小説『短編集』
作者:クロー()

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>


嘲笑う女



人のことを見降ろして嘲笑う女がいる。


本当は負け腰なのに。周囲の人間に白旗挙げてるのに。

苦心してまで努力しようかということを考えると急に萎縮して誰よりも小さくなる。


負けたくないから最初から負けを認めてる。


努力している時は味わう苦しみがあるだけ、
人と自分が同じであるということを認識できて、

いつも人にでかい態度を取っている分だけ、負けた時の衝撃が大きいから。

自分が負けて自分が情けなくなった時のことを考えると怖いから。



それなのに彼女は「負けてない」っていう顔をし、でかい態度を取る。

自分を情けないと思う気持ちをかき消すために、負けても平気でいられることで勝負にでようとする。


でも全く的外れなことやってる。本人それを自覚してるけど、棄権してる自分が情けなくて同じことを繰り返す。

-46-
Copyright ©クロー All Rights Reserved 
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える