小説『真剣でD×Dに恋しなさい!S』
作者:ダーク・シリウス()

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四月三十日(木)



爽やかな朝の登校。一誠は悠然と多馬川大橋の上に歩を進めていた。だが、背後からキャピキャピした

女の子の声が聞こえてくるが一誠は気にしないで川神学園へと―――


「一誠!」


「ん?ああ、おはよう。百代」


「放課後、私と決闘だ!」


「・・・・・いきなり決闘とはどういうことだ?」


「キャップ達から聞いたぞ。お前、翼を出してキャップより速く走って勝ったんだってな」


「そうだな」


「お前、天使だったのか?」


「正確に言うと俺の力だ」


「なら、私と真剣で勝負しよう。一誠の力を見てみたい」


「百代が負ける事になるが、それでもいいのか?」


「ジジイに勝つほどの実力者だと昔から知っているさ。だが、それは昔の事。私は昔の私じゃないぞ」


「・・・・・そうだな、あの時は鉄心に邪魔をされたからお預けとなってしまったし・・・・・うん、

いいぞ。お前と盛大に決闘をしよう」


「―――!」


「だが、学校じゃあ派手な攻撃はできない。―――俺の家で決闘をしよう」


「お前の家で・・・・・?」


「ああ、誰にも邪魔されず俺とお前だけの戦いができる。それでいいか?」


「勿論だ!一誠の家に行ってみたかったしな!」


「じゃあ、放課後に成ったら俺のクラスに来てくれ」


「ああ!」


嬉しそうに百代は首を縦に振る。そして、一誠の肩に腕を回して一緒に歩きだした。


「ははは」


「なんだ?」


「いや、あんな小さかった百代が俺の肩に腕を回すぐらいに成長したんだなと微笑ましくてな」


「当然だろう?その上、私は美少女だ。そんな美少女と密着できて嬉しいだろう?」


首の裏に感じる温かさと弾力がある肌、腕に豊満な胸が当っている感触。そして、黒い長髪から甘い匂いを

感じ赤い瞳が一誠の顔を映すほど近くもう少しで一誠と百代の唇がぶつかりそうになっていた。


「そうだな、百代は成長したら美少女になるだろうなと思っていたが俺の予想を超えるほど綺麗になったな」


「あはは♪嬉しい事を言ってくれるじゃないか♪」


「よし、百代を女の子らしく扱って学校まで送ってやろうか」


「え?」


一瞬で百代の体勢が崩され一誠の腕に抱えられる体勢に成った。所謂、『お姫様抱っこ』。


「えっ、な、お、おい?い、一誠・・・・・?」


「どうした?」


「こ、これは流石に恥ずかしい・・・・・。誰にもしてもらった事がないから・・・・」


顔を赤らめ恥ずかしそうに顔を俯き弱弱しく一誠に抗議する。


「―――へぇ、そうだったんだ。じゃあ、このまま学校に行くとしよう」


「なっ!?」


「月歩」


爆発的な脚力で空を蹴り続け一誠と一誠に抱えられている百代は川神学園へと向かった。


―――川神学園 2−S


「おはよう」


「あっ、イッセー!おっはー!」


「おはようございます」


「おはようさん」


「フハハハ!おはよう、一誠殿!」


「おはようございます☆」


「おはようなのじゃ」


「廊下が騒がしかったがどうしたんだ?」


「今度はこの廊下のガラスが割られたそうです」


「此処の警備のセキュリティが問題だろう。易々と学校おろか、校内まで侵入をゆるすなんて・・・・・

この学校を警備している奴はどうしているんだよ」


「その警備を潜りぬけて侵入しているのかと」


「それしかないか」


「イッセー、マシュマロ食べる〜?」


「食べるかな」


「じゃあ、あーん♪」


「あーん・・・・・ん、甘くておいしいな」


「ウェーイ♪」


「一誠さん、放課後に成ったら私とデートしましょう」


「悪い、先約がある。―――百代と決闘をする事になっているんだ」


「おいおい、モモ先輩と決闘かよ。大丈夫なのか?」


「心配するな。俺の家で決闘をするんだからな」


「「「・・・・・」」」


「ん?」


「いま、一誠さんの家で決闘をすると言いましたか?」


「ああ、言ったぞ。日本海の上空に浮かぶ複数の巨大な大地の一つを丸ごと使ってな」


「イッセー、僕達も見学しに行っても良いかなぁ?」


「んー・・・・・。まあ、いいぞ。お前達に攻撃の余波が来ないようにするから」


「すまないな。二人きりで真剣勝負をしたかったんだろ?」


「なに、邪魔をしなければいいのさ」


「―――では、我等も見学をさせてもらってもよいでしょうか?」


「英雄?」


「我も一誠殿の戦いを見守りたいのだ。是非、我等もその場に居合わせる許可を・・・・・」


「・・・・・しょーもない。いいぞ」


「っ!有り難い!」


「ありがとうございます☆」


「おーい、オジサンがきたぞー。全員、席に座るように」


―――昼休み 屋上


「冬馬達は賭場に遊びに行っている。大和達は来る気配がない・・・・・。今日は1人か」


ま、たまにはのんびりと食べるのも悪くは無いと、給水塔の上に飛び乗り一誠は弁当の箱を開け食べ始める。


ガチャ・・・・・。


「・・・・・?」


屋上の扉が開いた。一誠は下を覗き込むと口から「へぇ」と漏らした。


「珍しいな。ここで食べに来るなんて―――なあ、主将」


「兵藤君、偶然で候」


3−Fにして弓道部の主将、矢場弓子が屋上に現れた。


「今は2人きりなんだから口調を戻したらどうだ?」


「・・・・・一緒にいい?」


弓子にそう聞かれると一誠は頷き、下に降りて腕を弓子の腰に回して再び給水塔に飛び乗った。


「こうして主将と一緒に弁当を食べるのは初めてだな」


「うん、そうだね。・・・・・ところで、部活でもないのに主将ってどうかと思うんだよね」


「じゃあ、俺の事を『イッセー』って呼んでくれ、俺も主将の事をユミと呼ぶから」


「兵藤君・・・・・先輩にその呼び方はちょっと・・・・・」


「ん?ああ・・・・・そう言えば言っていなかったな。俺、主将より年上だぞ?」


「・・・・・・・・・・・・・え?」


「それもかなり年上だ」


「・・・・・それ、本当に?」


「俺は嘘を言わない。まあ、証明する物は無いんだが事実だ」


「じゃあ、どうして2年生に?」


「百代とその妹の川神一子とその仲間とは古い付き合いなんだ。転入するならそいつらと

同じ学年でいたいから俺はワザと2年に編入した」


「でも、百代ちゃんの話だと兵藤君は百代ちゃんに呼び捨てされているみたいだけど」


「変な名前じゃなきゃ自由に呼ばせているんだ」


「そ、そうなんだ・・・・・」


「と言う訳でこれからは主将の事を『ユミ』と呼ぶからよろしく。ユミも俺の事を『イッセー』でも、

『イッセーさん』でも自由に呼んでくれ」


「・・・・・なら、イッセー君と呼ぶね。年上だけど2年生だからこの呼び方の方が部員達も

疑問を浮かべる事もしなくなるし」


「そうだな。それじゃ、改めてよろしくな。ユミ」


「よろしくイッセー君」


そして、屋上で一緒に食べる事に成った。2人は色々と雑談し、笑い合い、話が盛り上がり、

チャイムが鳴るまで楽しそうに過ごした。


―――放課後


「―――イッセー!」


「・・・・・よっ、来たな。―――大和達も一緒に現れてきたようだけど・・・・・お前か?京」


「ククク、一誠の会話を盗み聞きするなんて朝飯前だよ?」


「俺様達も一誠さんの家に行きたかったんだよなぁー」


「迷惑じゃなければ自分もいいだろうか?」


「おやおや、結構な人数になりましたが・・・・・」


「イッセー、大丈夫なの?」


「無理なら見学をするのは止めるが」


「おっ?お前達も一誠さんの家に行くのか?」


「僕達は決闘を見に行くんだよー」


「うむ、その通り!我等は一誠殿の決闘を見学しに行くだけなのだ!」


「げっ、九鬼も来るのかよ・・・・・」


「―――おい、英雄様が来て悪いのか、ああ?」


「いえ、悪くないです」


「・・・・・しょうがない。大和達も『乗せて』俺の家に行くか」


「乗せる?」


「グラウンドに行けば分かるさ」


教室から出る一誠に百代達はついていく。


―――グラウンド


「なあ、一誠。グラウンドに行けば分かるってどう言う事なんだ?」


「もう少し待っていろ。もう直ぐ来るんだからよ」


「来る?一体何が来るんだ?」


「それは―――」


一誠が口を開いた瞬間、グラウンドが突然に暗く成った。


―――刹那


ドッスウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥンッッッ!


巨大な何かがグラウンドに落ちた。その際に大量の土煙が発生し、地面が激しく揺れた。

少しして揺れが収まり大量の土煙が晴れ―――


『おい、呼ばれたから来てやったぞ。何のようだ?』


百代達の瞳に三つの頭に背中に巨大な翼と身体を持つ生物がグラウンドにいた。その生物を見て

グラウンドにいる生徒達は驚愕の色を染める。


「ド、ドラゴン・・・・・!?」


「ちょっと待て!日本海にいるんじゃないのか!?」


「・・・・・まさか、一誠さんの家って・・・・・日本海に浮かぶ巨大な複数の大地って事・・・・・!?」


「アジ・ダハーカ。こいつらも俺の家に連れて行く」


『・・・・・その為に俺をここまで来させたのか』


不機嫌そうな表情を浮かべる。何のために呼ばれたのかと思えば一誠と一緒に百代達も身体に乗せて家に

帰るというだけ。帰る方法は他にもあるのにどうして面倒な事をと瞳に乗せて一誠の瞳を据える。


「ダメか?」


『・・・・・はぁ、今回だけだぞ。こんな事はゾラードやメリアに頼め』


「気をつけるよ」


『乗れ』


ドラゴンは手を一誠達の前に近づける。悠々とドラゴンの手の平に乗り出す。


「おい、お前等も早く乗れ」


「・・・・・食べないか?」


『食われたいのか?なら、食ってやるぞ』


「―――っ!?」


「アジ・ダハーカ・・・・・。怖がらすなよ。大丈夫だ、俺が許さない限り人間を食べやしないさ。

だから乗っても大丈夫だ」


「は、はい・・・・・」


恐る恐るとドラゴンの手のひらに乗る。全員が乗った事を確認しドラゴンに指示を出すと巨大な翼を

羽ばたかせ空を飛んだ。


「おお・・・・・」


「すげぇ・・・・・」


「学校が小さく成っていくねー」


「というか、俺様達はもの凄い体験をしているな・・・・・」


「う、うん。ドラゴンの手のひらに乗っかっているんだもん。これは貴重な体験だよ」


『行くぞ』


ドラゴンは翼を羽ばたかせながら一誠の家にまで飛行する。その速度は既に川神学園の姿が見えなくなり、

下を覗いていると新幹線の窓から見る景色のように山や町などが次々と見えていく。


「速い・・・・・新幹線よりかなり速いぞ」


『ふん、あんな機械如きより俺達ドラゴンの方が速いに決まっている』


「そう言う事だ。ドラゴンは力の塊でその威力は山を軽く吹き飛ばすドラゴンもいるんだ」


「一誠さん・・・・・。このドラゴンは・・・・・」


「名前はアジ・ダハーカ。千の魔法を駆使するドラゴン。ゾロアスター教を調べれば分かるさ。―――ほら」


鞄から一冊の本を取り出して冬馬に渡した。一誠を一瞥し本のページを捲ると、

とあるページを見つけ読むと目を大きく見開く。


「ま、まさか・・・・・このドラゴンがそうなのですか!?・・・・・一誠さん、

あなたは本当に一体・・・・・何者なんですか・・・・・!」


冬馬が珍しく声を震わせ、一誠を問い詰める。


「若、どうしたんだ。その本になんて書いてあるんだ?」


「・・・・・このドラゴンは神話に出てくる正真正銘のドラゴンです。それも邪龍と呼ばれた邪悪な龍。

千の魔法を駆使する三つの頭を持つドラゴン。それが―――アジ・ダハーカなのですよ」


「大和ー、邪龍ってなに?」


「簡単に言えば悪いドラゴンだ。凶暴で人を何の躊躇わず楽しく殺すほどの悪いドラゴン。それが邪龍だ」


「なっ!自分達はそんな邪悪なドラゴンの手の中にいると言う事ではないか!?一誠さん、

どうしてそんなドラゴンを家族と呼ぶ!どうして邪悪なドラゴンがこの世界にいるのか答えてくれ!」


「―――俺の中にいたと言えば信じるか?」


「「「・・・・・」」」


一誠の一言に冬馬、準、小雪が脳裏にあの時の言葉を思い出していた。そして、他にもドラゴンが

いたんだと知った。


「一誠さんの中に・・・・・?」


「おいおい、このデカいサイズの生き物を一体どうやって一誠さんの中にいたって言うんだよ?」


「それは―――百代との決闘が終わったら話すさ。そして、見えてきたぞ。俺の家が・・・・・」


一誠の視線の先に空に浮かぶ複数の巨大な大地が入った。アジ・ダハーカは翼を羽ばたかせさらに

速度を上げ上空に浮かぶ複数の大地の一つに向かった。

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