小説『短編集』
作者:クロー()

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怪しげな息子



最近息子の様子が変なのよ。

あの子ここんとこいっつも浮かない顔をしてるんだけど、毎朝やけににこやかで機嫌がいいのよ。

朗らかな子になるように育てたつもりだから嬉しいけど、三十路すぎの立派なおじさんの年齢になってからそうなるなんてなんかちょっと気味が悪いのよね。
明るいだけならいいけど、どこか上の空なのよ。時々目がうつろだし。

こんなのあの子の人生史上初よ。
なんかここんとこ夜遅くまで起きてるみたい。
この前真夜中にトイレに行く途中息子の部屋の前を通ったんだけど、明かりが薄らついてて、ドアの隙間からちょっと覗いてみたら、
少し興奮気味でパソコンに向かってワープロ打ちしてたの。
なにを書いているのかは分からなかったけど、夜遅くまで仕事してるのかしら。
変な仕事させられてるのかしら。
それで翌日の早朝テンション高いなんて過労気味なのかしら。

それとも変なネットゲームでもはまってるのかしら。
仕事しているふりをして私や夫に隠れて変なゲームでもやってるのかしら。
毒を摂取した後すぐにはハイになるっていうじゃない。
脳みそによくないゲームが今インターネットではやってるかもしれないわ。
あの子に限ってエロサイトにはまるなんてことはないと思うわっ。
子供はみんな親に隠し事をするっていうけど、なんだか気になってきちゃったわ。
ここんとこは穏やかになってるような気がしないでもないけど・・・。



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