見えない神殿のお話――
地上には、ほとんどの人には見えないとされる天国に通じる神殿があるとされている。
この神殿では、天国に選ばれた人が、天国で創られた地上の世界の目的のために働いている。
その神殿には住所があって、その住所を知る地上の人物から送られてくる魔法の手紙が「天使郵便局」で選別され、
ほとんどの郵便物は灰にされて土に戻されており、神殿で働いている人に届かないままにされる手紙は多い。
なぜなら、彼らには知らされない方が天使にとって都合がいいことが多いからである。
ある日、その神殿で働く女の人に、ラブレターが届いた。
大抵、ラブレターは天使郵便局で排除されてしまうため、とても珍しいことであった。