嫌な男
しくしく、しくしく
「なんで泣いてんの?」
だらっと制服を着た男子生徒が屋上で泣いていた女子生徒に声をかけた。
「なんなのよ、あんたほっといてよ」
「どうせ、太田にふられたんだろ、それくらい分かるって」
「ほっといてって言ってるでしょ!」
「佐々木はさぁ、童顔で自分が子供みたいなの分かってて本当はそこんとこ自分でも結構悪くないとか思ってんだろ」
「思ってるわよ、思っててなにか悪いわけ?」
「残念ながらさ、太田は姉御好きだし正直スタイルがもう・・・」
「それ以上言ったらもう口利かないし、だいたいなんであんたにそんなこと言われなきゃならないのよ」
「泣いてる人はほっとけないなって思って」
「あのね、あんたこそ『どの女も自分に気がある』なんて思っちゃってるから私とか女の子たちの乙女心を弄んで楽しんでるんでしょ。あ〜やだやだ、こういう男ってなんかやだ」
「あ〜あ、せっかく人がアドバイスしてあげようと思ったのに、なんでそんなこと言われなきゃならないのかな〜」
「そんなのいらないわよ!」
ダダダダッ(階段を下る音)