小説『短編集』
作者:クロー()

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ホテルのロビーにて −七面倒な病者−



「チェックアウトします」

その客は若干乱暴に鍵をロビーのカウンターの上に置いた。

「はい、203号室の吉野さまですね。2泊3日朝夕食事付でお会計合計24000円になります」

「カードで」

「はい、・・・・・・・・・お客様こちら、使用が停止されておりまして、使用できません、現金はお持ちですか?」

財布をかばんから取り出す客の財布は、からっぽだった。

「ちょちょちょ、お客様どこへ行かれるのですか?」

「私の旦那が払うからいいでしょ?」

「あのう、旦那さまらしき人はいらっしゃいませんし、お会計の後払いは致しておりませんので・・・」

「払うんだからいいでしょう!」

その図々しく狂った客はずかずかと出口に向かって歩いて行く。

「お客さま!!」



ここまでが私の知らないところで起きた出来事である。


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私「あれ?携帯の着信に警察署からの連絡が3件も入ってるよ!」

ちなみに吉野という苗字は偽名だった。離婚したいくらい夫が憎いらしく、でも実家に帰るといっていたから安心していたのだけれど・・・・。




この後、私の母は、3回ほど警察のお世話になるのであった。
家族はみな、呆れるばかりである。
私の母は、父が迎えに来るまで、警察に説教するなり怒鳴りつけるなりしたそうです。


完全に狂ってます。



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