小説『ドラゴンボールN』
作者:プータ()

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 第四十四話 ピッコロの手下の寿命がヤバイ

 ピラフの飛行船に乗っていた下っ端魔族、ピアノはうろたえるピラフたちをたしなめていた。ピラフ達は何度も悟空の手によって悪行を邪魔されているため悟空を苦手としている。

 「うろたえなくてピッコロ大魔王様の手にかかれば大丈夫ですよ」

 そう言っていられたのも数秒前までのことだった。たった今そのピッコロ大魔王は無残な姿になり、両手両足の骨を砕かれ地面にめり込んでいる。惨い光景となっていた。
 地上にいる亀仙人たちもその光景には驚きを隠せていない。ブルマやウーロンはピッコロ大魔王が下りてきた時点で何処かしらに避難しているがその他の人たちはあっけなくピッコロ大魔王を無力化した光景を見ていたのだ。
 
 「まさかこれほどあっけなくとは……止めを刺さんのか?」

 亀仙人が驚きを通り越してあきれの混じった口調で言う。亀仙人からすればさっさと殺してしまったほうがいいと思うのは当然だろう。

 「ああ、実はさ……」

 そうして話していくのはピッコロの正体。ナメック星人という宇宙人であること。神の悪の心が実体を持ったものである事。ドラゴンボールは神が作った物である事。ピッコロ大魔王と神は一心同体であり、殺してしまうと神も死にドラゴンボールもただの石ころになってしまうこと。取り合えずしっていると言って大丈夫な事を全部話した。

 「ぬう……なるほどのう、じゃがどうするんじゃ?いっそワシが魔封波で封印したほうがいいかのう?生き返らせてくれるんじゃろう?」
 「いやそれはいいよ。魔封波は使用者の命使うんだろう?生き返るっていってもそれは流石にあれだし。まあそこらへは俺に任せておいてくれって」

 そう言って納得させようとするナスビ。内心、これ以上原作乖離を起こさせたくないのだ。ゼット戦士が更に減る事になったらナスビの負担も増えてしまうだろう。そんな利己的な考えもある。

 「お、こんなところにいた!ナスビ!飯は?」
 「セロリ?スピナーも!来ちゃったのか」

 ぐーっとお腹を鳴らしながらセロリがナスビのところまで来た。スピナーも一緒だ。カプセルコーポレーションとナスビの自宅は徒歩三分ほどだ。そのためセロリが気を探ればすぐにでもこれる。
 開口一番が「飯」と言うのもセロリらしい。

 「とうさん!ごはん!」
 「おお、スピナー!おなか減ったのか?」

 スピナーがナスビの足元まで歩いてきたのを抱き上げるナスビ。親ばかである。

 「へぇ、なんかあったんだ?」
 「ああ、まあな」

 セロリが辺りを見渡して何かあったのかと問う。天津飯の死体やピッコロ大魔王の半死半生の姿を見れば何かあった事ぐらいはわかるだろう。気にしないほうが異常だ。

 「……スピナーの教育に悪いな」
 
 辺りを見渡して思うナスビ。もうすでに手遅れな気がするとも思える光景だ。そうして何があったかを掻い摘んでセロリに話すナスビ。話している間はスピナーは悟空に寄っていく。

 「悟空兄ちゃん!何してたの?」
 「んっとな、ピッコロ大魔王倒してたんだ」
 「ピッコロ大魔王って何?」
 「んー……めちゃくちゃ悪い奴だ」
 「そっか!」

 最近、ちょっと悟空ナイズされてきたスピナーだった。
 そのころ、上空ではピアノがうろたえながらもピッコロ大魔王をどうにか救出しようと地上へと降りていこうとしていた。

 「(あんなに簡単に大魔王様が……だがまだ生きていらっしゃるご様子。ならばどうにかして撤退しなければ……)」

 そうして地上に降りていこうとするピアノ。だが今一度大魔王の居場所を確認しようと飛行船の上から地上を覗き込むが大魔王の姿が見当たらない。
 一方地上のほうでも大魔王の姿が見当たらない事に気がついた。

 「むう!大魔王の姿が見当たらんぞ!」

 気がついたのは亀仙人。ナスビ親子の微笑ましい親子劇やスピナーと悟空の天然と無知の微笑ましい掛け合いを見ていたらピッコロ大魔王の事を目を離してしまったのだ。
 セロリに説明中にピッコロ大魔王が見当たらない事に気がついたナスビは気を探り上空にいることに気がつく。

 「しぶといな」

 上空を見ながら思うナスビ。両手両足の骨を折り、内臓までしっかりと傷をつけといたのに動いている。そう言った所は流石ピッコロ大魔王だと思うナスビ。
 上空に浮かぶ飛行船にのるピアノもピッコロ大魔王が飛行船の上空に浮かんでいるのに気がついていた。

 「おお!ピッコロ大魔王様!」

 ピアノの乗っているピラフ製飛行船の上空に浮かぶピッコロ大魔王は満身創痍たった。両手両足の骨が折られているので武空術で何とか浮いている状態だ。

 「この、この私が負けるだと!?ありえん!あってはならんのだ!!」

 そう言って全身から気を集め一点、口に集める。両手も使い物にならない今手から放つ事はできない。だからこそ、口に気をためていく。それをナスビ達の所へと放とうと言うのだ。

 「あれがここに当たったら街が吹き飛ぶな」
 「まあ当たればな」
 
 慌てず騒がないセロリとナスビ。だがその言葉に慌てるのは周りの人たちだ。

 「ひいい!街が!?」
 「街が吹っ飛んじゃうんじゃ何処に逃げても間に合わないじゃない!」

 いつの間にか隠れていたところから出てきたウーロンやブルマも出てきていたようだ。
 ピッコロ大魔王の気が膨れ上がりきったところで放たれる光線。中々の威力がこもっており地表へとぶつかれば間違いなく辺りは何もなくなるだろう。

 「大魔王って割には弱いのな」
 「そう言ってやるなセロリ」
 「てかアイツが元凶なんだろう?だったらアイツをふっ飛ばせば私は晩飯を食えるんだよな?」
 「え!?いや、ちょっと待てよアイツは……!(ああ、やっぱり飯が遅かったか……)」

 ナスビの説明が途中だったのがまずかったせいかセロリの空腹が限界なせいか、説明を聞くのも面倒になったセロリはピッコロ大魔王の光線に自らの手にためた気功波を放出した。ろくに気をためているわけでもないがピッコロと比べればその差は歴然。ピッコロの光線を容易く飲み込んだセロリの光線は威力を増し、その余波で空中に浮かんだ飛行船を分解させながら吹っ飛ばした。そしてピッコロ大魔王をも飲み込んだ。

 「ぎゃーーー!!!せろりさん!何してくれてんの!?」

 あまりのことに一瞬キャラ崩壊を起こすナスビ。ピッコロ大魔王が吹っ飛んだようにしかナスビには見えない。ちなみに飛行船に乗っていた魔族は吹っ飛んだがピラフ大王たちは流石と言えるのか、危機一髪で脱出装置で退避していた。

 「ピ、ピッコロ大魔王が死んじゃったてことは……」
 「ド、ドラゴンボールが……」

 ブルマとクリリンがピッコロ大魔王の末路を見て嘆く。 

 「いや!まだ生きておるようじゃぞ!」
 「マジで!?……気を感じる!あぶね!セーフ!」

 亀仙人がその超人的視力により上空にいるピッコロ大魔王をとらえた。それにいち早く反応したのはナスビだ。だがピッコロ大魔王の姿は無残なものだった。かろうじてつながっている両手はともかくとして下半身は腰から下が消滅している。防御に精一杯だったのか力尽きて地上へと落ちてくるピッコロ大魔王。

 「あれはヤバイ。すぐにどうにかしないとヤバイ」

 そう言ってナスビはピッコロ大魔王をキャッチしにいった。
 
 ・・・
 
 ・・

 ・

 その後の話。何とか仙豆を食わせる事に成功したナスビはそのまま何とかして(亀仙人すら顔を青ざめさせていた)ピッコロの卵を産ませることに成功。だが下半身がふっとんでいたピッコロ大魔王は卵に全部をもっていかれたので息を引き取った(ナスビのせいという話もある)。
 ピッコロの卵を悟空は「それ今日の晩飯か?」と聞いていたが全力で否定しておいたナスビ。食おうと思った悟空は流石である。
 

 あとがき
 ピッコロ大魔王の手下の名前ってピアノって言うんですね。シンバルだのタンバリンだの楽器から名前がきてるんですね。
 今回の話は何事も気を抜くとすぐに予定は狂うものと言う話ですかね。ついでにサイヤ人は空腹にしてはいけないと言う事。まあご都合主義の塊のような文章書いてていまさら何言ってんだって話ですけどw
 ちなみにこの事件、全部カプセルコーポレーションで起きてるんですけど付近の住人はあまり気にしていないようです。まあシェンロン呼んで「実験だ」ですむらしいんで別に描写する必要もないかとw
 今回の題名の意味はピッコロの手下の寿命を調べると面白いです。最短数分から数日というとんでもない短命の手下達。かわいそうですよね。

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