小説『ドラゴンボールN』
作者:プータ()

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 第三十九話 

 sideナスビ

 武道会の翌日、今日も俺は朝のトレーニングメニューの重力二百倍に錘を多少つけてのシャドーをする。地球に来てからは朝の訓練だけは絶対にする事にしている。
 地球に来て平穏な暮らしができるのはいいが一つ問題がある。それはトレーニング時間の減少だ。将来の悟空やベジータと違い俺は仕事をしている。そのためあいつらと違いトレーニング量に違いがありすぎるのだ。まあ俺は地球警備員になるつもりは無いのでそこは仕方が無い。前世日本人の悲しい性とでも言えばいいのか。
 それでも今の戦闘力は1300万ほどはある。三年前から多少の伸びはあるがバイオレット秘書のせいで忙しくなった仕事量でトレーニング時間が減ったのだ。それにくわえてスピナーの相手もあるのでやはり伸びはよくない。
 セロリも同じ程度で1000万前後といったところだ。

 「ん?天下一武道会の出場者名簿の盗難?」

 俺は新聞に目を向けると片隅に乗っているある記事が目に入る、なんでも会場へと強盗が入って出場者名簿を盗んでいったということらしい。なんとなく引っかかるものがあるが思いだせないな。
 まあ仕事の時間だし出勤だ。悟空の修行も今日はお休み。昨日が大会のせいで疲れてるだろうし。
 そうして俺は会社へと向かっていった。

 side三人称

 大会翌日の夕方。日も暮れているころ。
 カメハウスでには亀仙人とクリリンがいた。この二人も今日は修行は休みだ。ヤムチャは片足を骨折しているので西の都のブルマの家にいる。
 
 「それにしてもあのタキシード仮面って人すごい強さでしたね?あの人って何者なんでしょうか?武天老師様は知ってますか?」
 「え?い、いや、わしも知らん。だが世間にはワシ等が知らない達人というのもいるからのう」

 ややあせりながら言う亀仙人。それを見たクリリンは怪しむ。

 「……なんか怪しいなあ?」
 「し、師匠を疑うのか?」

 やや不穏な空気が流れる。

 「……おお!そうじゃった、そろそろ夕方のニュースの時間じゃ」
 「露骨に話をそらしましたね」

 クリリンがジト目になりながら言うが亀仙人はテレビに映ったニュース番組から目を離そうとしない。食い入るようにテレビを見つめている。

 「どうしたんですか?」

 クリリンもその様子が気になり亀仙人の横からテレビを覗き込んでみてみる。

 『世界各地で名のある武道家が殺されるという事件がおこっています。確認されているだけでも八件の事件が起こっており、犯人は今だ特定に至っておりません。被害者は以下のとうりです……』

 ニュースキャスターの声に合わせて画面に映し出されるのは殺害された被害者の武道家達。名前を見れば、パンプット、ギラン、チャパ王などとどこかで見たような者達が並んでいる。その中の一つにはクリリン達も良く知っている人物が載っている。

 「そ、そんな!なにかの間違いですよねこれ!?」
 「……むう」

 一番最後に殺された武道家の名前はヤムチャと書いてあった。

 そのころ、ナスビも会社にてニュースを見て驚いていた。
 
 『なお、殺された被害者のそばには白い紙に魔と書かれた者が置いてあり、犯人からの何らかのメッセージとして……』

 ナスビはこのニュースを見て思い出した。

 「そういやピッコロ大魔王がそろそろ来るんだったよな。忘れてたわ」
 「ピッコロ?」

 そばには秘書のバイオレットがいる。謎の言葉を発した社長のナスビを不審気に見ている。それを見たナスビは何でもないよと手を振って答える。
 
 「(なんか忘れてると思ったんだよな……まあ俺がドラゴンボールを持ってる限りシェンロンは呼び出せないんだけどさ)」

 そう思ったナスビは自分のデスクの引き出しから一つの球を取り出す。オレンジ色のガラス球のように見えるそれには星が一つ見える。一星球だ。

 「しゃ、社長、何でドラゴンボール持ってるんですか?」

 バイオレットが食いついてくる。これの本当の力を知っているがゆえんだ。

 「なに、そろそろこれを狙って馬鹿な悪人が来るかなと思ってね」
 「……また被害者が出るんですね」

 やや物憂げな表情でバイオレットは呟く。ナスビは悪人っぽく口が笑っているのに気がついていない。バイオレットはそれを見て呟いたのだ。自分の過去と重ねているのだろう。

 「(でもどうすっかな?ピッコロは殺せないしなぁ)」

 悩むナスビだった。ついでにヤムチャの死は全く悲しんでいない。これが悟空やクリリンだとまた別だがヤムチャは接点が少ないのだ。
それに全てが終わればドラゴンボールがあるのだから。そうナスビは思ったのだった。


 そのころ、ピッコロ大魔王のいる船では、人間六人魔族三人がいた。魔族の三人はピッコロ大魔王本人とタンバリンとわれる翼生えた魔族、そして下っ端一匹。人間のほうはピラフと手下の二人。そして鶴仙人とその弟子二人。
 人間六人はピッコロ大魔王にかしずいている。

 「貴様らはドラゴンボールの捜索だ」

 ピッコロ大魔王のしわがれた声。だが目の目前の人間達からすれば腹に響くような音に聞こえる。
 この光景を見ればナスビは驚くだろう。あきらかに鶴仙人たちは手下に成り下がっているのだがら。
 鶴仙人は確かにピッコロ大魔王を見つけたときに恐怖した。だがそれと同時に絶対的な力にあこがれてしまったのだ。自身の師匠、武泰斗でも全くかなわず、命の代わりに封印した存在。鶴仙人が悪の道をひた走り始めたきっかけとなった存在。それを見た瞬間、鶴仙人は心が跪いてしまった。そして今、手下として働いている。

 「わかりました。では行ってまいりますピッコロ大魔王様。いくぞ天津飯、チャオズ!」
 
 そう言った鶴仙人に従い船から飛び降りていく天津飯とチャオズ。彼らはピッコロ大魔王の手足となり働き始めた。

 あとがき

 翌日の話ですね、ヤムチャは犠牲になったのだwヤムチャは足折れてる状態ではタンバリンには絶対勝てませんし。
 タンバリンはなるべく弱い順に倒していってると私は思っています。最初にクリリンや悟空と戦ったのは事故ですしね。
 ナスビが持っていたドラゴンボールが一星球なのは前から決まってました。これの意味するところはわかる方にはわかっていただけるかと。
 鶴仙人は漫画では出てないんですがアニメだとピッコロ大魔王の影響で悪の道に入ったとありました。今回はその設定を利用してます。もし悪の道に入ったきっかけが目の前にいたら鶴仙人は世界は終わりだと思うでしょう。ならいっそ手下に……という結論になりました。
 
 

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