小説『真剣でD×Dに恋しなさい!S』
作者:ダーク・シリウス()

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真剣に兵藤一誠と川神百代は決闘しなさい!



アジ・ダハーカの手のひらに乗っている一誠達は日本海に浮かぶ複数の巨大な大地の一つに到着した。

そこは闘技場のコロシアムのような場所で一誠と百代が戦いやすいところだった。


『ついたぞ』


「ああ、皆。降りろ」


「此処が一誠さんの家ですか?」


「その庭だな。俺の家は中央に浮かぶ大地の方だ」


「ここを選んだ理由は私と思いきり戦う為か?」


「当然だろう」


『お前が人間と戦う?お前が勝つのが火を見るより明らかなのに無駄ではないのか?』


「むっ、お姉様が負けたところなんて一度も見た事もないわ!お兄様も強いのは分かるけどお姉様も

負けていないわよ!」


『なら、今がその時だな』


不敵に口の端を吊り上げてアジ・ダハーカはコロシアムの席の方へ移動したと思えば座りだした。


「あの巨大な身体でよく壊れませんね」


「そう言う風に作ってあるからな」


『―――やはり、主の他に人間もいたな』


『主が人間を連れてくるなんて初めてですね』


『この場所にいるなんて何かするのかな?』


『戦うのなら俺がしてぇなぁ!』


『・・・・・』


―――刹那、上空から複数の声が聞こえ、コロシアムに翼を羽ばたかせながら複数の生物が降りてきた


ドスウウウウウウウウゥゥゥゥンッ!!!


「はっ―――?」


『グハハハハァ!アジ・ダハーカ。お前がいなくなったと思えばこういう事だった訳か!』


『二度はやらん』


『お疲れ様』


『さて、主が人間と戦うようですが・・・・・』


『勝つのは無理だがいい勝負はするだろう』


「おいおい、あまり百代にそういうなよ。こいつは強いぞ?」


一誠はコロシアムに降りてきた生物達―――ドラゴンに話しかける。


「ニュ、ニュースで見たドラゴン・・・・・!」


『おい、こいつ等を殺しても良いか?』


「ダメだ。お前の相手はこいつ等が帰ってからしてやるから我慢しろ」


『おほっ、じゃあそうしてやるよ。楽しみだなぁ!』


「い、一誠さん・・・・・このドラゴン達も・・・・・?」


「ああ、ここにいるドラゴン達は俺の家族だ。俺の家と庭を守護するドラゴン達」


「―――禍々しく邪悪なオーラを感じる」


「それはこの二匹の事だな。こいつらもアジ・ダハーカ同様、邪龍だ」


「・・・・・一誠さん、邪龍を家族と呼ぶのは可笑しいと思うぞ。いや、そもそもドラゴンは獰猛で凶暴で

危険な伝説の生き物だと聞く」


「クリス、お前の気持ちは分かる。だが、俺は―――力を借りて一緒に戦ってきた家族なんだ。

こいつらが俺に力を貸してくれなかったら俺は負けていた時も有ったんだ」


金色の体を持つドラゴンの顔を触れクリスに向かって言葉を掛ける。


「だから、余り俺の家族を悪く言うな。―――怒るぞ」


「「「「「「「「「「―――っ」」」」」」」」」」


一誠の声音に怒気が含まれ自分達に向けられた怒りと一瞬の敵意と殺意を感じ、ゾッと恐怖を抱いた。

一誠と長く交流を持った百代達にとっては初めての事で戸惑いの色を浮かべる。


「お前等、コロシアムの席に座っていろ。戦いの邪魔になる」


『我等も見届けよう』


『この世界の人間の強さはどれぐらいのものか・・・・・』


『まあ、イッセーよりは強くないだろうね』


「(この世界の人間・・・・・?)」


ドラゴンの言葉に疑問を浮かべる大和。一瞬、ほんの一瞬だけある答えが浮かんだが直ぐに「まさかな」と、

否定した。一誠と百代だけの空間ができ、コロシアムの席から見守るドラゴン達と大和達。


「さぁて、百代。―――思いきり戦おうか」


「当然だ。この時を心待ちにしていたんだ。楽しまない訳がない」


拳を構え出す。一誠は懐から一枚のコインを取り出した。


「これが落ちた瞬間が決闘の始まりの合図だ」


ピーンと親指でコインを上に弾く。クルクルとコインが回転しながら上に向かって行くと直ぐに引力に

引きずられ地面に落下した。―――そして


チャリンッ


「「はあっ!」」


2人の決闘が始まった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――アメリカ


「キミ、あのドラゴン達の動きに変化はないかね?」


「以前と海上に浮かぶ複数の巨大な大地を守るように態勢を保ったままのようです」


「そうか・・・・・。あの複数の大地が現れてから世間は騒がしく成ったものだ」


「日本と中国はその大地を巡っているそうです。どちらも『あの大地は自分達の領土に浮かんでいる。

だからあれは我々が保有する物だ』とか」


「日本海に浮かんでいる。だからあれは日本が保有する物だと思うんだがね」


「きっと中国は金色の大地を欲しがっているのでしょうね。見た目で見ると砂金や黄金で生まれた物だと

思いますが・・・・・」


「だが、それらを守るドラゴンがいる。迂闊に手を出せば襲撃されるかもしれんからどちらも手を拱いて

両者は保有権を巡ってただ言い合っているに過ぎない」


「ドラゴンは一体何時からいたのでしょうか?一体何時の間にあの複数の大地を創りあげ我々、

人類の目から欺いたのでしょうか?」


「そればかりは分からんな・・・・・」


ダダダダダダッ!――――バンッ!


「だ、大統領!ドラゴンに動きがありました!」


「その慌て振りは尋常じゃない事が起きたのか?」


「―――武神、KAWAKAMIと戦っている少年を見守るようにドラゴン達が一ヵ所に集まっています!」


「・・・・・なんだと?」


ドラゴン達が一ヵ所に集まるのは珍しいがそれ以上に世界から尊敬や畏怖の念を抱かれている武神、

川神百代が見知らぬ少年と戦っているほうが異常過ぎる。報告をしに来た男の様子では前からその少年と

激しく戦っているのだと理解した。


「それは何時からだね?」


「―――既に2時間前からその状況になっているようで」


「2時間・・・・・!?」


武神相手に2時間も戦っている挑戦者は自分が知る限りいない。いや、一人だけできそうな人物がいるが

2時間も戦えるような状態ではない。―――なら、その少年は一体誰だ?ドラゴン達が見守られるなかで

武神と戦っている少年は一体何者だ?


「―――直ぐに人工衛星から中継して映像を送るんだ!」


「わ、分かりました!」



―――ドイツ


「クリス・・・・・!何と言う事だ、我が愛しい娘がどうしてドラゴン達の目の前にいる・・・・・!?

だが、襲われている様子ではないようだが・・・・・」


「中将、いかがしますか?お嬢様の身に危険はないように見受けますが」


「・・・・・軍を率いてクリスを迎えに行きたいところだがあのドラゴン達の怒りに触れ我が愛しの娘を襲い

国家に襲撃されたら堪ったものではない・・・・・。悔しいがここは見守ることしか出来ない・・・・・」


手を強く握りしめ、自分の娘と国の事を考え直ぐにでも危険な場所から遠ざけて自分が迎えに行きたいと

いう衝動を何とか抑え成り行きを見守る事に決めた。


「・・・・・(まさか、こんな形であなたの姿をまた見る事になるとは・・・・・)」


「む?どうした、懐かしそうに見ているが・・・・・」


「いえ、久しくお嬢様のお姿を見られ元気そうで安心していたので」


「そうだな、我が娘は元気に学校生活しているようだ。今度、軍を率いて様子を見に行こう」


「はっ」


―――中国


「間違いない・・・・・旅人さんだ!」


「久しぶりだねー、だけど全然老けていないのが不思議だよ」


「旅人さんだからしょうがないんじゃないか?」


「・・・・・それで納得してしまう自分がいる」


「じゃあ、ドラゴン達も旅人さんのペットなのかもね」


「ドラゴンがペットって・・・・・」


「相手は武神だが・・・・・旅人さんが勝つと私は信じる」


「だよなー、あの人が負けるなんて有り得ない、有り得ない」


「テレビ越しでもコピーができればなぁ・・・・・」


「・・・・・なぁ、わっちらも日本に行けないかなぁ」


「旅人さんに会いにか?」


「わっちらは旅人さんに世話に成ったからそのお礼をしたいんや」


「まあ、気持ちは分かるけどね」


「・・・・・(ダメもとで頼んでみるか)」


―――日本 京都


「お、おとん!見て見て!あの人が映っているよん!」


「うん・・・・・?」


「ほら、この人―――旅人さんだよん!」


「・・・・・本当だ、間違いないよ。確かに旅人さんだね!」


「久しぶりに旅人さんの顔を見たよ・・・・・良かった、元気そうで・・・・・」


「旅人さんと戦っているのは・・・・・武神だって!?」


「ありゃ〜、先を越されたかも。あの話はどうなるんだろうね?」


「う〜ん・・・・・。本当にどうなっちゃうんだろう」


「これ、全世界で放送されているみたい。きっとあの人達も見ているに違いない」


「勝って欲しいような・・・・・勝って欲しくないような・・・・・複雑な気持ちだよね」


「私は勝って欲しい」


「なんでだい?」


「だって―――好きな人の勝つところを見たいのは当然でしょ?」


―――九鬼財閥


「英雄とあずみの帰りが遅いと思えばこういうことだったか・・・・・」


「百代と旅人殿の戦いを見学していたとは・・・・・英雄め、帰ってきたら説教しないとな」


「旅人さん、元気そうで安心したよ!」


「そうだね、久々に顔を見られて安心した。また会いたいな」


「兄貴、負けるんじゃねぇぞ」


「義経達は応援するぞ!頑張れ、旅人さん!」


「フハハハ!頑張るのじゃ!そのまま武神を倒すのじゃ!」


「旅人・・・・・!」


「ヒューム、そんな怖い顔でテレビを見ないでください」


―――川神院


「まったく、百代は困ったもんじゃ」


「一子も帰って来ないと思ったらこういう事だったんですネ」


「・・・・・じゃが、この決闘は面白く成りそうじゃ。兵藤と百代、最強対決が行なっておるからのう」


「総代も彼に一度だけ負けた事も有りますしネ」


「ゴッホン!ゴッホン!・・・・・ンンッ!さて、この2人の今後はどうなることやら・・・・・」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



「「川神流、無双正拳突き!」」


2人のストレートパンチがお互いの拳にぶつかり合い、衝撃波が生じた。さらに連続で拳を突き、

相手の体に直撃しようとするがかわされ、腕で逸らされ、拳がダメなら足で切り替えると身を低くしたり

後ろに引いたり、足で受け止めたりと己の全身の体を武器にし、相手に勝つ勢いで休まず戦っている。


「楽しい・・・・・!楽しいよ・・・・・!こんなに、こんなに長く戦うのは初めてだ・・・・・!

今までの戦いに対する欲求不満が解消されていく感じがして堪らない・・・・・!」


汗を流し戦いに対する喜びを全身で感じとり狂喜の笑みを浮かべ一誠に拳を振るう。


「あははは!あはははは!もっと、もっとだ、一誠!私は、私はこういう試合を待っていたんだぁ!」


ドガッ!バキッ!ガッ!ドゴンッ!ドッ!ゴッ!ゴンッ!


2人から打撃音が鳴り響き止まない。しかし、攻撃を食らっても2人は構わず攻撃を仕掛ける。


「百代、楽しいか?」


「ああ!楽しいさ!何時までもしたいぐらいに!」


「―――なら、次のステージに進むとしよう!」


カッ!と一誠が光に包まれた。黒い長髪が金色に、瞳が蒼に成り、背中に6対12枚の翼が現れ、

頭上に金色の輪が現れその姿はまるで天使のようだった。


「今度はもっと激しく攻撃するぞ!」


翼を羽ばたかせ空高く飛び上がり空から一誠は下にいる百代に腕を突き出し手のひらに気を集束し始め

―――散弾銃のように気のエネルギーのビームを散らばして放った


ドドドドドドドドドドドドドドドォォォォォォッ!


「くっ!―――うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」


自分に向かって降ってくる気の散弾を避けたり弾いたりとする。が、無限に降り注ぐ散弾が百代を徐々に

押していく。不意に、散弾の雨が止んだ。一拍して


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


巨大な気のビームが瞬時で百代に直撃した。その際に周囲へと土煙が舞い百代の姿を隠した。


「・・・・・」


一誠は片翼で横薙ぎに払い未だ発生する土煙を吹き飛ばした。―――刹那


「川神流、星殺しぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!」


百代から極太の気のエネルギーのビームが撃ち出され一誠を飲み込み爆発が生じた


「はぁ・・・・・はぁ・・・・・はぁ・・・・・ははっ」


疲労困憊なのか、息を切らす百代に笑みが零れた。こんなに長く戦い尚且つ、自分と同等かそれ以上の

相手を自分の奥義とも言える技を直撃した。もしかしたらと―――


『人間、何が可笑しい?』


「・・・・・なに?」


『僕達のイッセーはあんな攻撃に倒れる訳がないよ』


『あいつはあの攻撃よりつえぇ攻撃をするぞ』


思っていたら今まで観戦していたドラゴン達が口を開いた。「あいつはあれで負ける訳がない」と・・・・・。


バチッ!


「―――っ!」


「お返しだ」


ビッシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!


―――何時の間にか腕を突き出し百代の背後にいた一誠が膨大な質量の雷を発生させ、百代に当てた。

全身に迸り、駆け巡る雷のエネルギーが百代を苦しめる


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」


「一瞬、ほんの一瞬だけ、お前は気を緩めた。その結果、お前の敗北へと繋がった」


翼を羽ばたかせ、バチバチッ!と電気を帯びて―――


「お前の負けだ。だが、今日は楽しかった。また戦おう」


ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!


極太の雷撃が真上から百代に直撃した。雷が収まって百代は佇んでいたが・・・・・。


「・・・・・」


一拍して、地面に倒れた。―――この瞬間、全世界は武神、川神百代が敗北した瞬間を目の当たりにした。


「お、お姉様が・・・・・負けた・・・・・」


『言っただろう。「今がその時だ」と』


一子から小さく零れた言葉にアジ・ダハーカはニヤリと笑い答えた。

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