第九話 熱戦だ!烈戦だ!超激戦だ!前編
「ブロリー……てことはそこにいるのはパラガスか!」
「ナスビ知ってるのかい?!」
「ああ」
俺の呟きにきがついたセロリが俺に詰め寄ってくる。俺は不自然にならない程度に教えてやる。
フリーザの襲撃のちょっと前に生まれた子供であること、戦闘力が一万で生まれたこと。そしてベジータ王の自身の、地位に対する執着心で殺害されたはずである事。
「ほう、私達の事を知っているのか……」
ブロリーの腕の中からおろされたパラガスが少し驚いたようにこちらを見ている。
その間ブロリーはニヤニヤとして気持ちが悪い。流石、人をあんまり嫌わない悟空にも「こいつ気持ちわりぃ」と言わしめた人物だ。気持ちわりぃ。
その後、パラガスはどうにかして生き残ったという事をさもすばらしい事のように語った。半殺しにされゴミのように捨てられたこと、その後惑星ベジータがフリーザのデスボールでぶっ飛ばされた時、ブロリーに助けられた事。
「私達の怒りがわかるか!?ゴミのように捨てられた私達の気持ちが!?」
「ああ、うん」
俺はなんと答えていいものかと頭を悩ませてしまった。とはいってもここでこいつらを逃したら将来的にいくつもの星が超サイヤ人になったブロリーの癇癪によって崩壊する羽目になる。現在においてもこの星がピンチだし、恐らくブロリーが切れたら簡単に崩壊するだろう。戦闘力が二万ぐらいあればできるだろうし。
「思い出したよ!確かカカロットと同じ日に生まれた奴だ!バーダックがガキが弱いってぼやいてたから覚えてる!確か隣のカプセルの奴は強いのにとかも言ってのを覚えてる!」
「カカロット……!?」
セロリがどうやら自力で思い出したようだ。だがブロリーの様子がおかしくなった。何でだ?
「!?まずい!ブロリー落ち着くんだ!」
パラガスまでもが慌てだした。俺とセロリはそれを不思議そうに見ている。だがそれをよそにだんだんとブロリーの気が上がっていく。これはまずいかもしれない。
「カカロット!カカロットの事をしゃべるなぁぁぁぁ!」
「やめろ!ブロリー」
自体は急転、いきなりブチ切れたブロリーの気が大きく跳ね上がったと思うとパラガスの制止を振り切り、こちらに向かって一直線、セロリに拳を振り上げた。
セロリはそれを大きくバックステップする事でよける。そしてセロリのいた場所は大きな破砕音を立ててクレーターができていた。ただの拳といえすさまじい威力だ。
「ブロリー落ち着くんだ!「うるさい!だまれぇぇぇ!」ぐぁ!」
「なんなんだいコイツは?!」
パラガスがブロリーに近寄り押え付けるが、ブロリーはそれを余裕で吹っ飛ばす。吹っ飛ばされたパラガスは地面をすべり気絶した。
セロリも突然の事で慌てているようだ。
だんだんとだがブロリーが金色のオーラをまとい始める。気も最初とは比べ物にならないほど膨れている。スカウターでは1000万ほどもある。こいつもうスーパーサイヤ人になれるのか?八歳だぞ?ああ、今ならベジータや悟飯がトランクスと悟天の超サイヤ人を見て驚いた気持ちがよくわかる。
「こいつを放っておいたらやばい!セロリやるぞ!」
「わかってる!はぁ!」
俺の掛け声に答えるセロリ。気を全身にいきわたらせる。
初手は俺。瞬時にマックススピードで一直線にブロリーに対して突っ込む。そのまま相手の即頭部に膝蹴りを入れる。
「痒いな」
「なっ!」
全く持って効いてない?馬鹿な!?
ブロリーは二ヤーと口元をゆがませ、そのまま俺の脚をつかむ。俺はもう片方の足でブロリーの顔面を蹴りつけるが全く気にしていない。ものすごい握力だ!
「はははははは!!」
つかんだ足をそのまま持ち地面に叩きつける。それを腕を振り回すのと同じように前後ろ前後ろと俺と地面に叩きつけていく。俺は頭を抱えて防御するがスカウターはぶっ壊れてしまった。
「ナスビを放せ!!」
セロリはためていた気を手のひらに、極大の気功波をブロリーにぶつける。ちょっと俺いるんだけど!?
辺り一面が気功波の余波で見えなくなる。俺の脚からブロリーの手は離れていたのですぐさま離脱した。
少しはなれたところにいるセロリに近寄る。
「俺がいるのに打つんかい!?」
「だってナスビの蹴りが効かないんじゃ私の打撃が効くとは思えないし。だったら気功波ぐらいしかないじゃないか」
「それはそうだけどさー」
俺は不満を口にしながらもブロリーのいるであろう砂煙からは目を放さない。セロリも同じだ。
あいつの気がだんだんと上がっているのがわかる。もうすでにさっきの数倍はあるだろう。
「こいつはさっさとけりつけないとやばいよナスビ!アイツの戦闘力が6000万もあるんだ!しかもまだ上がってる!?なんなんだよアイツは!?」
スカウターで戦闘力を見たセロリがやや怯えて言う。俺もブロリーの気の余波だけでも恐怖を感じる。気を探るとわかるのだ、まるで気が無尽蔵に湧き出てくるような感覚。それが目の前の砂埃の中から感じられる。
「10倍界王拳!」
俺は一瞬で全身に気をめぐらせて界王拳を使う。界王拳は気を全開まで上げてそれを爆発させる事で発動させ、それを持続させる技だ。だからこそ体に負担がかかる。あまり多用はできない。
俺は界王拳で上がった戦闘力でもって増幅した気をためる。そして俺が八年かけて作り上げたオリジナル技を使う。
かめはめ波は亀仙流の技だ。俺が使うのはおかしい。なので俺は俺の技を使う。とはいってもヒントはかめはめ波だ。
かめはめ波は両手を使って気をためて一気に放出するから強いのだ。だから俺は二箇所ではなく三箇所から気をためる。
実は俺の技のヒントはブロリーからも貰った。映画のブロリーは胸からエネルギー弾を出していた。俺はそれを覚えていたので応用させてもらったのだ。
俺は砂埃の中にブロリーの気を感じながら、なるべく星に当たらないように位置を調節する。
俺は胸の前に両手を持ってくる。そして両手と胸から気を集める。
「オメガ……」
胸の前にある両手の間に気がたまり赤色のエネルギーがたまる。それはどんどんと大きくなる。それを今現在の最大までためる。このエネルギーが星に当たった場合跡形もなく星が吹っ飛ぶほどだ。
「バスタァァァァーーー!!!」
そのエネルギーを両手を突き出し開放する。その瞬間、目の前の空間すべてを真っ赤に染め、あたりは光と轟音に包まれる。
後ろにいるセロリは顔を手で防御をして隠している。エネルギーの奔流による突風で瓦礫やらなんやらが回りに吹っ飛んでいるからだろう。
あたり一面を真っ赤に染めたオメガバスターを放つ手を止める。
終息した光線の跡は抉られており、その威力を如実に語っている。だが……
「嘘だ……」
目の前に現れたのは体から血は流しているが今だ健在のブロリーがいる。その姿を見たセロリは冷や汗をかきながら唖然としている。
セロリは今までこのオメガバスターで倒せなかった敵を見た事がなかった。それがとても恐ろしいのだろう。
それに俺達二人は純粋なサイヤ人だ。ブロリーの恐ろしさは体に流れる血が教えてくれる。
「痛かったぞ……おおおおおおおおおおお!」
ブロリーは憤怒の形相で、足を踏み鳴らしながらこちらに走ってくる。金色のオーラを振りまいてはいるが髪の毛はやや青い色だ。超サイヤ人になりきれていないながらもその戦闘力は界王拳10倍の俺を優に超えている。
ブロリーの恐ろしい腕力によって繰り出された一撃によって俺は吹き飛ばされた。
「ぐ!」
「はははは!痛いか?俺も痛かった!!」
ブロリーはすさまじいスピードで俺を飛んで追尾し、吹き飛ばされた俺を更に吹き飛ばす。
「かっ!」
吹き飛ばす。
「がっ!!」
吹き飛ばす。
「がぁ!!」
吹き飛ばす。
「終わり、だ!!」
地面に垂直、上空に上げられた俺はそのまま諸手で叩き落される。そして更に追い討ち。地面に叩きつけられた俺の腹にブロリーが膝を打ち立てる。
「がぁあああ!!!ごふぁ」
俺の吐き出した血がブロリーの顔にかかる。それをさも楽しそうに舐めるブロリー。く、気持ちわりぃ。
落ちた俺の周りの地面はクレーターができ、俺は地面に埋もれている。
体中の骨にひびが入り体が悲鳴を上げている。恐らく肋骨が折れて内臓に刺さっている。それで血を吐いたんだろう。
あまりの激痛のために俺の意識が明滅する。今回ばかりは死ぬかもしれないな。
あとがき
正直、成長したブロリーに勝てる想像がつかない。超サイヤ人3にでもなれば別かもしれないですが。
映画でもブロリーにダメージを与えた描写がほとんどないんです。精々が口元から血を流させたり、かすり傷程度。気功波も嫌がらせ程度にしか効いてない。恐ろしい相手です。サイヤ人三人+ピッコロの気を悟空に上げて何とか勝てたんですしね。僕はブロリー信者かもしれませんw
でも今なら10歳の子供、映画のときよりも弱いです。ただそれでもかなり強いと思うんです。戦闘欲のままに戦い続けるサイヤ人ほど恐ろしいものはないと思いますし。
ベジータはなんだかんだとフリーザの監視下の元に置かれてましたしね。
それに映画版のブロリーは父親に操られた状態が長かったはずです。鍛錬なんてしていなかったと思います。その状態でも映画版の戦闘能力を持っていたんです。
必殺技の「オメガバスター」はがんばって厨二心を高ぶらせて作りましたwどっかにありそうな技名なのは気にしないでいただけると助かります。
次回は三人称でお送りします。