小説『短編集』
作者:クロー()

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犬を飼い始めた



犬を飼うのは大変だよ。

うちのシェパードなんて、まれに散歩してる時に思いも寄らない方へぐいぐい引っ張ることがあるんだけど、それがもうすごい力でそのうち手綱を噛み始めて結局手綱が切れちゃって、最終的に警察に捜索願いをする嵌めになったんだから。しかもそういうことが10回ほどあったんだよ。

3日目に隣町の優しいおばあさんの家に預かってもらわれてたからよかったけど、うちの犬のやんちゃっぷりったら半端ない。でもうちで飼ってる犬でしょ。私の犬だからなにがあっても私が責任持って面倒見なきゃいけないわけよ。飼ってる犬が主人とはぐれて主人を待ってる時はそれはそれは寂しがってるんだから。おばあちゃんちに行ってうちの犬を見た時、ものすっごく悲しそうな目をうるうるさせててく〜んく〜んでいいながら床の上でぺたんってなってたんだから。それなら最初から手綱を引っ張るなって感じだけど。

主人を困らせることもたくさんあるけど犬を飼うのはいいもんだよ〜。他の人間に飼われてる犬とは違って特別な愛情を抱いてかわいがっているうちにいつの間に家になくてはならない存在になるんだから。だから永久の別れがいつか来ると思うとほんとにいたたまれない気持ちになるよ。でも、人間より寿命が短いだけ、楽しい人生、じゃなくて犬生を送らせてあげたいって思うね。



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