺様の故郷へ連れてってやろうぼあぁ!!!」

 アックマンは声を発している最中に武空術でとんだナスビの拳が腹へと刺さり一発で意識を失った。身体から力が抜け白目をむいてナスビに身体をあずけている。

 「み、みえなかった!すげーー!オラ強くなったと思ってたけどナスビには全然かなわねえや!」

 悟空はナスビのスピードを目で見切れずに喜んでいる。その光景を見たナスビは悟空ってすごいドエムなんじゃなかろうかと心配した。
 
 「む、武天老師様は今の見えましたか?」
 「いや、わしでも全く見えんかったよ」
 「武天老師様より強いって本当だったんですね」

 クリリンは自信の師匠に見えたかとたずねるが答えは否。その回答を聞いたヤムチャは武天老師より強いというのは半信半疑だったのを実際にナスビの実力を見て信じたようだ。

 「最初から本気を出すなんて物の機微がわからん奴じゃのう」

 占いばばはアックマンを抱えたままのナスビに言う。ようは私を楽しませないで終わらせおってという皮肉だ。

 「本気?俺の本気はこんなもんじゃないぞ?本気ならアックマンはひとかけらも残ってねえって。今だってもう少しで内臓破裂しそうなのを必死で手加減したんだし」
 「な、なんじゃと?冗談じゃろう?」

 ナスビの本心からの言葉だが占いばばは信じない。

 「うーん、あ!そうだ俺界王様に修行つけてもらってるから強いって言ったら信じる?」
 「か、界王じゃと?!おぬし界王を知ってるのか?それに修行じゃと?死人しかいけぬはずなのに法螺をふくではない」
 「法螺じゃないって、それにさっき見せたろう?瞬間移動で界王星にはいつでもいけるんだ」
 「うーむ、じゃがその強さ、確かに界王であれば……」

 占いばばは死人を一日だけ現世に連れてくる事ができる。そのさい、あの世にも行く事があるので界王の存在を知っている。それゆえナスビが強いのは界王の修行によるものだというのであれば信じる可能性は高いとナスビは考えた。

 「しかしそれが本当だとすると五人目と戦っても結果が見えておるのう……」
 「ああ、それについては問題ないよ。最後の奴は悟空に任せるから」
 「あの小僧にか?」
 「そう。なかなかいい戦いすると思うぜ?(それにアックマンが印象に残りすぎてて五人目は悟空に関係する人、ぐらいしか覚えてないんだよね)」

 そうしてナスビは悟空にバトンタッチをした。
 界王などのことを亀仙人たちに聞かれたナスビは「神様より偉い人」と教えた。


 あとがき
 占いばばはあの世の存在を認知していますしこういえば強さの証明にはなるでしょう。
 孫悟飯の話は感動しますが二十年(適当な年数です。本編には関係ないです)たって覚えてるかどうかでしょう。アックマンはネタとして覚えているかもしれませんがw
 

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