小説『ドラゴンボールN』
作者:プータ()

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 第四十二話 ピッコロ、大地に立つ

 sideナスビ

 鶴亀戦争が終わり。戦いが終焉した。
 戦い終わった後チャオズは失神、鶴仙人は横たわり、天津飯は膝を地面につけている。皆死んでいない。
 さてこれからどうしよう。そう考えて戦い終わった皆のところへと近づいていく。

 「亀じい、こいつらどうするって……めちゃめちゃ疲れてんな」
 「そりゃ、そうじゃ、わい。これでも、じじいじゃぞ」

 いきが上がり途切れ途切れの言葉を吐く亀じい。かなり疲労した様子だ。
 鶴仙流の面々じゃ警察に突き出してもなぁ。どうせこいつらじゃ簡単に脱獄してきそうだしなあ。

 「ふっワシらを倒したところでどうにもならん……どうせ皆ピッコロ大魔王に殺されるのだからな」

 いつの間にか目を覚ましていたのか、鶴仙人が倒れながら言う。

 「亀仙人だってわかっているだろうに……ピッコロ大魔王には誰にも勝てん」

 何もかもを諦めたかのような目でいう鶴仙人。自分が圧倒的に勝てないからって決め付けるなんて……まあ仕方ないか。地球人の平均戦闘力5だしな。

 「別にピッコロなんて雑魚はどうでもいいから」
 「誰だ貴様は?……ピッコロ大魔王の恐ろしさを知らんからそんな事がいえるんだ。あれを見たら……」

 俺の言葉に鶴仙人は反応する。まあ俺が誰かなんてわからないよな。この格好じゃ名乗ってないし。

 「ねえ!ちょっと待って!こっちにドラゴンボールが向かってきてる!」
 
 ブルマがドラゴンレーダーを見て騒ぎ出す。横から覗き込んでみれば確かにこっちにドラゴンボールが二つほど向かってきている。というか今いる場所にも三つあるな。一つは悟空、もう一つは俺、もう一つは鶴仙人たちだろうか?

 「ピッコロ大魔王様が来たんだ」

 そう言ったのは天津飯。満身創痍だがこちらをにらんでくる力はかなりある。

 「天津飯か。おまえはどうしてピッコロの手下に?」

 これが気になったので聞いて置かなければ。

 「俺は……俺は殺し屋として武道を習った。だったらピッコロの下で働くのもいいと思った。それにピッコロには俺は勝てん。それだけだ」

 一瞬何か言いよどんだが、しっかりとした言葉を放った天津飯。なんともいえないな。しかもピッコロに対して敗北宣言まで……多分タキシード仮面にでこピンでやられたせいで自分の強さに対する自信までも失ったんだろう。

 「だったらまともに生きるって選択肢は?」
 「ない。もう、それには遅すぎた……」

 そう言って腰につけた袋からドラゴンボールを出す天津飯。

 「俺はこれを手に入れるときに……人を殺めた……赤子も、大人も女も関係なくな……」
 「そうじゃ、もうすでに天津飯は鶴仙流にそまっとる。いまさら光の道を歩くなどはできん」
 「そうか……」

 天津飯の言葉に鶴仙人が続く。どうやらドラゴンボールを探している時に人から奪い取ったらしいな。しかも赤ん坊までも……。
 天津飯も師についていってそのまま流されてしまったんだろう。師の言う事を鵜呑みにしている節があるからな。だがこれで無罪とは行かなくなったな。ドラゴンボールで生き返らせたら被害者は絶対に糾弾するだろうし。
 
 「じゃあ!ヤムチャ殺したのもおめえらか!?」

 悟空が怒り顔でそういう。俺は鶴仙人たちがピッコロの手下になっていたインパクトが強すぎて忘れてたよ。

 「いや、それは俺達じゃない。俺達はドラゴンボールを集めるように言われている。今俺が持っているので三つ目だ。ヤムチャを殺したのは恐らくタンバリンと言う魔族だ。そいつが武道家を殺すように命令されていた」
 「こら!天津飯余計な事をしゃべるでない!」

 ぺらぺらとしゃべってくれる天津飯。それを止める鶴仙人。おそらく天津飯のことだ、自分が悪人である事を理解しているだろう。それゆえに負けたら情報をはくのは当たり前だと言うことだろう。生真面目すぎるなこいつ……師が悪い。
 俺は皆がなにやら話しているのをよそに気を探る。ドラゴンレーダーで指し示された二つの反応。おそらく天津飯たちが集めたのをピッコロ大魔王が持っているものだろう。その反応の方向を探り出せば確かにいる。何個か小さい気も一緒だ。だが先行してこっちにやってくる奴もいるな。

 「何か飛んできたぞ?」

 俺がそういうと俺の視線の方向へと皆が目を向ける。
 視線の先にいるのは緑色の肌をし翼を生やした人型の生物。それがだんだんとこちらに近づき降りてくる。

 「へっこんなところに獲物がいるじゃねえか。しかもお前ら大魔王様に協力してる人間じゃねえか……その様子だと負けたみたいだな、けっ」
 「(えっ!フリーザの声?いや違うな声が似てるだけか)」

 持っている天下一武道会の名簿らしきものを見て悟空とクリリンを見る化け物。そして倒れている天津飯たちを一瞥してあざ笑う。仲はあんまりよくないみたいだな。
 というかフリーザの声に似ててびっくりだよ!

 「タンバリン……」
 「貴様らも終わりだな。アイツは天津飯に近い実力を持っている。疲労したお前らでは戦ったところで負けるだろう、はははは!」

 天津飯がタンバリンの名前を呼び。鶴仙人があざ笑う。まあ亀じいやクリリンはいっぱいいっぱいだな。体力的にきついだろう。でも悟空は余裕そうだけどな。

 「タンバリン……ってことはあいつがヤムチャをやったんだな!」

 そう言って悟空はタンバリンへと歩み寄っていく。

 「やい!おめえがヤムチャを殺したんか!?」
 「ヤムチャ?……ああ、あいつか。『足さえ折れてなかったら』とかいってた奴か?心配するなお前も同じところに送ってやる」

 そう言ってにやりと口を曲げるタンバリン。
 タンバリンはそのまま拳を繰り出した。それを悟空は避けて相手の背後へと一瞬で周り上空へと蹴り飛ばす。まあまあの一手だな。更に悟空はそれに追い討ち、ジャンプしてタンバリンの頭上へいき地上へと叩き落した。

 「ヤムチャの敵だ!!」

 更なる追い討ち。叩きつけられて横たわるタンバリンへと膝を落とす。華麗な連続攻撃だな。えぐいけど。まあタンバリンなんて生かしていても百害あって一利なしだからな。
 それを見ていた鶴仙人達は圧倒的勝利に驚いていた。天津飯はさらに驚いていた。自身が手加減されていたのに気がついたんだろう。自分が殺しにかかっているのに相手がそれに手加減できるというのはかなり実力が離れている証拠。天津飯のプライドがドンドンぶっ壊されていくな。
 
 「ば、馬鹿な!天津飯を相手にした後であそこまで!?」

 鶴仙人も中々にショックを受けているようだが天津飯は固まって動かない。そういえばこいつら天下一武道会の決勝戦見てないんだったな。そのせいで悟空の実力がわからないんだろう。
 そこへ空から飛行船が飛んでくる。PILAFUと刻まれている。ってピラフかよ……。あいつらここらで処分しておいたほうがいいんじゃなかろうか。
 更にその飛行機から降りてくる影がある。武空術を使って空からゆっくり降りてくるその顔は憤怒に染まり、俺達皆をにらみつけてくる。
 亀じいなどは険しい顔を動かさない。だが一瞬俺のほうを見たのは何故だろう?俺が勝てるかと悩んだんだろうか。

 「タンバリンを殺したのはだれだ」
 「ピッコロ大魔王様!アイツです!あの尻尾の生えたガキが!」

 降りてきた緑色の老人に鶴仙人が答える。ピッコロ大魔王は悟空をにらみつけている。
 こうしてピッコロ大魔王が俺達の前に姿を現した。
 
 
 あとがき

 タンバリンの声優はフリーザと同じ人なんですよね。私からしたら小さい時にタンバリンと同じ声!って反応したんですけど今だとフリーザ様が人気過ぎてそうならないんですよね。
 

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