小説『真剣でD×Dに恋しなさい!S』
作者:ダーク・シリウス()

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五月三日(日)



―――川神駅


「よ、お前等。おはよう」


既に川神駅にいた一誠は風間ファミリーの姿を肉眼で確認でき手を上げて挨拶をした。今の一誠の姿は

白いワイシャツにジーンズのズボン。右の上腕に翔一と同じバンダナを巻いていた。


「おーっす!一誠さん、早いなー!」


「旅行だからな。お前等と同じで楽しみにしているんだ」


「あははー、一誠さんも同じなんだね」


「まあ、俺は電車なんて乗らなくても空に飛んで行けるけどな」


「移動方法がなんの不便もない人だな」


「車よりは便利だしな。空を飛んでいると風が気持ちよくていいし何も邪魔はされないから

風のように自由に飛べる」


「一誠さん!今度、俺ごと空を飛んでくれ!風のように速く!」


「ああ、いいぞ。今度してやる」


「よっしゃー!」


「それじゃ、電車に乗ろう。そろそろ時間だよ?」


「そうだな。乗り遅れたら大変だ」


「その時は俺が旅館まで送ってやるさ」


一誠達が向かう場所は川神から箱根湯本までは電車で1時間30分弱。川神駅から「特急踊り漢」に

乗れば一本。風間ファミリーはその特急の電車に乗り込み席に座りだす。


「俺の周りは美少女ばかりだなー。男が1人もいないとは・・・・・」


「あはは、嬉しいだろう?こんな美少女達に囲まれてさ」


「ククク、既にロックオンだよ?後はどう攻略していけばいいだけ・・・・・」


「え、えっと、その、一誠さんと座りたかったので・・・・・」


一誠の隣に由紀江、一誠と由紀江の前には百代と京が座っていた。残りの6人は隣の席で座っていた。


「おい、誰でも良いから男の奴はこっちに来い。それで5、5になる」


「いや、自分から死地に行くようなマネはできん」


「うん、僕も同じく」


「ぐぅー・・・・・」


「姉さん達とのんびり座っていれば良いじゃないか」


「・・・・・」


「私達に逆らえないのさ」


「さあ、イッセー。箱根に着くまで手取り足取り色々と・・・・・ね?」


ニヤニヤと笑む百代と京と対照的に由紀江は横目でチラチラと一誠を見る。


「そう言えば、百代。お前が負けた時に鉄心の奴は何か言っていなかったか?」


「ん?別に何にも言ってこなかったぞ。まあ、『遅くなるのなら連絡ぐらいせんか!』って注意されたぐらいだ」


「そっか、お前が負けた事は世界中に知られて挑戦者達が現れるんじゃないか?」


「それは嬉しい事だ・・・・・でも、一瞬で勝ってしまうだろうからつまらないかもしれない・・・・・。

それにお前と戦う喜びと快感を覚えてしまったし、お前ほどの実力がある挑戦者がいるとは

思えないからな・・・・・」


「あれ、四天王と鉄心じゃあ不満なのか?」


「不満と言うか・・・・・あんなに長く戦ったのは本当にお前が初めてなんだよ。ジジイの場合は色々と

制限されて数秒しか戦えないし私と同じ四天王は確かに強いが最後は私が勝つ。一誠と戦った

あの数時間は心に残る程の戦いだった」


「まあ、俺の力は他にもまだある。それにドラゴンの力を借りて戦う事も出来るけどそれじゃあ一瞬で

勝ってしまうからこの自分の肉体で百代と戦ったんだけどな」


「ドラゴンの力を・・・・・?」


「ああ。アジ・ダハーカ達、ドラゴンの力を俺は使う事ができるんだ」


「・・・・・私と戦ったあの時はまだ全力じゃなかったのか?」


「思いきり戦ったけど全力じゃないな。でも、真剣にお前と戦ったのは間違いない」


「そうか・・・・・私はまだ弱いんだな」


「そう落ち込む事は無いぞ。俺と長時間にわたって戦える奴は久しぶりだった。

 ―――本当に強くなったな。百代」


「一誠・・・・・」


「お前はまだまだ強くなれるし何時かきっと俺の身体に傷をつけるぐらいになるだろう。

 その時まで俺は楽しみにしているぞ」


百代に笑い掛け自身に満ち溢れた声音で発した。その言動に百代の顔は赤く染まった。

京と由紀江も話しかけられても笑顔を向けられてもいないのに一誠の笑顔を見て顔が赤く染まった。


「ん?どうした、顔を赤くなっているぞ」


「それはイッセーがカッコいいからだよ・・・・・」


「・・・・・まあな、俺は元から天才でカッコいいからな」


「あふん!」


「おおー、さり気無く大和をいじったわ」


「大和は一誠さんに弄ばれているね」


「くっ・・・・・!なにか、何か一誠さんが過去に恥ずかしい言動が無かったか・・・・・!?

それさえあれば・・・・・!」


「おいおい、そんなことしたらお前の檻の中にいる獣が暴れ出すぞ?」


「もう止めてー!俺の黒歴史を穿り返さないでぇー!」


「ククク、大和は既にイッセーの手のひらの中で踊っているしかないね」


「大和さんはどうしてあんなに恥ずかしがっているのですか?」


「それはあいつの過去を話せば分かる事だ。大和本人と俺達が熟知している事だけどな」


「過去に戻れるのなら俺は戻ってあの頃の俺に叱咤したい!」


「できるぞ?」


「・・・・・真剣で?」


「ああ、ただし俺達は過去を見る側になるが・・・・・。―――良いこと思いついた。大和の恥ずかしい

過去をもう一度、過去に戻って見に行くとしよう!」


「却下!拒否!拒絶!絶対に反対だ!」


「リアルな思い出のアルバムを見られるんだぞ、クリスも由紀江も見たいだろ?」


「ああ、是非とも見てみたいな!」


「皆さんの幼い時は一体どんな事をしていたのか気になります」


「―――と、言う訳で何時か過去に戻って懐かしく見ようぜ?」


「いやああああああああああああっ!」


大和の悲鳴が箱根に向かう特急電車から響いた。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――箱根湯本


箱根に到着した風間ファミリー。旅館は山の上で本来バスに乗って向かう筈だが


「アタシは走って旅館まで行きまーす」


「山道、車で30分。って事は結構あるよー?」


「今日のノルマは昼までに十分こなしたろ、私達は」


「まだまだ。駆けて駆けて駆けまくるのよ!勝負よ、クリ!どっちが旅館まで先に付けるか!」


「面白い。自分もノルマはこなしたがそこまで鍛錬に精を出すなら付き合おう」


「頑張れ。荷物は任せろ。バスの奴、乗り込めー!」


「俺は空から行くぞ。山の空気を身体中に感じながら行きたい」


金色の翼を展開しながら一誠は言った。


「イッセーが飛んで行くのなら私も一緒に飛ぶ!空のデートだなんてロマンチックだよねー?」


「わ、私も行きます!」


京と由紀江が一誠の傍に近寄った。そんな二人に苦笑を浮かべながら2人の腰に腕を回して

自分の方へ抱き抱えるようにした。


「それじゃあ、先に旅館で待っているぞ」


バサッ!


金色の翼を羽ばたかせ京と由紀江を抱えたまま空を飛び目的地に向かった。


「わぁ・・・・・山を眺められるなんて凄いです」


「鳥の気分になるだろう?」


「イッセーは何時のこの光景を?」


「毎日じゃないけど、この光景を俺は見ている」


「空を飛ぶって素敵ですね。自由に翼を羽ばたいてどこにでも行けるんですから」


「私も翼があったらイッセーの家に遊びに行けるのにねぇ」


「ははは、京に翼を持たしたら俺をどこでも追いかけそうだ」


「うん、どこまでも追いかけるよ」


「あっ、旅館が見えて来ました」


「空から行けば直ぐに着ける。百代達はまだのようだな」


旅館に先に辿り着いた一誠達。地面に降下して2人を降ろして百代達を待っているとバスがやってきた。


「皆さんが来ましたね」


「ワン子とクリスはまだだけどね」


「あいつらはまだ来ないだろうし俺達だけで旅館の中に入ろう」


バスから出てくる百代達と合流し一子とクリス以外のメンバーは旅館の中へ入る。

因みにここの旅館は九鬼財閥傘下の旅館だった。


「10人で1部屋かぁ。大きい部屋だね」


「・・・・・株が1円・・・・・買い占めろ・・・・・」


「つーか、キャップは何時まで寝てるんだろう」


「肝心のリーダーが寝ているから代理で俺が仕切るぞ。―――各自、まだ夕飯まで時間があるから

 好きに行動しろ」


各自、思い思いの行動を取り始めた。一誠の場合は


「イッセー♪」


「一誠、一緒に部屋で何かしよう!」


「イッセーさん、ご迷惑では無ければご一緒にいいでしょうか・・・・・?」


3人の武士娘に言い寄られていた。その光景を見ていた大和達はというと


「一誠さんは人気者だね」


「まあ、何時もの事だろう」


「俺様も一誠さんのようになりてぇなぁ・・・・・」


「「無理でしょ」」


「即答かい!つぅーか、お前らだって一誠さんのようにはなれないだろうが!」


「いや、僕は僕なりで頑張るから良いんだ」


「俺も俺らしく生きろって一誠さんに言われているからな。ガクトは仲間を守れる男になれって

 言われただろう?」


「まあ、そうだけどよぉ・・・・・」


「僕は一誠さんがいてくれた本当に嬉しいね。色々と頼りに成るし、色々と凄いしさ」


「一誠さんは兄のようで父親のようで本当にそうだよな。・・・・・よく俺をいじるけどさ」


「それはお前が悪いんだろうが」


「うんうん、あれは無いって思うほどよくしていたしねぇー」


「ぐっ・・・・・」


「そんじゃあ、俺様達は荷物を置いて部屋で何かしようぜ」


「そうだね、何をしよっか?」


「それと何時までも寝ているキャップを部屋に連れて行こう」


大和達も荷物と翔一を部屋に運び自由気ままに夕食まで過ごす事にした。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



―――夕食後。既に一子とクリスも旅館に到着し一誠達と一緒に夕食を食べ終え、

男女別に温泉に入っていた。―――そして、今まさに覗きが決行されようとしていた。


「では、男湯を覗きます」


ただし、女湯で


「やめときなさいよ。てか、一誠さん以外の男が見えたらどうするの、京的に」


「・・・・・しまった、その可能性を考慮していなかった。では、聞き耳を立てるぐらいで・・・・・

 京イヤーは地獄耳」


一方その頃、男湯といえば・・・・・。


「ふぅ・・・・・いい湯だね。温泉にいなぁ〜」


「ああ。たまにはこういうのもいいなぁ」


「ここの温泉もいいなぁ。俺の風呂に加えよう」


「そういやぁ、一誠さんの風呂ってどんなの?」


「様々な風呂があるぞ。一言で言えば・・・・・市民プールか?」


「スケールがデカイ風呂だな!?一誠さんの風呂は一体幾つあるんだよ!」


「んー・・・・・20は軽く超えている。流れるプールがあれば波のプール、スライダーのもあるし」


「今度、一誠さんの家に泊まりに行きてぇな!」


「まあ、別にそれは構わないけど・・・・・物を壊すなよ?」


「分かってるって!」


「―――話しが終わったようだな。それじゃあ見ろ、貴様等!俺様の筋肉美!」


全裸で己の筋肉を見せつける岳人。


「少しは隠してよ!グロいんだよ、ガクトのは!」


「銃でいう所のバズーカだな、俺様のジュニアは!」


「まだ1度も対象に向けて発砲していないけどな」


「訓練ばっかりでよー。砲身は磨いているんだけどな・・・・・って、何言わせんじゃいコラ!」


「ああもう。止めてよ、その手の話は〜」


卓也がこの手の話しが苦手なので一番安全そうな一誠の背後にそそくさと逃げた。


「男同士でいちいち隠す必要もないだろ。一誠さんもそうだぞー」


「キャップとガクトは堂々としすぎだ。・・・・・キャップは銃でいうと、マシンガンか」


「そういうてめぇのはどーなんだ、大和」


「俺はマグナムだね。重い一撃をズドンッ!と」


「バズーカには遠く及ばないな」


「はん。いざという時に暴発しそうだな、ガクトは」


「てめぇは、弾ずまりしそうだけどな」


「下品!げーひーん!」


「卓也、俺の後ろからそう言うなよ・・・・・」


「モロ。お前、あだ名モロなんだから隠してないでモロに出せば良いじゃん。一誠さんもモロに出そうぜ!」


「そーいう意味のモロじゃないでしょ!」


「可哀想に・・・・・卓也のあだ名はそういう意味でも捉えてしまうなんてさ・・・・・」


「モロの水鉄砲は皮のホルスターに入ってるから」


「・・・・・僕だって好きでそうなってるわけじゃ・・・・・」


「ん?つまりそれって・・・・・」


「遠まわしに言うんだよキャップ。それが優しさ」


「―――剥けていないのか」


「うわぁぁぁぁぁ!」


一誠の背中に顔を埋めて恥ずかしそうに顔を赤く染めた。


「それ、遠回しどころか最短距離な表現だろ」


「頭を撫でるように優しく言ったのに」


「言葉のチョイスが殺しにいってるとしか思えねー」


「そういや、一誠さんやモロのって見てないなー。俺に見せてみ?一誠さんとモロの大事な部分」


「何でそう言う展開になるのか解らないよ!」


「本当だな・・・・・。別に見せるもんじゃないだろう」


「・・・・・もしかして一誠さんは・・・・・アレなのか?」


「アレ?なんだ、アレって」


「―――童貞?剥けていない?」


「・・・・・」


無言で立ち上がり岳人に近づく。―――刹那


ズドパァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!


思いきり力を籠めてハリセンで岳人の頭を叩いた。その際に頭が温泉に突っ込んで湯が大量に

水飛沫を上げ湯が少しだけ少なくなった。


「お前等・・・・・」


「「「は、はい!」」」


「俺が経験あるとかそういうのを聞くのは止めるんだな。―――コイツのようになるぞ?」


尻だけ浮かんで上半身が温泉に沈んでいる岳人にハリセンで突き刺す。


「「「はい!絶対に一誠さんにそういう話をしません!聞きません!聞こうとも思いません!」」」


思わず直立し、自衛隊のように整列してハキハキと大きく声を張り上げ誓いの言葉を発した。


「ならいい。だが、秘密を守るのならお前達だけ見せてやるよ」


そう言って腰に巻いていたタオルを剥ぎ取った。―――次の瞬間


「「「―――っ!?」」」


男湯から何とも言えない悲鳴が女湯にまで聞こえるぐらいの音量が発せられた。


―――女湯


「な、なんだ・・・・・?奇異な悲鳴が聞こえたが・・・・・」


「どうせ、一誠を怒らしたんじゃないのか?」


「あわわわ・・・・・お兄様が怒ると怖いんだよねぇ・・・・・」


「う、うむ・・・・・そうだったな」


「むー、私の耳でも聞こえなくなるなんて・・・・・イッセーに怒られて気絶でもしているのかな?」


「そこまでイッセーさんは怒っているのでしょうか・・・・・?」


「・・・・・一誠達が先に温泉から上がるのを待とうか。怒った状態の一誠と会いたくないぞ」


「「「・・・・・」」」


コクコクと京を除いたメンバーは首を縦に振った。その後、一誠達が上がった事を確認して百代達も温泉から

上がり部屋に戻ると静かに本を読んでいる一誠と気絶している岳人に何やらショックを受けている

大和、卓也、翔一が部屋にいた。

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