第三十一話 そして悟空は旅立った
sideナスビ
「うわ〜ん!じいちゃん!」
そう言って孫悟飯爺ちゃんに抱きついていく悟空。めったに泣かない悟空がボロボロと涙を流している様を見るブルマの涙腺はかなりゆるくなっている。俺もちょっとほろりと来たのは内緒。
五人目の戦士は一日だけ占いばばにより現世に来た孫悟飯だったらしい。今思いかえしてみればそんな事が原作でもあったと思うが、こうして実際に見てやっと思い出せる程度だ。やはり覚えていないことも結構あるなと思う。危うく悟空と悟飯爺さんの感動の再会フラグをぶっ壊してしまうところだった。そうなっていたら悟空には申し訳ない。
悟空は赤ん坊の頃に悟飯爺さんに拾ってもらってから、実の親同然に育ててもらい、そして小さい頃に死に分かれたのだ。それゆえこの再会は悟空にとってはいい思いでだろう。
それに悟空の中でのじいちゃんはかなり強かったみたいだった。そして今回悟空は見事五人目の戦士として現れた孫悟飯を倒し、見事勝利した。つまり悟空の中ではじいちゃんを超える事ができたということだ。それに悟飯じいちゃんによってしっかりと尻尾を苛め抜かれ尻尾の強化フラグもたった。尻尾が千切れてしまったが、じいちゃんの遺言のようなものだから次に生えてきた時はしっかりと尻尾を特訓するだろう。
そうしているうちに悟飯じいちゃんはふっと消えてあの世へと帰っていった。
「じゃあなじいちゃん!オラが死んだらまた会おうな!」
そういって涙をぬぐって笑う悟空はとても輝いていて、サイヤ人として汚れた俺が少し悲しくなった。ああ、セロリに癒されたい。
色々とごちゃごちゃした事が終わり、ついに最後のドラゴンボールの場所を占ってもらう事になった。
占いばばが自身の乗っている浮く水晶になにやら怪しい呪文を唱える。すると水晶にはピンク色の車が走っているのが見える。悪趣味な車だな。
車はこの占いばばの宮殿に向かってきているらしい。だが場所はここから二百キロは離れているとの事だ。それを聞いた悟空はさっさとキントウンに乗り行ってしまった。待ってる間は暇だ。
「あの、ナスビさん」
「クリリンか。何?」
「ナスビさんてどんな修行してるんですか?」
「修行か」
暇な時に丁度言いと思ったのか俺の強さの秘密が知りたいのかクリリンが俺にどんな修行をしているのかきいてくる。どうやら他の奴らもこの話題は気になるのかこちらを見てくる
「まあ、俺の修行の基本は重力修行なんだよな」
「重力ですか?」
「ああ、大体重力100倍は基本だな」
「ひゃ、百倍!?」
クリリンはいまいちすごさがわからなかったらしいがどうやら頭のいいブルマは重力百倍がどんなものかわかったらしい。悲鳴を上げて眼を飛び出さんばかりに見開いている。
「百倍ってそんなにすごいんですか?」
「馬鹿ね!自分の体重の百倍の重さが全身にかかるのよ!?50キロの体重でもその百倍!五トンよ!五トン!化け物じゃない!普通の人だったらぺしゃんこよ!」
「まあそういうこった。やろうと思えば四百倍までいけるけど、最近会社が忙しくてなそこまでしっかりはしていない」
最初は重力をあげていけば俺って最強、なんて考えてたんだがあんまり戦闘力が伸びない。とはいえ長く続けていれば上がるんだろうが最近は会社も忙しいし、組み手相手のセロリも妊娠中だ。戦闘力の方も1200万程度。ブロリーとの戦い以来、大きな戦いも無く死にかけもしない。三年で150万ほども上げることができたのは十分な成果だろう。重力装置の400倍は超サイヤ人にならないと無理だけど。
セロリの方は俺よりも上げることができ900万ほどだ。サイヤ人の壁は突破できてると思うんだけどな。なぜか超化できない。
まあ後半のトンでもインフレには全く追いつけていないんですけどね。目指せ10億の壁w
「五トンとまた……」
「に、人間じゃないわい」
ヤムチャも遠い眼をしながら呟き、亀じいは驚きを通り越してあきれている。
「サイヤ人の故郷の惑星ベジータは地球の十倍の重力がある。つまりは生まれた時から亀仙人の修行の何倍もの重さを背負って生活している事になるだろう?つまりは環境が違いすぎるんだよ。苛酷な環境で生きればそりゃ強くもなる」
「なるほどのう」
亀じいは俺の説明によりそのすごさがわかったらしい。亀仙流は精々が60キロの重さ。その数倍を生まれてからずっと続けているようなもの。自信の特訓の影響を良く知っている亀仙人であればすぐにわかる。
「あの!もし俺がナスビさんの修行をしたら強くなれますか?」
ふと、悟空に大きく突き放されているヤムチャが俺に聞いてくる。恐らく悟空との実力差に焦りを覚えているのだろう。
「強くなれるだろうけど、今は無理だな」
「ど、どうしてですか!?」
「今のお前の強さじゃ俺の修行にはついてこれん。俺も修行中のみだしな。こういっちゃ何だがまずは亀仙流の修行を終えてからだな。比べるようで亀じいには申し訳ないが」
亀じいの修行を下に見るようで悪いが事実だ。
「かまわんよ。ナスビの強さの秘密がわかったわい。それに比べたらわしの修行なんぞ遊びのようなものじゃ」
「でしたら、俺に武天老師様の教えを!」
「嫌じゃ」
「どうして!?」
亀じいは俺の修行との差を認めてくれたが、俺がもう少し言葉を選ぶべきだったか。なんかひどいこと言った気分。後にこのことを亀じいに伝えたら「武術とは努力の積み重ねじゃ。ワシとナスビの努力(修行)の量の違いじゃて、気にする事でない」といわれた。流石に仙人だけの事はある言葉の重みだった。
ヤムチャは俺の修行についてこれないとしるや亀じいへと修行を申し込んでいた。断られながらもブルマをえさに亀じいに弟子入りする事に成功するヤムチャ。亀じいェ……。
そうこうしているうちに悟空が最後のドラゴンボールを持って帰ってきた。
「オラ今からウパの父ちゃんを生き返らせてくる!行くぞウパ!」
「ちょっと待て悟空!」
「何だナスビ?」
俺はすぐにでも行ってしまいそうな悟空を止める。
「いやなに、急いでるなら俺が連れてってやるよ。カリン塔の下だろう?なら俺の瞬間移動で一瞬だ」
「おう!じゃあ頼む!あっ!ウパの父ちゃん生き返らせたらすぐに帰ってくるから皆待っててくれよな!」
そうして俺はウパと悟空を抱えてカリン塔の近くへと行く。そしてそのままウパの父の墓へといく。
ドラゴンボールの願いにより生き返るウパの父。そしてドラゴンボールがはじけ飛ぶ時に悟空は悟飯爺さんの形見である四星球をキャッチする。ついでに俺も適当に一つキャッチしておいた。俺が持っておけば悪人には早々渡るまい。
毎回こうやっておけばドラゴンボールを必要とする馬鹿達(劇場版キャラふくむ)は俺というバグキャラを倒さないといけないわけだ。
「あれ?ナスビもドラゴンボールとったんか?」
「ああ、俺が一つ持っておけば悪人に使わせる事も無いだろう?」
「それもそっか!」
そうしてウパ家族の感謝の言葉もよそに俺たちは宮殿へと帰っていく。
そして返ってきた悟空にヤムチャは一緒に修行ができることを伝える。
「修行はいいけどスケベは移されないでよね!」
ブルマが亀じいのエロを移されないように窘める。だがその望みは最悪の形で覆されるのだよ。
皆で修行ができることに喜ぶ悟空。だが亀じいは問う。ワシより強くなりたいのであれば自信で鍛えなければならない。だから世界を回って旅をし、色々な事を学べと。その問いに悟空は面白そうだなと答える。
「でもオラ、ナスビより強くなりてえ!でも修行の仕方がわからねえ。だからナスビに修行つけて貰いてえんだけど!」
「ここでそう来るか……」
いやまあ、予想はしていた。俺とはかなりの差があるし多少修行した程度じゃ全くだめだ。それならいっそ俺に教わったらいいと思える悟空は本当に素直なんだろう。まあぶっちゃけ悟空なら別にいい。暇な時は警備員やらせてもいいし、どっかの建設関係の企業に人手としてレンタルすればかなりいいお値段になるだろうから食費も軽減されるだろう。
「まあ、修行しても言いけど」
「ほんとか!?」
「ただし、悟空は世間をしらなすぎる。だから旅をするって言うのは賛成だ。だから二年は世界を回れ。その間キントウンは使っちゃだめ。歩いて走って泳げ!ついでにこれもやる」
そう言って俺はホイホイカプセルからいつか子供にやろうとして作っておいた錘入りの服と靴(セロリには気が早いと怒られた)、そしてリストバンドをわたす。まあぶっちゃけ神様グッズの先渡しだ。他の予備の服も渡しておく。こいつなら二年同じ服とかやりかねない。
「これをつけて旅をすればかなり強くなるだろう?」
「うわ!すげえ重え!」
「まあ合計で80キロぐらいだ。これつけて二年生活すればかなり身体が軽くなるだろう。これができたら修行つけてやる。やるか?」
「やる!んじゃ、オラ行って来る!」
予想はしていたが即答だった。さっさと走っていった悟空を見送る皆も「アイツ軽いなぁ」とか「あいつつらいと思ったことあるのかな?」などと口々に言っていた、
そうして悟空は二年旅をさせることにした。二年たったら俺が瞬間移動で迎えに行ってやる事になっている。それまではお別れだ。
ちなみに一連の会話を見ていた皆の反応。
「ハードだなぁ」
「鬼だわ……」
「修行の件、断られて良かったかもしれん」
「悟空さんがんばって」
「ワシでも錘まではつけさせん」
クリリン、ブルマ、ヤムチャ、プーアル、亀じいの順番だ。
そして皆とは別れ。俺は会社へと戻るのだった。
あとがき
悟空の修行してくれコールが夢に出てきましたwそれに悟空なら修行つけてもらいたがるでしょう。丁度コメントでもありましたし。
だが二年後にはナスビベイビーもいます。セロリに子育てができるか疑問です……。ナスビの過労死がみえるw